内田康夫さんの小説「イーハトーブの幽霊」を読みました。

内田康夫さんの小説を読むのは、初めてです。

昔から、一度、読んでみたいと思っていたのですが、何を読めば良いのか、よく分からず、ずっと、そのまま。

それで、今回、ようやく、初めて読んでみたということです。

 

なぜ、この「イーハトーブの幽霊」を読もうのかと思ったかっというと、タイトルから分かる通り、「宮沢賢治」と関係をしている物語のようだったから。

宮沢賢治が、ミステリーに、どう関わって来るのか、興味を持ったところ。

 

舞台は、岩手県、花巻。

そこで起きる連続殺人事件。

遺体の発見場所から、宮沢賢治の物語、エピソードに関連している状況だと気が付く。

そこで、浮かび上がって来たのが、過去の、いじめ事件。

果たして、その、いじめの被害者が、連続殺人の犯人なのか。

 

ネットで調べると、この「イーハトーブの幽霊」は、浅見光彦シリーズの第70弾だそうですね。

「旅情ミステリー」と呼ばれる通り、その土地の風景が、詳しく描写されていて、読んでいると、そのまま、「2時間のミステリードラマ」を見ているような気分になります。

 

 

確かに、すらすらと読めて、面白い。

しかし、個人的には、あまり、好みではない感じで、読んでいて「ピン」と来なかった。

どちらかと言えば、やはり、西村京太郎さんの小説の方が、好みですね。

もっとも、それは、人それぞれの「好み」の問題。

 

さて、タイトルの通り、物語には、宮沢賢治が深く関わり、宮沢賢治についても、色々と書かれている。

その中で、最も、興味深いと思ったもの。

 

宮沢賢治は、今でこそ、「孤高の天才作家」のような扱いを受けていますが、生前は、それほど、名前の売れた人物ではなく、作品も売れた訳ではない。

 

それは「時代に早すぎた」というのも、理由の一つ。

これは、誰もが、認めるところでしょう。

 

そして、もう一つ。

 

宮沢賢治が生前、受け入れられなかった原因として、作品の「暗さ」が原因ではないかと書かれていました。

これは、僕が、どうも、宮沢賢治の作品を、素晴らしいものと思いつつ、あまり、「ピン」と来ない原因。

何となく、宮沢賢治の作品には、どことない「暗さ」がありますよね。

そこが、どうも、僕の好みに合わない気がする。

 

ただ、必ずしも「暗さ」のある作品が、嫌いなのかと言えば、そうではない。

全体的に、「暗い」作品でも、大好きな小説は、いくつもある。

例えば、芥川龍之介の「歯車」など、その典型かも。

 

その辺りが、人の感覚の面白いところですよね。

小説が書かれている「文章」と、その「内容」と、全体の「雰囲気」が、どの程度のバランスで合わさっているのかというところなのでしょうかね。

そこが、「ピン」と来る、来ないの差になるのかも。