さて、先日、小説「帰って来たヒトラー」の話をしましたが、この「ヒトラー」に関して、もう一つ、面白いものが。
それは、藤子不二雄Aさんの、いわゆる「ブッラクユーモア」短編の一つ、「ひっとらあ伯父さん」です。
ある平凡な町に、ヒトラーによく似た男が、現れます。
彼は、その町にある一軒の家に、間借りをして、生活を始めることになるのですが、一見、表面的には、とても好感の持てる人物で、他人に対しての気遣いも素晴らしく、次第に、周囲の人たちに親しみを持たれ、町の中に溶け込んで行く。
しかし、それは、全て、彼の「計算」だった。
彼は、その「計算」によって、他人を、巧みに取込み、巧みに操り、次第に、その町の支配者になって行く。
人は、どのようにして、人に取り入り、人を操り、人を支配して行くのか。
短編漫画の中に、とても、上手く、描かれている。
藤子F不二雄さんの「SF短編集」は、名作ぞろいですが、この藤子不二雄Aさんの「ブラックユーモア短編集」もまた、名作ぞろい。
日常の生活の中で、もしかすると、このようなことが起こるかも知れないという怖さが、ユーモアによって描かれている。
藤子不二雄Aさんの「ブラックユーモア」として有名なのは、やはり、「笑ゥせぇるすまん」でしょう。
元々のタイトルは「黒ィせぇるすまん」だったのですが、テレビアニメになった時に、タイトルが変更されたよう。
このテレビアニメは、大橋巨泉さんがMCを務め、藤子不二雄Aさんもレギュラーを務めていた番組「ギミア・ぶれいく」の中で放送されていて、当時、毎週、楽しみに見ていました。
当然、漫画も、持っていた。
個人的には、上の短編集の中に収録されている「喝揚丸ユスリ商会」という漫画が好きで、短編で、七話の連作。
主人公は、一見、気弱そうな、うだつの上がらない男。
実際、怖い奥さんの尻に敷かれて、頭が上がらない。
しかし、彼が営んでいるのは、実は、「恐喝」で、巧みな手段で、相手から、金をゆすり取る。
この「喝揚丸ユスリ商会」を、深夜ドラマにすれば面白いのではないかと思うのですが。