6月11日16:45に射手座の満月です。
射手座を支配する木星が、前日10日に蟹座に移動したばかり。月と木星が、ミューチュアル・レセプションという、それぞれの支配星を交換する配置となります。
ミューチュアル・レセプションって、汎用性が高いんですね。これは自在な配置交換を表すため、月が射手座にも蟹座にもあり、木星もまた蟹座にも射手座にもあるように働きます。
すると、双方の星がドミサイル(居住地)となってパワーが増すため、月の持つ自己回復能力と、木星の持つ保護と恩恵が、より大きく得られる時期となります。
自然の成長が促進されるのですね。
蟹座木星期の1年がまさにそんな時期なのですが、ここで大事なことは「何を育てたいのか」を意図することでしょう。
私は蟹座木星を「実家が太い」と紹介することがあるのですが、それは土台からしっかりと支えられているような、一族みんなが成長を応援しているような働きがあるため。
しかし、それを活かすも、殺すも、意図次第といえます。
自分でやらなくても、周囲があれこれと世話を焼いて、欲しいものを与えてくれたら、みずから動いていく力は弱くなるかもしれません。
だけど、そのように大切にしてくれるものを後押しの恩恵として、自分のしたいことにパワフルに立ち向かっていったら、より強く、高く、羽ばたくこともできるでしょう。
射手座は弓矢をどの方向に射るのかという方向性を必要とします。方向性のない保護と恩恵は、ただスポイルされてしまうでしょう。
また、射手座の月というと、コーヌコピア(豊穣の角)のイメージがやってきます。
コーヌコピアは大きな山羊あるいは牡牛の角に果物や花や穀物などがあふれるほど詰め込まれたもので、美術作品や祝祭の飾り付けとして登場します。
これは父親から隠れてクレタ島で育てられた幼少期のゼウスを由来としたもので、アマルティアという女神が、ゼウスにヤギの乳を与えて育てました。長じてゼウスが、育ててもらった御礼にアマルティアに贈ったものがコーヌコピア。持ち主が望む限りの果物や食べ物が、あふれ続ける魔法の角です。
キリストが魚を全員に行き渡るように増やした話や、ポケットの中で無限にビスケットが増える歌、打ち出の小槌など、コーヌコピアと同じ元型を持つ話は世界のあらゆるところにあるでしょう。これこそ、射手座の月のイメージです。
宇宙が与えてくれる無限の豊かさ。そして、それを受け取るということ。
自分の価値には限りがあり、守らないとなくなってしまうと思うのか、自分の内には源泉があり、いくらでも生み出すことができると思うのか。
自身の中心にどちらのイメージを持っているのかによって、また、その豊かさをどのように使うのかによって、人生は変わるのでしょう。