第二次世界大戦で、ドイツ空軍の主力戦闘機だったのは、「メッサーシュミットBf109」でしたが、この「メッサーシュミットBf109」を補完する戦闘機として開発されたのが「フォッケウルフFw190」戦闘機です。

 

 

 

この「フォッケウルフFw190」戦闘機は、設計者、クルト・タンク氏の思想が詰め込まれ、「戦闘機とは、どうあるべきか」という様々な工夫が凝らされていたようで、とても、興味深い。

戦場での扱い安さ、簡単に壊れない頑丈さ、整備のしやすさ、生産のしやすさ、などなど。

そして、機体の性能向上のために、様々な先進的な設計がされていたそうで、同盟国の日本ではもちろん、敵国のイギリスでも、捕獲した「フォッケウルフFw190」を参考にして、新型の戦闘機の設計が行われたそう。

 

この「フォッケウルフFw190」は、「空冷エンジン」を搭載しています。

 

こちら、空冷エンジン。

 

そして、「メッサーシュミットBf109」は、「液冷エンジン」を搭載している。

 

こちら、液冷エンジン。

 

なぜ、「フォッケウルフFw190」が、「空冷エンジン」を搭載したのか。

 

これについては、「メッサーシュミットBf109」が「液冷エンジン」を搭載しているので、生産に手間のかかる「液冷エンジン」は「メッサーシュミットBf109」に回して、「フォッケウルフFw190」には、比較的、生産しやすい「空冷エンジン」を使うようにと軍から指定があったとも言われています。

まさに、「フォッケウルフFw190」は、「メッサーシュミットBf109」を補完する戦闘機。

もっとも、「空冷エンジン」を使うことは、クルト・タンクの判断だったとも言われているよう。

 

さて、「空冷エンジン」「液冷エンジン」、共に、メリットとデメリットがあります。

 

「液冷エンジン」のメリットは、正面の面積を小さくすることが出来るので、速度を出すのに有利。そして、高度を上げて、空気が薄くなっても、性能の低下が少ない。

デメリットは、「空冷エンジン」と比較をして、生産性の低さと、整備の難しさ、そして、被弾に弱い。

 

「空冷エンジン」のメリットは、「液冷エンジン」に比べて、生産性が高く、整備がしやすい。そして、被弾に強い。

デメリットは、正面の面積が大きく、速度を出すのに不利。そして、高度を上げ、空気が薄くなると、急激に、性能が低下をする。

 

さて、当時の日本の状況。

 

第二次世界戦当時、日本には、この「液冷エンジン」を満足に開発をする技術が無かったようです。

そのため、ドイツの「液冷エンジン」の技術を導入し、ライセンス生産をすることになる。

その時、何とも、滑稽なことに、日本は、陸軍と海軍が、それぞれに、ドイツの会社からライセンス契約を結んだよう。

つまり、同じ技術の導入に、二度、お金を払ったということになる。

そして、陸軍では、三式戦闘機「飛燕」に、海軍では、艦上爆撃機「彗星」に、この「液冷エンジン」が搭載されることになる。

 

三式戦闘機「飛燕」。

 

 

 

艦上爆撃機「彗星」。

 

 

 

そして、当時の日本の技術では、やはり、「液冷エンジン」の生産や整備は、なかなか、困難だったようで、「飛燕」も「彗星」も、「空冷エンジン」に換装されることになります。

 

こちら、三式戦闘機「飛燕」を「空冷エンジン」に換装した「五式戦闘機」です。

このエンジンの換装には、「フォッケウルフFw190」の設計が、参考にされているそうです。

 

 

 

こちら、「彗星」を「空冷エンジン」に換装した「彗星」33型です。

 

しかし、高い技術レベルを持ったドイツでは、この「フォッケウルフFw190」を、アメリカ、イギリスの最新鋭戦闘機に対抗するため、「空冷エンジン」から「液冷エンジン」に換装することになります。

それが、「フォッケウルフFw190」D型です。

 

こちら「フォッケウルフFw190」D型です。

 

そして、クルト・タンクは、このD型を、更に、性能向上のために改良した「フォッケウルフTa152」を開発します。

 

この「Ta152」は、高高度戦闘機として開発され、高度10000メートルで、最高速度は、750キロを出したとか。

アメリカの「P51マスタング」の追跡を振り切ったという逸話もある戦闘機で、まさに、最強のレシブロ戦闘機の一つでしたが、実際は、すでに大戦末期で、生産されたのは少数で、実戦機会も、あまり無かったよう。

実際の性能は、未知数ということのようです。

 

 

 

ちなみに、「空冷エンジン」を、空気の薄い高度でも、性能を維持するために「過給器」という装置が使われることになります。

この「過給器」によって、空気を圧縮してエンジンに送り込むことで、性能の低下を防ぐというもの。

しかし、当時の日本では、この「過給器」も、満足なものが作れなかった。

そのため、日本の戦闘機は、高度が上がると、急激に、性能が低下をすることになる。

 

しかし、この「過給器」である「ターボチャージャー」を標準装備していたのが、アメリカの戦闘機「P47サンダーボルト」です。

 

 

アメリカが、第二次世界大戦で使用した戦闘機の中で、最も、数多く生産したのが、この「P47サンダーボルト」だったそうです。

まさに、日本との国力の差を、見せつけられる気分です。