今年は、いつも以上に激動の年でもあり、
本当に、大いに笑い、大いに泣いて、
心を揺らした年でした。
脆弱な身体を動かしまくった年でした。


でも、おかげで多くの事を
たくさんの方々から学ばせていただいたり、気づかせていただきました。
本当にありがとうございました。

来年も、さらに高く、遠く、美しく、跳んでいこうと思います。
よろしくお願いいたします。

2013年の舞台出演履歴はこちら
http://light-trap.blog.so-net.ne.jp/2013_syutuen

【1~3月】
今年度で最後になってしまいましたが、
第5回川崎インキュベーター合同公演 「ブルーシートチルドレン」は
出演だけではなく、事務局として、演出助手として、
そして、この座組を愛するものとして、
やれるだけの力を全部注ぎ込みました。
もちろん、至らない点も多々あり、
ご迷惑をおかけしてしまった事もありますが、
ここで培った事は、自分の今後の活動にとって
非常に大事なものを得た公演でした、

【4~7月】
10周年を迎えた、一人芝居公演企画
「のんべの劇的世界Vol.017 クラッシュカバー ~Crash Cover~」
50分近く即興一人芝居を演じるという、
今までにないチャレンジをしてみました。

「観客とともにイメージの旅をする」

そのコンセプトを、しっかり具現化できた公演でした。
このスタイルをさらに進化させていきたいと思います。

【8~11月】
10年ぶりの台本芝居企画「魔女たちのエチュード」。
今年の一番のイベントはこれだったと思います。

今までの自分の演劇に対する蓄積を具現化するだけでなく、
自分自身の中にある記憶やトラウマの正体、
演劇に自分が何を求めていて、何を与えようとしているのか?

稽古自体は非常にスムーズに計画的に進む中、
自分の中ではイレギュラーなものが、どんどん自分の目の前に現れました。
自分の意識の底に強烈な力で沈めこんだものが、浮上してきたような感覚です。

また、それが恐怖ではなく、かえって嬉しく思えたのは、
出演者の魔女たちの「生き根性」のエネルギーのおかげです。
本当に感謝しています。

さて、来年7月には「魔女」企画をまたやります。
次は何に出会えるのでしょうか?

【12月】
ということで、充電期間。
今年得たことを踏まえつつ、
いままで苦手意識で近づかなかったものに、
あえて近づこうとしています。

来年に向けて、さらに一歩進めたらと思います。

【15年前につくったWeb「呑兵衛的劇的世界」のご挨拶】
いろいろな日常の出来事が,もしすべてお芝居であるならば、、、
脆弱な体を動かし、足りない頭を使って、ひ弱な心を揺らして、
この小さな舞台の上から,世界中のお客さんへ
届け この想いよ  届け この喜びよ  届け この感謝よ


神戸のインプロマラソン2013というイベントにて即興一人芝居やってきました。

このイベントは12/29(土)13時~12/30(日)9時までの20時間、
ぶっつづけでいろんなインプロをゆるゆると楽しむ企画です。

私はこの企画に1時間ばかり時間をいただいて、
私の即興一人芝居の30分の実演と、
10年やってきたこの即興一人芝居のノウハウを伝えるワークショップをやりました。

その記録を、記憶にある中で記します。

まずは即興一人芝居の実演。
オープンマイク・イベントでは完全にフリーの状態から始めますが、
今回は、来年に日本各地で即興一人芝居をやる企みもあり、
私のオリジナルフォーマット「Traveling」を本邦初公開でやってみました。

フォーマットは至極簡単。
テーマは「旅行」
お題は「何処に行くか?」「誰と行くか?」の二つだけ。

そして、今回いただいたお題は
【「ニューヨーク」に「知り合いの奥さん」と旅行する】というもの。

シーンを始めるにあたって、私はMCにて
「ゆるゆると始めます」というつもりが、思いっきり噛んで
「じゅるじゅると始めます」と言ってしまいました。

なんで、そんな風に言ってしまったのか?
でも、自分の身体が発した音なので、それをそのまま使う事が「スタート地点」

オープンマイクで心がけている
「ことば」を巡る冒険をまず始める。

それは、「ことば」のイメージを自分の中に浸透させて充電するとともに、
これからお客様と一緒にイメージの旅をするために、
【共有するパーツ】を確認する作業でもあります。

