セブンスドラゴン2020の結局書いちゃったよーー書いちゃったよーー!
少しばかり、というかかなり私の妄想で作り出した設定を使っております。
アイテムの使い方は私の想像です。ライフ回復系はスプレー、もちろんマカ回復は飲み物、といった感じです。
セーブポイントは名前だけで休憩地点とします。だってセーブできたらおかしいし。使わない荷物を部屋に送ってくれるもの、としておきます。
誤字脱字はご勘弁を。
……どうしよう。
目の前に立つのは自衛隊の大男。145cmしかない、少女藤山アリアにとってはその大男はただの恐怖でしかなく、見上げたままどうすることもできずぬいぐるみに見えるがこれでも鞄であるうさぎをキツく抱きしめる。
鞄から取り出し、手に握り締めた紙は家を出た時からくしゃくしゃになってしまった。そのくしゃくしゃになった紙を必死に伸ばし、もう一度それに目を移す。
『藤山アリア殿。あなたをムラクモ候補生として招集します』
その下には長々とよくわからない難しい言葉ばかりが並んで、その下に地図が乗せられている。それに従ってここまできたはいいが、場違いすぎる雰囲気に今にも緊張で吐きそうなアリアは帰りたくなった。いきなり家に訪れた噂でしか聞いたことのなかったムラクモ。その候補生に選ばれ、両親に進められるまま試験を受けることになった。服まで両親に勧められたものを着て、それに似合う鞄まで持って気合を入れて家を出てきたはいいが、まさか戦車まであるとはもちろん思っていなかったし、そもそも試験会場が都庁だ。いきなりムラクモの人が来たと思ったら紙だけを渡され、一人でこいと言われ、もう散々だ。とアリアは泣きたくなった。
ふるふると震えながらも、紙をそっと前に出すと自衛隊の男が笑顔で横にどいた。そのことにほっとしつつ、コーンなどでバリケードのように囲まれている場に入るとすでにたくさんの人がいた。アリアのようなゴスロリを着ている人はいないが、ヘンテコの服、制服、などもちろん服装だけではなく容姿も人それぞれだ。うさぎを抱きしめ、空いている場所で立ち止まることにしようと、歩き出し、真ん中の方に近づいていくと、喋り声が聞こえてきた。少し離れた場所から入ったせいか、始まっていたことに気がつかなかったのだ。
「あそこにいる者が、最後の一名のようです」
全員の視線を一斉に向けられ、ビクッと震え、うさぎで顔の半分を隠し下から様子を伺ってみる。
「さあ、君もこちらへ。名前を名乗ってもらえますか?」
緑の髪をした青年に笑顔で尋ねられ、ビクビクしながらも足を前にだし、少し近づいてからなるべく大きな声で名乗る。
「と、藤山アリア……です」
噛みそうになり、手で口を抑え噛まなくてよかったと心の中でほっとしつつ、周りを見渡す。緑髪の青年の横にはかなり美人の女性が立っている。ただ立っているというだけなのに上に立つ者、ということがわかるほどの威圧感がある。緊張が体が固まり始め、早く終われ早く終われと心の中で祈り出す。
「君が最後の候補生、アリアですか…ではそこに並んで聞いてください」
心の中ではい、と頷き黙って聞く。
「まずは、突然の招致に応じてくれたみなさんに感謝します」
笑顔になった女性はとても綺麗だ。すごい美人だなと、思いつつ言葉の続きを待つ。
「紹介が遅れました…私は、ムラクモ機関の長、日暈ナツメ」
「ムラクモ機関って…あの、マモノ退治の…?」
アリアの後ろあたりにいたセーラー服の少女が小さな声で呟く。
「…良くご存知ね。都市伝説として語られることもあるから、そのせいかしら?」
「エリートしか入れない、秘密組織とかって」
「…それは事実よ。私たちの機関に入るには、厳しい審査にパスする必要があるわ。そしてアナタ達…今まさに、その審査の場にいるってわけ」
ゴスロリで来るような場所じゃなかった、と今更悔いても遅く更には両親から勧められたものだ、着ないわけにはいかないと思考を巡らせるアリアは緊張から逃げるため、余計なことに頭を回すことにしたようだ。
「マ、マジかよ……!」
「審査って…ボクはいきなり連れてこられただけで…!」
「審査の方法は例年、違うんだけど…」
