漫画家、ちばあきおさん。
個人的に大好きな漫画家さんで、やはり、代表作と言えば「キャプテン」そして「プレイボール」ということになるのでしょう。
平凡な男の子が、努力に努力を重ね、次第に強くなって行く。
そして、強豪との死闘。
墨谷二中と青葉学園との戦いは、何度読んでも、感動です。
さて、この、ちばあきおさんには、もう一つ、スポーツを題材にした名作があります。
それが、「チャンプ」です。
主人公は、八津田太一という少年。
山奥で祖父と共に生活をしている。
毎日、険しい山を登り、下りしているので、体力には相当に自身がある。
実際、山に来る大人たちを日頃、案内をしていても、大人たちは、太一に満足について行くことが出来ない。
そんなある日、二人のプロボクサーが、太一と祖父の住む家に合宿に来る。
太一は、プロボクサーという人を見るのは初めてで、練習に同行した太一は、自分には到底、及ばない体力、瞬発力を目の当たりにして唖然としてしまう。
そして、「自分も、プロボクサーになりたい」と決心し、ボクシングジムを訪ねることに。
ジムに住み込むことになった太一は、ジムの仲間たちと共に、働きながら、厳しい練習に打ち込むことになる。
実は、この「チャンプ」は、第8話、太一が、プロデビュー戦に勝利をするところで終わっている。
それは、作者である、ちばあきおさんが、亡くなってしまったため。
まだ、41歳という若さ。
もし、「キャプテン」「プレイボール」のような長期連載となっていたら、兄、ちばてつやさんの「あしたのジョー」と並ぶような、ボクシング漫画の名作になっていたかも、と、思うことです。
ちばあきおさんは、もともと、漫画家になるつもりはなく、身体を壊して、仕事を辞めてしまったため、家でぶらぶらしているのもなんだからと、兄、ちばてつやさんの漫画の手伝いを始めたそう。
そのうち、「そろそろ、自分でも漫画を描いてみないか」と編集者に言われ、漫画を描くことになったそうです。
最初の作品を描くには、大変な苦労があったようですね。
やはり、人の手伝いをするのと、自分の漫画を描くのとでは随分と、勝手が違ったよう。
しかし、ちばあきおさんは、相当な完璧主義者で、それが、自分自身を追い詰めることになったよう。
もし、漫画家にならなければ、もっと、生きて居られたのかも知れない。
しかし、ちばあきおさんが漫画家にならなければ、「キャプテン」「プレイボール」と言った名作が世に出ることは無かった訳で、心境は複雑です。