ドラマ「セクシー田中さん」。

とても良いドラマでしたが、最終回には、少し、違和感が。

その違和感の正体は、脚本を書いた人が変わったということを知ったのは、ドラマが終わって、しばらくしてから。

ドラマの第9話と最終回は、原作の漫画を描いた漫画家さん、自ら、脚本を書いたということ。

当初は、脚本家の人がSNSで「異例のことで、戸惑ったが、原作者のたっての希望で」と発信していましたが、その後、なぜ、このようなことになったのか、その経緯を、漫画家さんがSNSで発信。

そこには、「原作を変えない」という約束が守られず、最終的に、「これは、自分が脚本を書かなければならない」と判断をしたということが書かれていました。

このSNSの記事を見た時、「これは、大変なことになるかも知れない」と、個人的に、懸念をしていましたが、最悪の結果になってしまった。

残念で、なりません。

 

関連記事を、色々と読んでいると、「原作者」と「ドラマの制作者」側で、意見が食い違い、対立をするということは、これまでも、度々、あったそうですね。

個人的には、原作である「漫画」と、それを元にした「ドラマ」とでは、全く、別のものだと思ってみているので、内容が違っていても、特に、何とも思わない。

しかし、苦労して作品を生み出した原作者である漫画家さんにとって、自分の作品を、意図しない方向に変えられるというのは、耐えがたいことなのでしょう。

本来、恐らく、「自分の作品を、変に変えられたくない」という考えを持つ漫画家は、自分の作品をドラマにすることは反対の意思を持っているのだろうと思います。

しかし、出版社としては、ドラマ化は、本の売り上げを伸ばす絶好の機会で、ドラマ化の話が来れば、出版社もまた、制作側と共同し、漫画家さんを説得するのだろうと想像します。

自分の漫画を出してくれている出版社の意向には、漫画家さんも、なかなか、逆らえないのではないでしょうか。

そして、そういう場合、本来なら、出版社が、漫画家を守らなければならないのだろうと思いますが、今回、それが出来なかったのではないでしょうか。

それが、最悪の結果につながったということになるのかも。

 

漫画家と、編集者と、出版社。

漫画家や小説家は、自分の書きたいものを自由に書くことが出来る訳ではなく、強い、出版社、つまり、編集者の意向の元、漫画や小説を書かなければならないということは、今では、多くの人が知っているのではないでしょうか。

 

漫画家の人が、どのようにして漫画を描いているのか。

その様子を書いたものは、藤子不二雄Aさんの「まんが道」を始め、多くの漫画や、本があるのだろうと思います。

そして、最近、読んだのが、松本大洋さんの「東京ヒゴロ」という漫画。

 

 

主人公は、出版社で編集者の仕事をしていた塩澤という男。

塩澤は、自分が担当した雑誌が廃刊になったことをきっかけに出版社を辞めることになり、もう、漫画とは関わらないと決意したのですが、思い直し、自分の理想とする漫画雑誌を出版するために、自分の信頼する漫画家たちを訪ね歩くことに。

 

そして、この漫画の中で、様々な漫画家、そして、編集者たちの姿が描かれる。

それは、とても、過酷な現実。

 

もし、この漫画で描かれていることが現実と同じだとしたら、僕に、もし、漫画を描く才能があったとしても、「プロ」として漫画家を続けることは、とても出来ない。

 

実際に、何かのきっかけで、一度、「プロ」としてデビューをしても、それを続けていくことが出来ない漫画家、小説家も多いという話。

もちろん、結局、才能が無かったという人も多いのでしょうが、才能豊かな人でも、そうなってしまう人も居る。

 

「新漫画党」のリーダーだった寺田ヒロオさんは、自分の理想とはかけ離れてしまった漫画業界に、強く反発し、編集者、出版社、他の漫画家たちとの対立の末、漫画を描くことをやめてしまった。

同じ「新漫画党」のメンバーだった坂本三郎さんは、編集者との対立が続き、漫画を描くことをやめてしまったそう。

ちなみに、坂本三郎さんは、後に、アニメの作画で、大活躍をしたそうですね。

 

さて、気になる記事が、もう一つ。

 

なぜ、漫画を原作にしたドラマを作るのか。

理由の一つとして、物語が、事前に分かっていれば、企画が通りやすいというものがあるそうです。

確かに、人気漫画ならば、ドラマにしても、ある程度の視聴率や、評判が、無難に、期待することが出来る。

オリジナル脚本では、なかなか、その評価が予想しがたく、企画を通す上で、不利だという面があるのでしょう。

 

この記事を見て、思い出したことが、一つ。

 

あの宮崎駿監督が、「風の谷のナウシカ」を作ろうと企画を出した時に、「原作が無いものを、アニメにすることは出来ない」と、拒否されたそう。

それで、宮崎監督は、「だったら、原作漫画を描いてやろうじゃないか」と思い、描かれたのが、この漫画だそうです。

 

 

漫画と映画とでは、違う部分も多いですが、この漫画を、テレビアニメとして放送すれば、名作になるのではないかと思うのですが。