ナツメの目線に誘導され都庁の建物に皆が目線を向ける。もちろんアリアも。上まで見上げると首を相当上げないといけないため、あまり上の方は見えないが、それでも十分大きいとわかるほどの建物だ。近くで見るとさらに大きく見え、そのことに驚いているとナツメの話の続きが始まった。
「現在、あの都庁内に多数のマモノが入り込んでいるの。今年は、そのマモノの討伐によって、審査を行います」
「そ、そんなこと急に言われても…」
驚きが広がる周りと違ってアリアはあまり驚いていなかった。どうやら数名は今日いきなり連れてこられ、いまムラクモ機関だということを知ったようだが、アリアは最初から知っていたからだ。更にはマモノ討伐が試験内容になる可能性もあることを教えておもらっていた。驚きはまったくなかったが、恐怖はあった。そもそも、いきなり君には才能があると言われた件に関してまだ見切りがついていないのだ。自分には才能なんてない、これからもずっと独唱、一人ぼっちだと自分に言い聞かせそれでも生きていけるように頑張ると決めたはずだったのに、そんなことを言われ決心が揺らいでしまった。
それに、自分の才能もよくわかっていないし、使い方もわからない。ただ周りよりも運動神経がいいというだけで、なにもわからない。
うさぎを抱きしめる腕から少し力を抜いてから、またキツく抱きしめる。
「拒否権はもちろん、あるわ。でもムラクモの候補生として選ばれるなんて、それだけでも名誉のことなのよ? それがアナタ達がムラクモ機関…いえ、日本政府に認められた『S級』の才能の持ち主だということ」
「に、日本政府……S、級…」
自分以外には聞こえない声で呟く。そこまで大きい話だったなんて、と思わずまた泣きたくなった。
「日本政府のお墨付きか……」
「お、俺はやるぜ! ムラクモの話聞いたことあるし」
「じ、じゃあボクも…こんなチャンスは…もう、ないよな…」
「少なくとも、拒否する者はいない…そう認識して良さそうね。…キリノ、試験の説明を」
もうすぐ終わる、と少しホッとした。長時間歩いたこともあり、そろそろ立っているのが辛くなってきた。なによりピリピリした雰囲気にずっと吐きそうなのだ。
うぅっ小さく唸り、一歩下がりまた一歩と下がり一番後ろまで来ることができた。花壇の端の腰を下ろし、小さく溜息を吐き出す。こんな状態で受かるなんて夢のまた夢だろうなと諦めモードに入るとさっきまでの緊張が嘘のように消えていく。どうせ受からないんだから手を抜いたって問題ない、そうだそうしようと抱きしめたままだった鞄を肩から斜めにかける。汚れないように膝の上に置いて、少しばかりだか聞こえてくるキリノというらしい青年の声に耳を傾ける。
3人組……私と組んでくれる人なんていない、よね
服をぎゅっと握り締め、アリアが思い出したのは学校でのことだ。
アリアって名前可愛いけど一人ぼっちって意味だよね、と間違った知識を言われ違うよと否定しようにも自分もあまり意味がわかっていなかったせいでちゃんと否定できず、からかわれるようになり、それを嫌がれば嫌がるほど、いじめへと発展していった。今では誰一人としてアリアに自ら話しかけてくるようなことはなく、もちろんアリアから話に行くこともない。グループを作るときなんて、いつも一人ぼっちで残って少ないグループに入れられて、でも話すことなんてできなくて。
考えているうちにどんどん暗い気持ちになっていく。ぼーっと自分の足を見つめてじっとしていると影が差した。慌てて顔を上げると、にっこりと笑った青年が立っていた。
「君、一人?」
学ランのような服に色々と装備品が付いている男だ。染めたのか、白のような色が銀色のような不思議な髪色をした不思議な青年。その笑顔はすべてを受け入れてくれそうなほどの輝いたものだ。少し遅れて、驚き花壇から飛び降りたアリアは上目遣いで青年を見上げる。
「えっと、は、はい」
「前、見える?」
「疲れちゃって…前からこっちに」
「なーる! あ、でも教官先生の顔は見た?」
首を傾げて、えっと、と言葉を探す。
「ムラクモ長さんの右隣にいたみたいだけど、わかんない?」
教官、先生? ムラクモ長?
