かつて、手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らが暮らしていた、今では、漫画ファンの中では、伝説的存在になっている「トキワ荘」。
そして、彼ら、若手漫画家の中で、リーダー格となっていたのが、寺田ヒロオさんです。
藤子不二雄さん、石ノ森章太郎さん、赤塚不二夫さんらの回想の中で、寺田ヒロオさんは、理想的なリーダーとして登場する。
彼らを、優しく、見守り、時には、厳しく、叱り、経済的に困った彼らの金銭的な援助もしてやる。
しかし、実際の寺田ヒロオさんが、どのような人物だったのか。
寺田ヒロオさん本人に取材をしながら、寺田ヒロオさんを中心に、当時の漫画界の状況を追ったのが、この「トキワ荘の時代」です。
この本に書かれた寺田ヒロオという人の性格は、トキワ荘の漫画家たちの描く理想的リーダーとはかけ離れたもので、読んだ人は、意外に思うのではないでしょうか。
そして、寺田ヒロオさんの描く漫画は、どのようなものだったのか。
一般の書店では、店頭に並ぶことは、まず、無いので、幻の漫画家となっていましたが、今では、関心がある人は、ネットで、手に入れて、読むことが出来る。
まずは、デビュー作である「白黒物語」。
そして、代表作である「背番号0」。
また、当時、大ヒット漫画となった「スポーツマン金太郎」。
そして、実写ドラマにもなった「暗闇五段」。
寺田ヒロオさんは、「トキワ荘」グループのリーダー格であった訳ですが、その中でも、最初に、人気漫画家になった人。
しかし、寺田さんには「漫画は、子供の教育にとって、ためになるものでなければならない」という信念があったようで、次第に、人気を得るために、過激に、暴力的になって行く漫画に反発。
実際に、自ら、そういう漫画を出版する出版社や、そういう漫画を描く漫画家に抗議をするようになって行く。
そして、時代の流れについて行けなくなった寺田ヒロオさんは、自ら、漫画を描くことを止めることに。
その時、まだ、38歳という若さ。
実に、惜しいこと。
残念でならない。