じゅるじゅると。。。
液体のように流れていく。固体のようにぶつかりはしない。
傷つけないように、傷つかないように
あいまいに、形をもたず
じゅるじゅると。。。
どこにいるでもなく、どこにあるでもなく
決め付けられず、決められず
じゅるじゅると。。。


飛行機の中のシーン。
知り合いの奥さんが左となりに座っている。
これからニューヨークに旅立つ。

主人公は言う
「この旅は俺が決めた事。たしかに、君がNYに行きたいとはいったが、
 こうして一緒に行くのは、俺が決めた事。君は悪くない」
どこか会話はぎこちなくなる。
彼はNYに行くのは初めてだ。NYについて何も知らない。
NYに何があるのか彼女に問うが、彼女は彼が知っているNYについて問いかけた。

「自由の女神、摩天楼、マンハッタン、ブロードウェイ、イエローキャブ、アメリカンドリーム、ハーレム」

結局それくらい。ガイドブックか映画で知った世界。
だってそこに行った事がないから。
体験したことがないから。
どうすればいいかわからない。
どうすればいいかわからない。
だって体験した事がないのだから。
こうやって君と旅行することも。。。

シーンを急激にシフトチェンジ。
なぜか、蔵重智に戻り、即興一人芝居のコツについて語る。
「先は考えない。今、ある事に真摯に向かう。
 例えるなら、自分の身体を全力で前にぶん投げて、全速力で自分を拾いに走る。
 キャッチできなかったらそこまで。とりあえず、全力で走る。
 だって、体験した事を再現したり、説明をしたら、それはもう即興ではないから。
 それはもう泣きながら走るしかない。でもそれが楽しかったりするから困ったもんだ」

さらにシーンは変わる。
舞台セットがちょうどセンターに椅子一脚。
その椅子の背の後ろにまわり、観客に質問する。
「私はニューヨークに行った事がありません。だからニューヨークはよくわからない。
 みなさんはどうですか?
 たとえばこの椅子がマンハッタン島とする。すると、自由の女神はどこにあるかわかりますか?」

とくに答えはない。

自由の女神は、アメリカの独立を記念して、フランスから贈られたもの。
そして、自由の女神は、アメリカに自由を求めてやってきた人々迎え入れる場所に立っている。
という事は、自由の女神はマンハッタン島を見守っているのではなく、むしろ背を向けているのでは?
(これは私のまったくの推測なので、本当はどうなっているのか知りません)

NYの旅のシーンに戻る。
マンハッタン島から自由の女神を望む二人。
「自由になるために来たのに、なぜか心には何かが引っかかっている。
 自由の女神もこちらを見つめてはいない。
 日本の裏側のここまで来たのに、何も迎え入れてはくれてない気分だ」
ぎこちない時間が二人の間を流れる。

シーンはまた跳ぶ。
禁断の実を受け取るアダム。
イブの説明を聞き続けている。
自分には今知恵がない。この実を食べていないから。
イブには蛇がいろいろを教えている。
でも自分は何も教えられない。
だって、自分には知恵がないから。
だから、自分はこの実を食べる。
神様は食べるなと言っているが、
イブのためには、知恵が、この実が必要だから。

禁断の実をかじるアダム

じゅるじゅると禁断の味が喉もとを過ぎていく。
甘美な香りと、背徳の苦味が、口の中を通り過ぎる。
じゅるじゅると。。。
液体のように流れていく。固体のようにぶつかりはしない。
傷つけないように、傷つかないように
あいまいに、形をもたず
じゅるじゅると。。。
どこにいるでもなく、どこにあるでもなく
決め付けられず、決められず
じゅるじゅると。。。

このようにして、
NYでの男と女
蔵重智としてのニューヨーク観とインプロ観の語り
アダムの世界

の3つの世界が交差しながら、
シーンは進行していく。

NYでの男と女は、
男が自分の気持ちに気づくとともに、
女の気持ちにも気づいてしまう。

蔵重智はイチローにはなれない。
でもイチローのように誰かに何かを与えられたら幸せだ

アダムは知恵を身につけた。
そして神様に問う?
なぜ、知恵を与えてくれなかったのか?
そして、知恵があるゆえの苦しみを与えるのか?
知恵は高い搭を気付き、そしてある日いとも容易く崩れていく。
でも、人間は考える力がある。
そのまま崩れたままではない。
少しずつ、その足で立ち上がる。その頭で考える。
その心で他人を愛する。

じゅるじゅると。。。そう、じゅるじゅると。。。
傷つけないように、傷つかないように
あいまいに、形をもたず
じゅるじゅると。。。
どこにいるでもなく、どこにあるでもなく
決め付けられず、決められず
じゅるじゅると。。。