教官のことはよくわからないが、ムラクモ長は多分ナツメのことだろうとわかるが、変な呼び方をする人だ。
アリアがわかるのはキリノとナツメだけで、その教官先生という人の顔はわからない。わからないです、と首を振るといきなり脇の下に手を入れられた。
「きゃっ!?」
そのまま抱き上げられ、青年の背丈が大きいからか、大半の人の後頭部が上から見える。青年の腕に腰を下ろす形で抱きしめられたまま、あっちと言われたので見てみるとナツメの隣に顔に傷をつけたかなりガタイの良さそうな男性がいた。
「いきなり抱き上げてごめんね、見えるかなーって思って。あの人ガトウさんって言うんだって」
「い、いえ、あのごめんなさい…ありがとう、ございます」
いえいえーと満面の笑みで返したが、青年がアリアを下ろすつもりはないらしい。下ろして、というのもなんだかなと思い、というかせっかくの人の恩義をあだで返すようなので仕方がなく黙って抱き上げられたままガトウの話を聞くことにした。
笑い方からしてかなりワイルドそうだ。
「…それでは、現時刻をもって第75回、ムラクモ選抜試験をはじめます。皆の活躍を、期待しているわ」
「うぅ…始まっちゃったよ…」
「始まっちゃったねー」
再び緊張でお腹がキリキリし始め、辛さから思わず言葉を漏らしてしまうとそれを聞いていたのか青年が言葉を返してきた。びくっと震えて、小さく頷くと青年の後ろからまた別の青年が歩いてきているのが目に入った。フードを深くかぶり、襷のようなものを肩からかけている変な服装の青年だ。髪色は少しアリアを抱き上げている青年と似ているが、こちらは真っ白だ。肌も白く、白い服を着たら印象が白いになりそうな人だな、と印象を抱く。
フードの下から青年の目線がアリアに向けられた。と途端に、少し早歩きで近づいてきた。
「ついに犯罪者になるのかユウト」
「なりませんから! ただの人助けですから!」
「明らかに怯えているが?」
「サクヤにだろー」
二人共ムスッとした顔で言い合いを始めてしまった二人にあわあわとアリアは意味もなく慌てる。
しばらくすると、ユウトという名らしい学ランの青年がもういいやと言わんばかりに溜息を吐いた。
「で、サクヤあと一人誰か誘う?」
「お前と俺が一緒なのは決定なのか、困ったなすでに五人程から誘われてしまったんだが」
「なんだと!? おま、おま偵察に行ってたんじゃないのかよ!」
「偵察に行っていたのは本当だが……お前は人を疑うということを知れ。嘘に決まっているだろう。」
「出たよ嘘!」
「そんなことより、そろそろそのお嬢さんを下ろしてやったらどうだ」
ハンッと冷たい瞳でサクヤに言われると、うぅと泣きそうな声をあげつつユウトはゆっくりとアリアを下ろした。うさぎを抱きしめ、ペコッと頭を下げ下から二人を見上げる。
「お嬢さん、あっちで装備品がもらえる。行ってくるといい」
「あ、はい。ありがとうございます、すみません」
パタパタと走ってその場から離れ、装備品を受け取っているほかの候補生達の後ろに回る。青年がつけていたようなものをもらったり、武器だけをもらったりもらうものは人それぞれだ。どうやら助言をもらって自分で装備品を決めて借りられるらしい。
アリアの番が回ってきた。
「んー、君は小さいからあまり装備品はつけない方がいいだろう名前は?」
「藤山アリア…です」
「サムライの素質あり、か。よろしいこれを持っていけ」
渡されたのはアリアの背丈より少し小さいぐらいの錯覚を受けるような少し大きめの剣、だ。日本刀と言ってもいいかもしれない。両手で握り締め、ターミナル近くまで行き、とりあえず誰か一緒に行ってくれそうな人を探すことにした。一人で行くには心細いし、そもそもそんなこと怖くてできない。
装備品を取りに行ったのが遅かったせいかほとんどの人は組み終わり、残っている人が少ない。
「どうしよう……」
小さく呟いて俯いてしまうと、また影が差した。今度は両脇からだ。
「お嬢さんお一人ですか?」
顔を上げると、さっきのユウトとサクヤが笑顔でアリアを見ていた。
「よかったら一緒にいかないですか?」
