「のんべ」のインプロ魂!
「のんべ」のインプロ魂!
「のんべ」のインプロ魂!


「魔女たちのエチュード」の短編のひとつ、
「魔女の食卓」では、
外で雨が降りしきっている中、
部屋の中で女性二人が肉が焼けている音を聴いている。

そんな画が出てきます。

このイメージは、
実は私が20年前に体験したエピソードが下敷きになっています。

仕事で奈良に行った時、あっさり仕事が終わり、
市内で食事を終え、バーでの快適な時間を過ごした後のこと。
(このバーについてもいつか触れたいとは思います)

もう1軒行きたかったけど、 雨も降り出した。
9月の雨なので、なかなか心地よい雨。、
このいい感じも忘れたくなかったので、
酒場ではなく喫茶店を探してみた。

しばらくさまよっていると、"Tea & Chai"の看板が。
雨脚も強くなってきたので、雨宿りがてら店内に入る。

カウンターだけのお店。
カレー専門店なので、棚には様々な香辛料の瓶。
インド音楽が静かに雨音と混じって心地よく響く。
そして、雨音と音楽にまじって、もうひとつの音が聞こえる。
じわじわと肉が焼ける音である。
雨音と肉の焼ける音とインド音楽がいい具合にひとつになっていた。

ちょっと小柄で恰幅のいい、
眼鏡の女主人は静かにオーダーをうけとり、
そしてカウンターの奥に消えていった。

しばらく店内にひとりだけ、
摩訶不思議ではあるが穏やかな時間を過ごした。
外は雨の夜。何も見えない中、音と香りが、不思議な世界へ誘う。

肉の焼ける音と雨の音はまじっている。
外の闇と店内の明かりの境目があいまいになっている。
私は森に迷い込んだのかもしれない。

店内にはハロウィーンの大きなかぼちゃもある。
ここの女主人は実は魔女なのかもしれない。
店の奥で呪文を唱えながら、
珈琲をつくっているのかもしれない。
そんな想像もあり、ひとりの時間がとても心地よかった。

私の後に、お客さんかと思ったら、
どうやら女主人の娘の英語の家庭教師(外国人)。
ネイティブな英語で
「この大きなカボチャをランプにしたらどうだろう?」
みたいな事を話すと、
この女主人も流暢な英語で返事をしている。

まったく、この女主人は何者なんだと、驚きとともに、
この不思議な時間に出会えた事に感謝した。

そして、現れた珈琲
その香りと味に心奪われたのは言うまでもない。

7年前に奈良に行く機会があり、
昼の時間にここのカレーを食べてみた。
チキンカレー700円。
インディカ米でトマトベースのカレールー
あこがれのカレーにやっぱり心奪われました。
今回、お腹の調子がよろしくなかったので、
辛口カレーは避けたのですが、
次回は是非注文したいと思う。

という事で、年末に奈良に行きます。
この店、お休みでないことを願う!!

そして、
「魔女の食卓」に登場する女性二人はまさに「漂流」状態。
どこにもいけないけど、ここに居続ける事もできない。
そんな不安定な状況を繊細にお芝居で演じてくれた、
佐藤紘子さん、冨士山絢々さんには感謝です。