今日の新聞記事に、生活保護の申請数が、過去最高になったというものがありました。

これは、当然と言えば、当然の話。

今、「物価の上昇と賃金の上昇の好循環」などと言って、「物価の上昇」を容認する風潮があるようですが、誰もが、みんな、「賃金の上昇」を期待できる会社に勤めている訳ではない。

僕のような、小さな会社で働き、元々、低賃金で仕事をしている上に、この先、賃金が上昇をする見込みもない。

こういう僕のような人にとって、「物価の上昇」は、すなわち「賃金の実質的な低下」である上に、これまで、頑張って貯めた貯金もまた、目減りをしているということになる。

生活が苦しくなるのは、当然の話。

「だったら、賃金の良い会社に転職をすれば良いじゃないか」

という人も多いでしょうが、それが、出来るのなら、とっくにしている。

それが出来ないから、困っている訳で、これから、ますます、生活は苦しくなることでしょう。

これから、日本社会の貧富の格差は、ますます、大きくなって行くことでしょう。

 

さて、「健康で文化的な最低限度の生活」という漫画があります。

 

 

この漫画、日本の福祉行政の実態が、詳しく描かれていて、とても、面白い。

 

主人公の「義経えみる」という女性は、区役所に就職するのですが、配属されたのは、社会福祉事務所の生活課。

そこで、「生活保護」に関わる、様々な仕事を、経験して行くことになる。

 

生活保護を受ける側も、大変ですが、生活保護の申請を受け付け、その生活保護受給者の生活支援に関わる職員もまた、相当に、大変です。

 

生活保護を受ける側の人も、必ずしも、「善意」の人たちばかりではない。

中には、悪質な人も居れば、ヤクザのような人も居て、彼らの横暴にもまた、対処しなければならない。

いわゆる「貧困ビジネス」についても、一つの物語として描かれていましたが、生活保護を受けなければならない貧困者を、食い物にして金儲けをしようなんて、許せないですよね。

しかし、そういう人たちもまた、大勢、居る。

 

しかし、日本では、本来、この「生活保護」の受給対象になる人でも、生活保護を受けていない人が、かなりの数、存在をするということ。

これは、一つは、自分が、生活保護を受けることが出来るということを知らない場合。

そして、もう一つは、「生活保護を受けるなど、恥だ」と考える人も居るよう。

 

さて、この漫画のタイトル「健康で文化的な最低限度の生活」ですが、これは、「日本国憲法」第25条からの引用です。

 

第1項、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」

第2項、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」

 

生活保護は、この憲法第25条に基づいて、支給されるもの。

つまり、「生活保護」を受けることは、国民の権利でもある。

年金もまた、そう。

その他の、社会保障も、そうでしょう。

 

ちなみに、この憲法第25条は「生存権」と言われている。

しかし、この憲法第25条は、国が、国民全てに「健康で文化的な最低限度の生活」を保証しなければならないという訳ではなく、「努力義務」に過ぎないという考え方もあるそう。

これは「プログラム規定」と呼ばれる法的解釈です。

 

しかし、僕の年代になると、年金をもらえる年齢が、70歳くらいからになるのではないでしょうかね。

そこまで、生きているかどうか、分からない。

また、元々、賃金の少ない会社で仕事をしているので、支給をされる年金額では、生活をして行くことが出来ないのは明らか。

結局、死ぬまで、働き続けなければならいということになりますが、果たして、これで、「先進国」と言えるのでしょうかね、と、思うところです。