ユウトとは違った、でも綺麗な笑顔を浮かべたサクヤにびくっと思わず体を震わせ、刀を握る。
「えっと、あの」
「みんなはえぇな。さっさと決めてさっさと行っちまったよ。もう俺らしか残ってなくねーか?」
「そうだな、お嬢さん…っと、先に自己紹介からだな。私は須原朔也、サクヤと呼んでくれ」
「そういやそうだった! 俺は城井優斗、ユウトで。お嬢さんお名前は?」
「あ、と、藤山アリア、です」
アリアが名乗ると二人が顔を見合わせ、同時に少し笑った。
また、学校の時みたいにからかわれると思い、服を強く握り締め顔を舌に向け唇を噛み締めていると、ふっとサクヤの小さな笑い声が聞こえた。
「君に似合った、とても美しい名前だね」
「アリアかーなんか姫様っぽい名前だな。よし、姫ちゃんと呼ぶことにしよう!」
「お前はまた、そんな呼び名をつけて…」
「いいじゃんいいじゃん、ね、ひーめちゃん!」
「え、ふぇ、えっと…」
予想していた言葉とは違う言葉に混乱しているアリアに気がついていないのか二人は会話を勧める。
「君はサムライか、サイキックにデストロイヤーにサイキック、相性はいいんじゃないか?」
「だなー。姫ちゃんは一人でいく?」
「い、いえ…誰かいないかなって探してました」
「じゃ、俺達と行こうぜ! はいはい登録ー!」
アリアの返事を聞く前に、ユウトがターミナルに走って行き何やらピコピコと打ち出した。途中で、うおっと驚いたような声が聞こえたが、サクヤは特に気にしていない。
「すまないな、昔はああではなかったんだが…」
「いえ、面白い方、ですよね…?」
サクヤに苦笑いを返され、なんだかんだ言いながら仲がいいんだな、とクスリと笑うとユウトの声が響いた。
「なー! リーダー決めないとだってさー!」
サクヤに肩を押され一緒にユウトの元に駆け寄る。ターミナルには一人の少女の顔が浮かんでおり、その少女がパーティーないでリーダーを一人決めてくださいと少し機械的に言ってきた。サクヤと同じか少し下、ぐらいの少女だが慣れているような雰囲気が映像だけなのに伝わってくる。
「リーダーか…ユウト、お前はだめだぞ」
「わーってるよ。サクヤ、お前もだかんな?」
「わかっている。……となると、どうする」
「えっ、私ですか!?」
二人に視線を向けられ、思わず大きな声で聞き返してしまうと二人からにっこりとした笑みが帰ってきた。
「ユウトはこの性格だからな、人の上に立つようなことは向かないんだ」
「そうそう。サクヤさ、これでも研究員になるのが夢でさ、で、血なのかもしんないんだけど気になったことがあると寝ることすらほっぽって研究しようとすんだよ…そんなやつリーダーにできないだろ?」
「む、無理ですよぉ! 私なんて、なにもできないですし!」
「大丈夫だ、できる限り私が手伝う。君一人に任せっきりにはしない」
「わぁ、サクヤいっけめーん。姫ちゃんがリーダーでっと」
あぁ、もうだめだ。とアリアは簡単に諦めた。全部サクヤに手伝わせるハメになるだろうなと、少しばかり未来の想像をして肩に荷が乗りかかってきたような感覚に誘われ、はぁ、と大きく溜息を吐く。
「……わかりました、がんば、り、ます」
もう一度大きな溜息を吐いて、男二人に挟まれガトウのところまで歩くことになった。
「おう、チーム編成をチェックしてやるぜ」
ざっとした目の動きでアリア達3人を見ると、ガトウが頷いた。
ちなみに、アリアは剣という大きな目印を持っているが、サクヤとユウトは鉤爪のようなものとナックルと手につけただけなため少し気が付きにくいがガトウは見逃さずに見ていたようだ。
「…よし、問題ないみてェだな。じゃあ、行くぞ。他のヤツらは、もう入ってるンでな」
ガトウの後に続き、都庁の中に入る。
ジロッと見られ、二人の後ろに少し下がって隠れる。
「よォし…全員そろってるな? 外で伝えた通り…お前らには、これから『マモノ』を狩ってもらう」
「あの……マモノってどんなヤツなんですか…? 何となく、ウワサで聞いたコトあるけど…実際見たコトはなくて――」
と一人の男が言った途端に、奥にある階段近くに突如うさぎによく似た、でも消してうさぎではないものが現れた。
