9/20のセプテンバー・コンサートにて即興一人芝居演じてきました。
http://ameblo.jp/light-trap/entry-11615899650.html

そこで初お披露目した
即興一人芝居「Fragile(こわれもの)」のレビューです。

おそらく観た方は、どこまでがあらかじめ決めてあったか
わからなかったと思います。

前回の劇的世界「クラッシュカバー」で実感したのですが、
こちらが即興であろうが、台本であろうが
お客様が興味惹くシーンであれば、
お客様から観たら「何があらかじめ決めてあったのか」は
お客様でいろいろ勝手に考えていく。

なので、こちらはあらかじめ決める事は極力シンプルにして、
あとはお客様の想像力にお任せするというやり方です。

今回あらかじめ決めたのは以下の事・
・お題はお客様に「最近身の回りでこわれた【もの】」を聞く
・持ち時間15分だったので、あらかじめBGMを12分用意して、
 BGMに合わせて演じる。

この2つだけです。
あと、心がけたのは「こわれた」事だけでなく、
できたら、その「再生」への方向を示せたらいいな ってくらい。

今回、911追悼からはじまった活動である
セプテンバー・コンサートに敬意を払い、
「喪失」にまつわる想いを即興で演じられたらと思い、
このようなフォーマットを考えてみました。

さて、レビュー。
BGMは6曲で構成していますので、
その流れに合わせて、どんなイメージのシーンか説明します。

お題「バイク」スクーターではないタイプ

(1)
バイクのある日常のシーン。
朝いつもどおりに起きて、いつもどおり家を出る。
いつもどおりバイクに乗り、エンジンをかけるがかからない。
そこからはじまるいつも通りではない時間。
「いつもどおり」ではない時間が流れ始める。
永遠に「いつもどおり」が続くと思っていたのに。。。

(2)
バイクを手にした時のシーン。
バイク屋でたまたま買ったバイク。
通勤の足として、ふと立ち寄ったバイク屋で
バイク屋のオヤジとの会話。
かっこいいのはいらない。
速く走る必要もない。
あえて望むなら頑丈なこと。

ふと選んだバイクに、オヤジはお眼が高いと褒める。
大事にしてやってくれと頼まれ、
ちょっと恥ずかしがる私。
名前をつけてくれとオヤジに言われ困ってしまう

(3)
エンジンの仕組みについての解説。
身体を動かしながら、繰り返しエンジンの動きをする。
空気を外から取り込み、燃料を霧状にし、それを電気的に点火し、
爆発させ、そして排気する。その動きを繰り返す。
爆発のエネルギーは回転運動に変換されていく。
何度も繰り返されるその運動。
その運動が続いている限りは問題はない。

しかし、少しずつ、【黒いもの】は内部を犯す。
少しずつ、少しずつ、見えないところで黒くなる。
少しずつ、少しずつ、見えないところで黒くなる。
そして、ある瞬間、繰り返されていた運動は止まってしまう。

なぜ止まる。
なぜ邪魔をする
何をしたというのだ。
このまま永遠に続けさせてくれ
一体何が望みなのか。
ただ動き続けたいだけなのに。。。

(4)
あわてる私。バイク屋にバイクを持ち込む。
バイクを動くようにしてくれとオヤジに頼む。
オヤジはてきぱきとバイクのエンジンを分解していく。
ただあわてることしかできない私。
ただ叫び続けることしができない私。
オヤジに落ち着けと何度と無く叱られる。

ようやく落ち着いて、
目の前でバラバラになったバイクを見て、
「何もできない自分」に気づいた。

目の前にこんなに大変なことがあるのに
何もできず、ただ無力で、眺めることしかできない自分が
くやしくて、くやしくて、くやしくて、
ただ泣くことしかできなかった。

その涙は いつもどおりの日常には流れなかった涙だった。

(5)
修理され直ったバイクと向かい合い話す私。
バイクは何も言い返さないけど、
ただ語りかける私。

自分は大事にしていたつもりだった。
でも、それは外側だけの、うわべだけの優しさ。
バイクの内側で何が起こっているのか、
知らなかったし、知ろうともしなかった。
いや、気づいていたかもしれないが、気付きたくなかった。
その日が今すぐ来るなんて思いたくなかった。
ずっと遠い先に起こるかもしれない事で、
今はそんな事から眼を背けたかっただけだった。

自分のそんな浅はかさに反省する私。

そういえば、まだ名前、つけてなかった。。。名前は。。。

(6)
バイクのある日常のシーン。
朝いつもどおりに起きて、いつもどおり家を出る。
いつもどおりバイクに乗り、エンジンをかけて出かける。
再びはじまるいつも通りの時間。

いつまた「いつもどおり」ではない時間が流れ始めるかもしれない。
でもそんな事が起こさないためにも、
今できることを一つずつ大事にしていこう。
自分の周りのすべてを愛していこう。
自分のことのように関わっていこう。

景色は流れていき、心地よい風が頬を伝わる。
そして、「いつもどおり」ではない涙はもう、乾いてどこかへ飛んでいった。

~End~