大江健三郎さんが、ノーベル文学賞を受賞した時、インタビューの中で「安倍公房」「井伏鱒二」の二人の作家の名前を挙げていたのが印象に残っています。

なぜ、その二人の名前を挙げたのか、記憶は、定かではないですが、確か、「自分の小説は、この二人の流れを受け継ぐ」と言っていたような記憶もあるような気がしますが、違っているかも知れない。

 

井伏鱒二、安倍公房、どちらも、大好きな作家です。

まず、安倍公房から紹介します。

 

安倍公房さんの小説は、文章が分かり易く、大江健三郎さんの小説に比べると、読みやすい印象。

しかし、文章は読みやすいのですが、果たして、その内容が、何を意味しているのかとうことは、非常に難しい。

安倍公房さんの小説の不思議な世界は、あの「変身」「審判」などの小説で有名なフランツ・カフカの小説にも似た印象です。

 

安倍公房さんの代表作と言えば、やはり「砂の女」ということになるのでしょう。

個人的にも、大好きな小説です。

一人の男が、訪れた海辺の砂丘で、砂の穴の中に閉じ込められることになる。

男は、そこで、一人の女と一緒に生活をすることを余儀なくされますが、何とか、その砂の穴から脱出をしようと、もがき、苦しむことになる。

 

 

そして、「砂の女」と同じく、読みやすく、面白く、そして、不思議な世界を描く小説「カンガルーノート」。

 

 

個人的に好きなのが「燃え尽きた地図」という小説。

失踪した男を探して欲しいと依頼をされた探偵。

探偵は、男を探しますが、手がかりは、次第に、消えて行くことになる。

 

 

そして、安倍公房さんは、短編も面白いです。

「R62号の発明」という短編では、自殺志願者がロボットに改造される訳ですが、そのシーンは、まるで、映画「ロボコップ」で、警察官マーフィーが、ロボコップに改造されるシーンを彷彿とさせます。

 

 

その他、有名な作品と言えば「箱男」でしょうか。

これもまた、不思議な小説です。

 

 

読みやすい文章で、不思議な世界。

これぞ、小説の面白さではないですかね。