「ひ、ひぃッ!?」
喋っていた男が大げさに驚き、皆がマモノの方を見ている。男の声に隠れていたから気がつかれていないが、アリアも驚きの声を上げていた。二人の間に挟まれているアリアには足の隙間から見える程度のもので、全体はよく見えていない。
「…ダハハハッ! よかったじゃねェか、本物が見れて! そいつが『マモノ』だ。だが、そんなにビビるコトはねェぜ? ちっとばかり凶暴な、獣ぐらいのもンだ」
そういうとガトウは候補生達に目線を向け、しばらく見渡すと、アリアと目があった。びくっとまたもや体を震わせ、じっとガトウを見返しているとニヤリと笑った。
「そうだな…とりあえず、お前がやってみろ。誰かがやらにゃ、他も動きそうにねェしな」
「うぇ!? あ、えっと、が、がんばります……」
断るわけにいかず、涙目になりながらも頷き、二人を交互に見上げると二人はアリアではなくマモノの方見て、すでに狙いを決めている様子だ。ユウトはニヤリと口元を上げ、サクヤは冷静に鉤爪を付け直している。
「ほら、姫ちゃんいくぜー」
「う、うん!」
マモノの前に駆け出し、まずは、と剣を抜いて近い方にいたうさぎに良く似たマモノに斬りかかる。幸いというか、少しの間だが剣道を習っていたことがあるので、なんとか傷を付けることには成功した。剣道とは剣の握り方も、振り方も違う。けれど、ちゃんと練習を積めば、なんとかなりそうだっとこっそり安心する。アリアがさっとマモノからバックステップで離れると次はサクヤが滑り込み、マモノに斬りかかろうとしたが、その前にマモノの反撃が飛んできた。腕でガートをしてなんとかその場から少し離れる程度で留まった。もう一匹のマモノがユウトに飛びかかる。アリアの視線がそちらに行った間に、ざっと音と共にマモノが倒れる。慌ててサクヤに視線を向ければ、ユウトのサポートに回るためにすでに動き出していた。
うさぎの体当たりがユウトにぶつかり、その仕返し、といった感じですぐにユウトの拳がうさぎ型のマモノに捻り入った。殴り飛ばされたマモノはどうやら完全に仕留めることができなかったらしい。また攻撃が来る前に、とすぐさまアリアが斬りかかると、マモノが倒れた。
マモノを前に荒い呼吸をしつつも鞘に剣を収め、ふぅ、と息を吐いてからやっとガトウが隣にいることに気がついた。
「…おう、上出来だ」
「あ、えっと、ありがとうございます」
ペコリと頭を下げて、二人の後ろに隠れる。
「ま、こンな感じでやりゃあいい。その戦いの様子を見ながら、お前らの審査をさせてもらうってワケだ。だが、このフロアはマモノが少ないンでな…本格的な審査は上でやる」
チラッとサクヤとユウトを見てみる。怪我はしているが、あまり酷い怪我ではないらしい。
「おっと…お前らはケガしたンなら、これで治しとけ。1チームだけ負傷スタートじゃ公平じゃねェからな」
ガトウが近づいてきたので、二人の後ろから手を伸ばし、小さなスプレー缶のようなものを3つ受け取った。
「じゃ、とりあえず…全員マモノを始末しながら三階まで来い。根性ねェやつはそこでバイバイだ」
そう言ってガトウが階段を駆け上がって行った。その後ろ姿を見送り、手に持ったスプレー缶を握ってみる。
「えっと、これ、どうしよ?」
「どうやら、あの緑色のダイヤ型、セーブポイントというやつらしい。とりあえずそこに行ってからにしようか」
紙を見つめながら言ったサクヤの言葉に従い、とりあえずそばにあった緑色のものに近づく。近づいたはいいが、なにをすればいいのかわからず、それにそっと触れてみた。その途端にそれが光り出した。
「わっ!」
「ん? なんか、体軽くなったな」
「どうやら、体力を回復してくれるようだな。そのスプレー缶はまたの機会に使うとしよう」
サクヤに言われ、仕方ないのでうさぎの背に付いているチャックを開き、中に入れておく。
「んじゃ、行きますかー。姫ちゃんおっけー?」
「だ、大丈夫、です! やれます!」
「あ、敬語なしでいいよ、なぁ?」
「そうだな」
「う、えっと、がんばり、ます」
えーっと大げさに肩を下ろしたユウトに呆れるサクヤをみて、アリアはクスリと笑った。