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Killing time

よくわからないようなことをちょこちょこ呟くだけ。
小説を書いては消してをしているかも


自己満足の為に書いているので、ペタは出来るときにしかできません。

つゆつきへの3つの恋のお題:優しい笑顔が好きだった/鳴らない電話/好き、なんて言わない。



初めて出会った時、すぐにテレパシーの異能者であることは勘付いた。

俺がこうであれば、と思ったことをこいつはしてくる。

読まれていると気が付けば、あとはどうしてそんなことをしているのか、それもなんとなくわかった。面倒なんだろう。作った笑顔が、そう物語っている。

あぁ、面倒事になるのはゴメンだ。

そう言っているかのようだ。

まるでこいつは昔の自分だと思った。こいつは相手の心を読んでそう動く、巻き込まれないようにと自ら後ろに下がり気がつかれないようにと行動する、そんな自分と比べればうまく立ち回れていると思うが。面倒事を嫌うところは、そっくり、かもしれない。

こちらの作った笑顔と同じく、作った笑顔を浮かべている栗花落を見て思う。


作り物だとしても、その、優しい笑顔が好きだった。





横目で何度見たところでさっきと変わったところはどこにもない。


「……はぁ、女々しすぎてあかんわ」


最近連絡すらもしていないせいで、もしや電話が来るのでは、と携帯を何度も見てしまう。栗花落がそんなことをしてくるはずもない。本当にたまにしか連絡は来ない。基本的にこっちから連絡をしているので連絡する必要もないと思っているのかもしれないが。

連絡をしたいが、電話をかけている時間も、メールの文章を作成してる時間もない。

仕事だけで両手がふさがって、猫の手も借りたいぐらいに忙しい。

はぁ、とため息を吐いたと同時にバランスを崩した書類がバサバサと大きな音を立てて落ちていく。


「あーーー! もう、あかん、やだぁねむいー……」


今日は何徹目だったか。そんなことも忘れてしまうぐらいに頭が重い。いっそのことショートしてしまえ。

チラっともう一度携帯を見たところで、変わってるはずもない。

せっかく順番に並べたというのにバラバラになってしまった書類を拾い上げ、もう一度並べ直して、今度はバランスを崩さないようにと気をつけ場所をあけて乗せておく。

長時間座っていたせいでズキズキと痛み出した腰を少し摩って伸びをしてから、パソコンの前に座る。


「はぁー、はよ終わらせて会いに行こー」


電話はまだ鳴らない。






「ちょっと、重たいんだけど」


「んー……」


気がついたら月島に抱きつかれていた。

確かここ最近月島は家に来ていないはずで、昨日だっていなかったはずなのに、なぜいる。

考えて思いつくのは、寝ている間に合鍵で入ってきて、そのまま寝ていた私を抱きしめ寝落ち。うん、これだ。

起きようにも、身長差があるせいで、抜け出せない。声をかけてみても返ってきたのは起きたんだが寝ているんだがわからないようなものだけ。眼鏡を外して若干口をあけて寝ている顔はちょっと面白い。

寝ているのをいいことに頬を軽く引っ張ってみる。


「間抜けな顔」


もう少し引っ張ってから手を離すと、痛そうに顔を歪めたが起きる気配はない。

面倒だし、このままもう一度寝直すことにしようかと少し動くと、月島がうめき声みたいな声をあげて強く抱きしめてきた。ただでさえ苦しかったのに、胸に顔を埋める形になってしまって余計苦しい。

普段なら頭突きでもしてやるところだけど、安らかに眠っている寝顔と、前に会った時より濃くなっている隈を見てしまうと、仕方ないかという気持ちになってしまう。

少し動いて息がしやすいようにしてから、小さくため息を吐く。

手を伸ばして少し頬に触れる。

少し触れただけなのに猫みたいに手に頬を摺り寄せてきた。


 たまには好き、とでも言ってやるかな


明日は槍が降る、とか言われそうだけど。たまにだったらまぁ、いいかもしれないし、冗談とでも言えば信じて本気にはしないだろうし。


「ま、好きだなんて言ってあげないけど」


やっぱり槍が降るだなんて言われたらムカつくし。





つきつゆへの3つの恋のお題:寂しいときに限って居ない/いびつな笑顔/眠りにつく前に


抱きかかえていた枕をベッドの上に投げ捨て、倒れるように寝っ転がる。

ここ三日ぐらい、連絡すら来ていない。

別によくあることだし、仕事をサボりすぎて溜まりに溜まったものを今必死に片付けているんだろう。自業自得の一言に限る。

ふぅ、とため息を吐いて枕に顔を埋める。

月島はいつものことだけど、私はどうしたんだろうか。

らしくもなく、月島に会いたいだなんて。ほんとに、らしくない。あいつが逃げたら追いかけるけど、それを認めて口に出すのはできない。この前しばらくあいつと会わなかったときは、また逃げたか、とは思ったけどため息が出るほど会いたいとは思っていなかった。逃げたなら追いかけるから会えるし。