第2幕の軸のひとつである、おとぎばなし「ヘンゼルとグレーテル 」
原作とはかなり変えています。

この作品、実は長きにわたって、私の中でめぐっていた作品です。
この習作ともいえる2作品を紹介しますね。
さて、この作品、まだまだ磨きをかけていきたいと思います。

実はこのアイデアが浮かんだ最初は
2007年12/17-20 横浜ZAIM地下室にて、
4夜連続ひとり即興芝居企画『酒と芝居と地下室と』の
第3夜で偶発的に産まれた作品がベース。

この企画のプロデューサーが毎晩、刺客のアーティストを地下室に呼んで、
その作品がある中で、即興一人芝居を1時間近く演じるものでした。

その時の記録
ーーー
今回の刺客はKyouさん。
少し遅れて小屋入りすると
会場の地下室はすでにいろんなものでちらかっていた。

ボール、新聞紙、ピアノ、
がらくたとしか言えないものたち

そして、お話は新聞紙をちぎるところからはじまる。

ヘンゼルとグレーテルは継母に連れられて森の奥へ。
家に帰る目印として、ヘンゼルは新聞紙をちぎって目印にする。

そして、新聞紙の破片を拾いながら
森から出ようとする兄妹。

夜になって寂しくなったグレーテルのために
ちぎった新聞紙を拾い上げ、
そこにある単語を読み聞かせるヘンゼル。

第一夜 損失
第二夜 不合格
第三夜 悪
第四夜 四十個の太陽晴れ
第五夜 朝

兄妹は途中喧嘩もするが、
森を出る頃は、お互いの手をつなぎ
まっすぐに家に向かって帰る。

そして、株で大損をした男は
ホテルの最上階のスイートルームで
泣きわめき、自殺を図ったりして荒れ狂った。

家に帰ろう
家に帰る兄妹
帰る家のない男

家を作ろう
家は素敵だ
他人が入ってこれないから
入ってきた他人はお客さんだ

がらくたで作られていく家

そして、第六夜
家を前にしてる兄妹。
二人手をつなぎ家の前に立っている。
二人の影は夕陽の光で家まで伸びている。

その家の中では、継母が見知らぬ男と情事にふけていた。

夜になり、兄妹の影はきえる。
そして、家には小さな火がともり、
それはやがて大きな炎となり
継母も男も炎の中に消えていく。
二人手をつないでいる兄妹の影は家とは逆の方向に長く伸びていき、
そして消えていく。

7日目の朝
家も兄妹もいなくなっていた。
ーーー

そして、それから5年後の
2012/10/29 オープンマイク・イベント
開口一番 PoetrySession Vol.38 にて、
その時の作品をベースに、即興でさらにイメージを広げたのが
以下の作品です
ーーー
【ハロウィンの魔女 】

むかしむかし 人里離れた森の奥に、一人の老婆が住んでいた。

彼女が子供の頃は、街で両親と暮らしていた。
しかし、父親が病気で亡くなり、母ひとりの手で育てられた。
そのため貧しい生活を強いられ、また街の人々の目も冷たかった。

ハロウィンの祭りで、お菓子をもらいにいっても、
乞食扱いされ、お菓子をもらうどころか、追い払われた。

ある日、街に疫病が流行った。
父親が亡くなった病気だった。
街の人々は母を魔女と呼び、石をぶつけ、火あぶりで処刑した。
炎に焼かれる母親は、ただひたすらに逃げろと叫んでいた。

彼女は街から逃げ出し、誰も訪れることのない森で静かに暮らしていた。
誰からも責められることなく、心穏やかに暮らしていた。
時々、森に人が迷ってくることがあったが、
関わりを持ちたくはないので、追い払った。
人は彼女の事を「魔女」と呼び捨てて、去っていった。

そうして、年老いるまで、この森でずっと暮らしてきた。

ある夜の事、老婆はふと幸せな頃のハロウィンの夜を思い出した。
母親が作ってくれた、かぼちゃ料理や甘いお菓子。
老婆はそれらを昔を思い出しながら作った。
ケーキで土台を焼き、その上に飴細工の家をつくり、砂糖の雪を散らした。
子供の頃の一家団欒の幸せな時間を思い出し、噛み締めた。
不細工な飴細工に砂糖まみれの焦げたケーキ。
でも、それが老婆にとって美しい思い出だった。

