名古屋の癒しの空間 【エンゼルハウス in Nagoya】
本当に大切なものは目には見えないんだよ
■「命の授業」
日野原重明(聖路加国際病院名誉院長)「致知」より
僕は今人生において最も大切だと思う事を、次の世代の人に伝えていく活動を続けているんです。
僕は二週間に一回は小学校に出向いて、10歳の子どもを相手に45分間の授業をやっています。
僕が一貫してテーマとしているのは命の尊さです。
「自分が生きていると思っている人は手を挙げてごらん」と言ったら、全員が挙げるんです。
「では命はどこにあるの」って質問すると、心臓に手を当てて「ここにあります」と答える子がいます。
僕は聴診器を渡して隣同士で心臓の音を聞いてもらって、このように話を続けるんです。
「心臓は確かに大切な臓器だけれども、これは頭や手足に血液を送るポンプであり、命ではない。
命とは感じるもので、目には見えないんだ。
目には見えないけれども大切なものを考えてごらん。
空気見えるの?
酸素は?
風が見えるの?
でもその空気があるから僕たちは生きている。
このように本当に大切なものは目には見えないんだよ」と。
それから僕が言うのは「命はなぜ目に見えないか。それは命とは君たちが持っている時間だからなんだよ。
死んでしまったら自分で使える時間もなくなってしまう。どうか一度しかない自分の時間、命をどのように使うか、しっかり考えながら生きていってほしい。
さらに言えば、その命を今度は自分以外の何かのために使う事を学んでほしい」という事です。
僕の授業を聞いた小学生からある時、手紙が届きました。そこには…
「寿命という大きな空間の中に、自分の瞬間瞬間をどう入れるかが私たちの仕事ですね」
と書かれていた。
10歳の子どもというのは、もう大人なんですよ。
あらゆる事をピーンと感じる感性を持っているんです。
…と書かれてた。