安田弘之さんの漫画「ちひろさん」。
有村架純さんを主演にして映像化をするということで、あの「ちひろ」に、続編があったということを、初めて知り、その「ちひろさん」を読んでみようと思ったところ。
前作「ちひろ」は、随分と前に、偶然、本屋で見かけ、面白そうだったので、読んでみたのですが、とても、面白く、良い漫画だった。
主人公は、風俗嬢の「ちひろ」という女性。
もちろん「ちひろ」は、本名ではない。
この「ちひろ」は、風俗嬢として働く、ちひろの日々の物語。
もっとも、風俗嬢が主人公だからといって、主題は性的なものではなく、ちひろや、その周囲の人たちの人間的なお話。
この「ちひろ」という女性は、とても、独特な性格、ものの考え方をしている。
周囲に惑わされない「強い女性」であり、「自分」というものを、しっかりと持っている。
そして、この「ちひろ」が、風俗嬢をやめ、ある町の弁当屋で、日常生活を送る話が、続編の「ちひろさん」です。
弁当屋さんで働く「ちひろさん」は、元風俗嬢ということを隠すことなく、明るく、気風の良い女性として、町の人たちの人気者。
そして、その独特のキャラクターと、その価値観から来る独特の行動で、周囲の人たちを引き付ける。
自分自身の価値観に基づき、誰にも惑わされることなく、自由に生きる「ちひろさん」の物語は、多くの人たちにとって、魅力的に映るのではないでしょうかね。
しかし、「ちひろ」が、なぜ、そのような価値観を持ち、なぜ、自分自身、一人で生きるようになったのか。
その「ちひろ」の過去が、物語の中で、詳しく語られる訳ではありませんが、時折、フラッシュバックのように、エピソードの中の挟み込まれる話から、過去には、相当の苦労、苦しみがあったことは、読者も察することが出来る。
そして、「ちひろ」は、多くの人に好かれながらも、孤独を望む。
そして、繋がりを求める「心」と、孤独を求める「心」の狭間で、揺れ動くことになる。
さて、有村さんが主演をした「ちひろさん」は、機会があれば見てみたいところですが、どうも、イメージとしては、合致しないところでもある。
個人的には、栗山千明さんなど、良いのではないかと思うところです。