今日の新聞の記事に、AIによって制作された「ブラックジャック」の新作が、いよいよ、雑誌に掲載されるというものがありました。
一体、どのよな内容になっているのか。
興味のあるところでは、あります。
しかし、もし、今回のプロジェクトが、「成功」ということになると、「漫画家」という職業が、無くなってしまうかも。
実際、外国では、イラストレーターや、コピーライターが、すでに、AIに仕事を奪われているという話。
ハリウッドでは、映画関係者が、ストライキを起こしたりしていますが、そのうち、
「漫画家」や「作家」も、ストライキでも起こさないと、仕事がAIに奪われてしまうでしょう。
さて、「ブラックジャック」について。
言わずと知れた、手塚治虫さんの名作ですよね。
僕は、全巻を、全て、読破した訳ではないですが、ほぼ、全て、読んでいるのだろうと思います。
小学生の頃、友達の家に、この「ブラックジャック」があり、家に行っては、熱心に読んでいました。
一時期、漫画の文庫本が、多く、出版をされていた時期がありましたが、その最初の最初に出版されたのが、秋田文庫の「ブラックジャック」だったはず。
この秋田文庫の「ブラックジャック」が、よく売れたことで、他の多くの漫画が、文庫本として出版されることになったと、どこかで読んだ記憶があります。
ちなみに、僕が、買って、読んでいたのは、手塚治虫全集の「ブラックジャック」です。
今では、この手塚治虫全集は、手に入らないでしょうかね。
さて、この「ブラックジャック」の主人公、間黒男。
通称、「ブラックジャック」。
このブラックジャックは、医師免許を持たない、天才外科医で、法外な手術料を要求する。
この漫画「ブラックジャック」は、当然、医療シーン、手術シーンが多く登場しますが、必ずしも、内容は、現実的に正しいものではなく、あくまでも「物語性」を重視したものになっているということ。
だから、胸を打つ物語も多いのですが、今では、このような手法の漫画は「リアリティがない」ということで、受け入れられないかも。
やはり、医療を受けるには「お金」がかかる。
貧しい人は、十分な医療を受けられず、「お金があれば、助かったのに」という人も多いのでしょう。
自分の命、そして、大切な人の命が、ブラックジャックの手術ならば、助けられると知り、それには、「大金」が必要だということになれば、一体、自分ならば、どうするのか、と、考える。
「お金が無いから」と言って、諦めるのか。
それとも、どこかで借金をしてでも、お金を工面し、後は、必死で働き、借金を返すことを覚悟するのか。
漫画「ブラックジャック」の中で、とても、印象に残っている一話があります。
ある家に、とても「ケチ」で「がめつい」お婆さんが、住んでいる。
何事にも、「お金」「お金」で、自分の息子に持て余され、息子の嫁には、嫌われている。
なぜ、それほど、お婆さんが「お金」にこだわるのか。
ある日、息子は、お婆さん、つまり、自分の母親が、お金を持って、どこに行くのか、後をつけてみた。
すると、入って行ったのは、かつて、医者だった人の家。
医者だった主人は、すでに亡くなり、その奥さんが、家に居た。
お婆さんは、その奥さんに、お金を渡す。
「もう、良いと言っていますのに」
と、奥さんは、言う。
「いいえ。もう、ようやく、これで、終わりですから」
と、お婆さんは、お金を渡して、その家を出る。
息子は、そこで、初めて、事情を知った。
お婆さん、自分の母親が、異常に、「ケチ」で、お金に「がめつい」人だったのは、自分が小さな頃、命に係わる病気になり、その治療に大金が必要だったため。
お婆さん、自分の母親は、誰にも言わず、必死で、お金を貯め、そのお金を、コツコツと、息子の命を助けてくれた医者に返していたのだった。
そして、借金を返し終えたお婆さんは、重病で倒れる、ブラックジャックは、息子に、法外な手術費を要求する。
息子は、「必ず、お金を払うから、母を助けてくれ」と、ブラックジャックに言う。
「その言葉を、聞きたかった」と、ブラックジャックは、答える。
と、言った、お話だったと思います。
さて、この漫画「ブラックジャック」の中の登場人物で、一人、個人的に、関心のある人物が。
それは「ドクターキリコ」です。
この「ドクターキリコ」は、依頼を受け、人を「安楽死」させるというキャラクター。
手術によって、人を助けるブラックジャックと、人に頼まれて「安楽死」を行う、ドクターキリコ。
なぜ、手塚さんは、この「ドクターキリコ」というキャラクターを登場させたのでしょう。
もちろん、ドクターキリコも、好んで、人を安楽死させている訳ではない。
助けられるなら、助けるに越したことはない。
しかし、どうしても命が助からない場合、どうするのか。
このまま、延々と、苦しみ続けて、その人は、幸せなのか。
なかなか、難しい問題です。
ぜひ、多くの人に読んでもらいたい漫画ですよね。
しかし、今の子供たちが、「ブラックジャック」を読んで、どう感じるのか。
果たして、面白いと感じてくれるのでしょうかね。