滝沢馬琴の大長編伝奇小説「南総里見八犬伝」。

名前は有名ですが、内容を知っている人は、どれほど、居るのでしょう。

この小説が刊行をされていた当時、世間では絶大な人気で、その後も、世間に大きな影響を与えていたということ。

しかし、明治時代に入り、「文学」としての価値を否定されたことで、著しく、評価を落とし、あまり注目をされることも無くなったという経緯のよう。

 

安房国里見氏は、実在をする武家ですが、物語は、もちろん、フィクションです。

里見氏の姫「伏姫」と、愛犬の「八房」との関わりが、「八犬士」登場のきっかけとなる。

主役となる「八犬士」とは、名前に「犬」の字を持ち、身体に「牡丹」の形の痣を持つ。

そして、それぞれに、「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「考」「悌」の玉を持って、この世に誕生をした男たち。

 

「八犬士」たちは各地に生まれ、それぞれ、自身の運命と共に、波乱万丈の人生を生きて行くことになる。

そして、「八犬士」たちは、運命に導かれて、里見氏の元に集結。

関東管領、古賀公方との戦いを、里見氏の勝利に導くことになる。

 

この「南総里見八犬伝」は、非常に長い物語である上、やはり、今、読んでみると「古臭い」と感じる部分も多い気がする。

そのため、最初から最後まで、全てを読むということは、なかなか、根気のいることなので、今では、物語を短く縮めたダイジェスト版が出版をされている。

 

 

 

もっとも、ダイジェスト版は、ダイジェスト版で、物足りないという感じもある。

やはり、粗筋を知りたいという人以外は、全てを読んだ方が物語としては面白いものなのでしょう。

 

 

 

 

また、滝沢馬琴は、この「南総里見八犬伝」の中に、普通に読んだだけでは分からない、様々な仕掛け、謎を込めているそうですね。

それを、色々と解説しているのが、この本。

 

 

滝沢馬琴は、日本で最初の「プロ」の作家、「専業」の作家だったそうですね。

つまり、小説一本で、生計を立てていた、最初の人物。

この「南総里見八犬伝」には、恐らく、当時、どのようにしたら多くの人に読んでもらえるのかというノウハウが、詰め込まれているのでしょう。

面白くないはずがない。