漫画「水木しげる伝」。
水木しげるさんが描く、水木しげるの一代記。
他の漫画で見たシーンも出て来るので、もすかすると、「描き下ろし」というものではなく、他の漫画として描いたものを編集してあるのかも知れない。
でも、もちろん、非常に、面白く、興味深い漫画です。
水木さんは、幼い頃から、超マイペース人間。
周囲のことには、一切、動じることはない。
そのため、就職をしては、首になり、就職をしては、首になり。
そして、水木さんのマイペースは、筋金入りで、それは、軍隊に入っても、変わることはない。
水木さんの軍隊時代の経験を描いた漫画として有名なのは「総員玉砕せよ」ですよね。
もちろん、この「総員玉砕せよ」も、素晴らしい漫画ですが、この「水木しげる伝」に描かれた戦争体験の方が、個人的には、リアルで実感のある感じでした。
南方の最前線での激戦を経験した水木さんが、生きて、日本に帰って来ることが出来たのは、まさに、奇蹟的なこと。
それが、この漫画を読むと、よく分かる。
ちなみに、戦場でも、水木さんの超マイペースは変わらず、基地を抜け出して、現地の人の村に入り浸っていたのは、有名な話。
終戦の時には、「現地除隊をして、この地に残り、日本には帰らない」と言ったそうで、上官から、「一度、日本に戻り、親に、無事なところを見せてやったらどうだ」と説得をされて、日本に戻ることにしたとか。
そして、日本に戻った水木さんは、漫画家として生きることになる訳ですが、人気漫画家になるまでは、極貧の生活だったのもまた、有名。
これは、その頃のことを描いたエッセイ漫画。
これもまた、面白い。
ちなみに、こちらは、水木さんが最晩年に連載をしていたエッセイ漫画。
水木さんは、戦場で、左腕を失いますが、もし、命を落としていたら、もし、右腕を失っていたら、と、考えると、後の名作漫画たちは存在しない訳ですよね。
そして、もしかすると、戦死をした多くの兵士たちの中には、水木さんに匹敵をする才能を持った人が、何人も居たのかも知れない。
そう考えると、人類にとって、戦争は、大きな損失です。