昨日の、旧ソ連、そして、今のロシアが、「人命軽視」の戦術で、戦争をしているという話。

この「人命軽視」と言えば、かつての旧日本帝国の軍隊も、あまり、変わりはない。

その象徴的なものが「特攻」ということになる。

 

「特別攻撃」とは、つまり、「体当たり攻撃」のこと。

 

有名なものは「神風特別攻撃隊」ですが、もしかすると、多くの人が、全ての「体当たり攻撃」を「神風特別攻撃隊」と思っているのかも知れませんが、それは、間違いです。

この「神風特別攻撃隊」は、「海軍」の「飛行機」による「特別攻撃」隊のこと。

ちなみに「神風」は「かみかぜ」と読むのではなく、正式には「しんぷう」と読むそうです。

陸軍による飛行機での特別攻撃に関しては、詳しいことは勉強不足で分かりませんが、色々な名前がつけられていたよう。

 

他に、有名なところでは、以前に、このブログでも紹介をした、潜水をして、棒に先についた爆薬で、アメリカ軍の上陸を防ごうという目的で作られた「伏龍」特攻隊や、モーターボートに爆薬を積んで、アメリカ軍の軍艦に体当たりをする「震洋」特攻隊などがあります。

また、魚雷に操縦席をつけたような兵器、人間魚雷「回天」や、爆弾に操縦席をつけたような兵器、人間爆弾「桜花」など、有名でしょう。

 

さて、この「特攻隊」に関する本は、数多く、出版されています。

特攻隊の隊員の残した遺書を集めた本や、今、まさに、アメリカの軍艦に突入をしようとしている特攻機を捉えた写真を集めた本など、見ていると、とても、悲しくなる。

そして、個人的に、もっとも、印象深く、読んだのが、この本です。

 

 

この本の著者は、実際に、アメリカ軍の空母に体当たりをすることに成功しながら、奇跡的に、生き残った人物。

特攻隊員に選ばれながらも、出撃をしなかった人、また、出撃をしたものの、機体の故障などで、体当たりまでには至らなかった人の本は、多くありますが、実際に、体当たりをしながら、生還をした人の手記は、この本くらいなのではないでしょうか。

 

実際に、どのようにして特攻隊員が選ばれるのか。

特攻隊員に選ばれた人は、出撃まで、どのような生活をしているのか。

どのような気持ちで、仲間の出撃を、見送って行ったのか。

そして、出撃から、敵艦に体当たりするまで、機内では、どのような心境だったのか。

 

この本を読んだのは、もう、随分と昔なので、印象に残っていることを、いくつか。

 

やはり、海軍兵学校を出たエリートの士官搭乗員は、特攻隊での出撃を出来るだけ避けていたようですね。

そして、学徒出陣などで徴兵された、予備士官と呼ばれる人たちが、優先して、特攻隊員に選ばれ、出撃をして行ったよう。

実際に、次々と、予備士官ばかりが特攻に出されることに抗議の声を上げる人も居たようです。

そして、彼らは、零戦などの一線級の戦闘機ではなく、「白菊」と言った、性能の低い練習機などでの出撃を命じられることもあったようで、それに対しても、当然、不満があったでしょう。

 

また、特攻隊員に選ばれ、出撃の日が決まった人の中には、自分の「死」が確実に決まったことで、かえって、生き生きとする人も居たようです。

やはり、日本の軍人には、「死ぬ」ということに、覚悟のあった人も多かったということなのでしょう。

 

そして、戦争末期の現状として、特攻隊でなくても、アメリカ艦隊を攻撃に行った日本軍機のほとんどが、帰還をすることが出来ず、わずかに帰って来ることが出来た飛行機も、機体は、銃弾で穴だらけ、搭乗員も、傷を負って血まみれというのが当たり前で、無事に帰ってくることが難しかった。

つまり、特攻隊員であろうが無かろうが、敵艦の攻撃に出撃をすれば、ほぼ、帰って来る可能性は無かったということ。

 

そして、著者は、海軍の双発爆撃機「銀河」に乗って、出撃をします。

この「銀河」は、三人乗りで、当然、著者の他に、二人の搭乗員が、この「銀河」に乗っている。

そして、この本を読んでいる時に、大きく疑問に思ったのが、この「銀河」に乗った三人の特攻隊員が、終始、とても、ハイテンションだったということ。

もう、自分の「死」が目前に迫っているというのに、なぜ、ハイテンションなのか。

逆に、自分の「死」が、もう確実に、目の前にあるということで、自棄になって、ハイテンションなのかとも想像しましたが、少し前に、あるネットの記事に、この問題に関する、気になるものがありました。

 

その記事によると、当時、陸軍の特攻隊員には、出撃の直前に、チョコレートが配られていたそうです。

そして、そのチョコレートには、「覚醒剤」が混ぜられていたということ。

そして、そのチョコレートに「覚醒剤」が含まれているということは、特攻隊員には知らされていなかったそうです。

また、海軍では、出撃直前の特攻隊員に、別の名目で「覚醒剤」の注射が行われていたそうです。

つまり、陸軍も海軍も、特攻隊員は、自分が知ることなく、「覚醒剤」を摂取させられていたということ。

もし、著者たちも、自分の知らないうちに「覚醒剤」を摂取させられていたのだとすれば、機内で、ハイテンションだったのも理解できる。

 

もっとも、特攻隊員に、覚醒剤が投与されていたということは、確かな史料に残ってはいないということ。

だから、それが。、事実なのかどうかは、分からないということのよう。

 

もっとも、戦場の兵士たちには、どこの国の軍隊でも、広く、覚醒剤が提供されていたようです。

それは、「疲れ」や「眠気」を取るため。

そして、戦場での「恐怖心」を消し去るため。

 

今も、恐らく、世界の戦場では、兵士たちに、覚醒剤が渡されているのではないでしょうかね。