松本零士と言えば、僕の世代では、子供の頃に、テレビで熱中した「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」「キャプテンハーロック」「1000年女王」など、大宇宙を舞台にした、ロマンあふれる物語が有名。

しかし、僕よりも、少し、年上の人では、「大四畳半」を思い出す人も居るのではないでしょうか。

 

 

 

 

この「大四畳半」シリーズは、四畳半一間の下宿に住む「足立太(あだしふとし)」が主人公。

大きな志はあるものの、お金も無く、仕事も無い。

しかし、毎日、周囲の個性的な人たちの巻き起こす騒動に悩まされながら、日々、日常生活に奮闘を繰り返す。

 

この「大四畳半物語」は、青年向けに描かれたものなのか、そういった、大人向けのシーンも、結構、多い。

しかし、それを、広く、子供にも向けて、安心をして読める、面白い、ドタバタ悲喜劇に仕上げたのが「男おいどん」です。

 

 

主人公は、大山昇太(おおやまのぼった)。

四畳半の下宿に暮らす、貧乏青年。

何事にも一生懸命だが、何をしても上手く行かない。

何かを成そうと、日々、奮闘をする姿が、コミカルに描かれる。

 

この「男おいどん」は、松本零士さんの、最初の大ヒット漫画だそうですね。

松本零士さんと言えば、大宇宙を舞台にした物語しか知らない人たちにとっては、意外な内容の漫画ではないでしょうか。

でも、個人的には、断然、こちらの方が、漫画としては、面白い。

 

四畳半一間、トイレと台所は共同、風呂は無い。

こういう下宿で生活をした経験のある人というのは、僕の世代では、すでに、かなり少ないのではないかと思うところ。

この「男おいどん」や「大四畳半物語」は、松本さんの実際の経験を反映しているということのよう。

もっとも、描かれていることは、ノンフィクションという訳ではなく、実生活を反映した「フィクション」のようですが。

 

こういう、貧しくも、元気な若者たちが、昔は、たくさん居たということなのでしょう。