まぁ、それは置いといてどうしたものか。

うん、あの手を使ってやろう。


「産まれるっ!っと……送信」


これですっ飛んでくるだろう、あの時みたいに。





いつからだろう。

こいつの笑い方が変わってきたのは。最初はあからさまに怪しい笑顔だった。胡散臭くて、めんどくさそうな笑顔。こっちも笑顔で返してやれば少し驚いたような顔をしたけど、すぐに胡散臭い笑顔に戻った。それから幾度となく話しかけられ、こいつのことを一方的に聞かされた。

弟と同じ、研究課勤め。関西出身。目は結構悪い。こっちのことはあんまり聞かないくせにペラペラと自分のこと言ってくるし、秘密とかはないのかと思うぐらいもうペラペラと。適当に聞き流してたからあんまり覚えてないけど。

正確な日にちとか、何があったとか、全然覚えてないけど、いつからか笑顔がぎこちなくなってきた。段々面倒になってきて相手するのが適当になった時ぐらい、っていうのは覚えてるけど、適当に相手をすると一体何が面白かったのか笑い出すから、それが原因ではない。あいつのツボはイマイチわからないからもう理解しようとするのはやめといた。わかんないし。

もう一度変化がおきたのは付き合ったばっかりの時、笑顔が時々いびつになるようになった。

それに気がついた途端に、あいつは逃げ出した。普段からは到底想像できないような俊敏な動きで逃げ出し、追いかけて追いかけて殴って(避けられた)捕まえて気絶させ、その間に引きずって家に連れ込んだ。そして、起きた途端にまた逃げ出そうとした月島の襟を掴み上げ、睨みつけながら、逃がさないから、と宣言して、その後何回、逃げる月島を捕まえて家に連行したかは覚えていないけど両手で数えても足りないはず。

最近は逃げるのもなくなってきたけど、いびつな笑顔の方はなくなる気配もない。顔を合わせたとき、必ず一回はしてる。

なんでしているのかもしらないし、月島自身にはそんな笑顔をしていることも言っていない。普段のと大差ないし。


「逃がさないから」


「ん?」


「何でもない」


例えこいつがなにを抱えていたとしても、なにがあっても、絶対逃がしてなんかやらない。私を変えてしまったくせに逃げることなんて、絶対させてやらないんだから。





「なぁ、栗花落さんや」


「なに」


「なんで縛られているんでしょうか」


「縛りたいから」


「自分の欲望に素直なことでェ!!」


おかしい、確か寝ようとして横になったはずなのになんかゴソゴソ言っとる上に腕掴まれとる、と思って見てみればいつの間にやら縄を手に持った栗花落が腕を縛っていた。

縛りたいから縛るてどうゆうこっちゃ。っていうか縛りたいってなんやねん。なんで寝る前、寝てる後にでもやってほしいわ、もうホンマ、わからん。


「あの、あ、あの眠れないんやけど」


「あっそう」


「寝たいんですけど……」


「よーし、できた」


「人の話聞いてる!!?」


「ふぅ、寝よう」


「寝るなや!」


後ろで腕を縛られてる俺を横に栗花落は横になろうとしていた。


「せめて理由を言ってからにしてもらってもいいですかね栗花落さぁん!」


「うるさいよ、月島。理由なら自分の胸に聞いてみなよ、はい、おやすみ」


「おやすみ~なんていうと思ったか!」


「強制的に寝かせてほしいと」


「おやすみ~」


ゴキゴキ指を鳴らすのだけはホンマ勘弁。絶対気絶させるとかやろ、強制的て。もぅまぢウチの彼女っょぃ。

とか言っとる場合やないな、どうにかして縄とかんと。安らかな眠りにつけん。目を閉じて寝息をすでに立て始めている栗花落にバレないように人差し指を刃物に変えてこっそり縄を切る。暴走したどっかの誰かさんの異能コピーしといてよかったわー。

縛られていた時間は短いから跡にはなっとらんと思うけど、手首がちょっと痛い。


 しっかし、これはあれか。逃げないようにってことなんかな。


さすがに逃げるたびに殺されそうに(ホンマに死ぬと思った)なっとったら逃げる気も失せてくる。今日は逃げるつもりもなかったんやけど、なんか変な本でも読んだんやろうか。誰や、栗花落にSM本読ませたやつ。いや、普通の本……もしくは薄い本か!誰や、ホンマ呪うぞ!


 とりあえず抱きついてええかな


縄を切ったって知ったら怒られそうやけど、逃げる意思がないっていう意思表示としてならええかな。

ビクビクしながら腕を回して自分よりも小さい栗花落を抱きしめ、殴られなかったことに小さく息を吐いてから、目をつぶる。


「眞衣ちゃんはさみしがり屋ですねー、はぁ、寝よう」






「なんでまた縛られとんの!?」


「アズミちゃんを縛りたいからですー」