上橋菜穂子さんのホロスコープ | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

みんなが大好きなファンタジー小説の名手といえば、上橋菜穂子さん。私も大好きです。


今秋に文庫化された「香君」を読んだので、チャートを作ってみました。

 

 

パッと目につくのは水の星座のグランド・トラインです。内側から湯水のように想像力があふれる配置ですね。

 

グランド・トラインが形成される場合、そのいずれかの頂点から180度の位置に何かしらの惑星があると、そこに高まったエネルギーが注がれます。上橋さんの場合、魚座の木星と向かい合う位置に、天王星・金星・冥王星のマジョリティがあって、想像から生み出された数々の映像の断片が、緻密な構成力によって、ひとつの世界観を紡ぎ出すことに寄与しているのでしょう。

 

射手座の月は未知の世界への尽きない興味を、双子座の火星は多岐にわたる幅広い知識の蓄積と、言語による表現を広げることをうながす配置にあります。

 

どこまでも広がる知的な好奇心が文化人類学の道へと進ませて、実際にその道の学者になることもできたと思うのですが、拾い集めてきた知識の数々を、自らの物語として再編成して表現する作家を選んだのは、やはり水のグランド・トラインと蟹座の太陽からきているように思います。

 

蟹座と支配星の月は、人間の葛藤(蠍座)や、神々や自然の声(魚座)を物語として語る最高のストーリー・テラーとしての才能をもたらしますね。蟹座は何事に対しても、じっくりと時間をかけてコトコトと煮込むように育む力を持ち、ひとりで静かな環境の中で、創造の翼を広げることに無上の喜びを感じるでしょう。

 

 

上橋作品には、孤高の存在として使命を果たす仕事人がよく登場しますが、これはシングルトンの蟹座の太陽、そして水瓶座の土星に表れているように感じられます。

 

すべての登場人物が、それぞれの置かれた立場での正義と矜持を持っており、時にそれが衝突をもたらすこともありますが、過酷な運命に立ち向かっているからこそ、その葛藤が避けられないことも、よく理解ができます。

 

最新作の「香君(こうくん)」は「香りで万象を知る女性=香君」が主人公の物語ですが、嗅覚は水瓶座の司る感覚。この香君が君主ではなく、異なる土地に住む人々をひとつの共同体としてつなぐための重要な装置として働いているのもまた、水瓶座の土星的ですね。


厳しい自然環境の中で、すべての生き物が共存する世界。それはいつも人間にとって都合が良いばかりとは限らず、しかしそれが自然そのものだということを思い出させてくれます。

 

人々と自然とが、お互いに少しの犠牲を払うことで、ひとつの完全さを構築する世界……それが地球という星。

 

私たちが上橋作品に惹かれるのは、急速に失われつつある「人間と自然とが共存する世界」が、物語の中ではイキイキと息づいているからではないかと感じるのです。