ふと、ドアをノックする音がした。
ドアを開けると、外には二人の子供、男の子と女の子がいた。
二人は兄と妹の兄妹だった。
森の中で迷っていたらしく、泥だらけで傷だらけだった。
しかも二人ともやせ細っていた。

二人はテーブルの上にある魔女のケーキをみつけ
「お菓子をちょうだい」とかぼそい声で言った。

老婆はかつての自分の姿を思い出した。

老婆は「いいよ」と言って、二人を家に招きいれた。
かぼちゃ料理をご馳走し、ケーキと暖かいミルクを与え、
お風呂と、ふかふかのベッドを与えた。

なぜ森で迷ったか問うと、兄弟は森で親に捨てられたという。

父親を亡くし、しばらくは母親と3人で暮らしていたが、
母親が新しい父親の元に通うようになり、
ほっとかれて兄妹だけで過ごす事が多かった。

あるとき、新しい父親が二人を森に連れてきて、
そこで捨てられてしまったらしい。
兄妹は家に帰りたがったが、
今ここで帰っても、また親に邪魔者にされると思った老婆は、
兄のほうは、怪我もひどく、安静が必要なこともあり、
二人にしばらくここで暮らすことを勧めた。

二人が街に戻っても、二人だけで生き抜けるように
老婆は二人にいろいろ教えた。
男の子には仕事をする上で必要な様々な知識を与えた。
女の子には家を守るために必要な家事をやらせた。
二人には自分の力で強く生きていけるよう、厳しく老婆は教えた。

そうして暮らしていくうちに、ハロウィンの夜がやってきた。

老婆は二人が訪ねてきた夜と同じように
かぼちゃ料理とケーキを作った。
幸せな頃の家庭を思い出しながら、
兄妹のためにご馳走を用意していた。

老婆が大きなかまどの前で火加減を見ていると、
突然誰かに背中を押され、老婆はかまどの中に落ちてしまった。
炎に包まれる老婆の目に映ったのは、女の子が両手を突き出して立っている姿だった。
老婆は女の子に助けを求めて手を伸ばしたが、
女の子は振り返り隣の部屋に行き、男の子を部屋から連れ出そうとした。

「なぜこんな目に?」

老婆は自力でかまどから這い上がった。
炎は台所に燃え移り、あたりに火の手があがった。
ケーキの砂糖も黒焦げになり、飴細工の家は溶け、土台のケーキも崩れていった。

女の子は、男の子の手を引っ張って外へと駆け出した。
老婆はその場に崩れ、自分に何が起こったかもわからないまま、
そのまま家もろとも焼かれてしまった。

真っ暗な森の中を、走る女の子。
後ろでは赤い炎の光が照らされている。
振り返るとあの火達磨の老婆が追いかけてきている姿がありそうで、
ただひたすらに炎の光が届かないところへと、全力で駆ける。
男の子はまだ怪我が治っておらず、女の子ほど早く走れない。
手がちぎれそうなくらい後ろに引っ張られる。
でも、ここで走るのをやめたら、あの炎に巻き込まれてしまう。
とにかく女の子は無我夢中で走った。走った。走った。

朝となり、女の子は泉のそばで目が覚めた。
ここまで逃げてきてそのまま眠ってしまったらしい。
兄はいなかった。どこではぐれたのかも憶えていない。
女の子は立ち上がり、歩き出した。

そこからどうやって帰ったかはわからないが、
彼女は自分の家まで一人で帰ってきた。
夕日が彼女を照らし、その影が家まで長く伸びていた。

玄関を開けようとした時、
中から継母と新しい父親の声が聞こえた。
情事にふけている二人。

彼らは自分たちに愛情は持っていなかった。
自分は彼らにとって忌み嫌うべき邪魔者だった。
森の奥で死んでいることを願っていた。

自分の帰る場所はここではない。
女の子はそう思った。

夜となり、闇につつまれたその家に
小さな明かりが見えたと思ったら、
その明かりを大きくなり、炎となってその家を包んだ。
炎の中に窓の向こうでゆらめく二つの影。
それを眺めている女の子。

大きなジャック・オー・ランタンに照らされ
女の子は涙を流しながら笑っていた。
彼女の影は長く長く家の外に伸びていた。
そしてその方角に彼女は消えていった。

朝となり、太陽が昇った。
しかし、それから太陽の光は、女の子を照らすことはなかった。

Trick or Treat

愛してちょうだい。さもないと。。。。

~ハロウィンの魔女~