神に寵愛されるもの | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

早いもので今年も春分が近づいてきています。占星術の世界では春分が1年のはじまりとなりますね。

 

チャートの詳しい内容は、また春分時に書いてみようと思いますが、2022年の春分図はとても偏っていて、水瓶座と魚座に3天体ずつ、惑星が入宮しています。

 

土星が水瓶座に、木星が魚座に滞在しているので、両方とも本来の支配宮に座するドミサイルであり、チャートのファイナル・ディスポジターでもあります。

 

ですから2022年は木星と土星と共に過ごすことが、軽やかに波に乗って生きるコツとなりますね。

 

この木星と土星は、私たちの社会性を象徴するふたつの星ですが、神話においてはゼウスとクロノスという親子関係にあたります。

 

土星クロノスは、みずからが父の地位を簒奪して神々の王座についたように、やがて息子にその地位を奪われることを恐れて、妻の産んだ子を次々と呑みこみ続けました。

 

5人の子が呑まれて、嫌になった妻は、6番目に産まれたゼウスを洞窟に隠して、代わりに産着でくるんだ石を差し出すのですね。

 

やがてクロノスは「自分が呑んだのは石で、逃れた子がどこかにいるはず」と気づいて、世界中を探し回りますが、ゼウスは見つからずに、すくすくと精霊たちによって育てられたラッキーボーイです。

 

ゼウスは成人すると、クロノスの母、ゼウスからすると祖母にあたるガイアから嘔吐薬をもらって父クロノスに飲ませ、兄弟たちを次々と吐き出させました。

 

そして兄弟と共に、父・伯父世代に王位交代の戦争をしかけて、すったもんだの末に勝利します。

 

ゼウスが王座につくと、それまでたびたび神に対して反乱して、津波を起こしていた海や、地割れを起こしていた大地や、暴風雨を起こしていた天が、ぴたりと鎮まり、その混沌の力も含めて、ゼウスの統治下にはいったのでした。

 

 

この話を読むと、森羅万象も含めて、ゼウスが治めるだけの力を持っていたことがわかります。それはすなわち、私たちが自身の内なる混沌を統治するヒントが、木星にあるということでしょう。

 

古代バビロニアにおいて、木星は主神マルドゥクと同一視されていて、木星が12年かけて黄道をめぐる周期から、黄道12星座が定められたとされています。

 

世界のすべてを支配して統治するゼウスは、多神教の神話において、一神教の神のように絶対的な力を有していますが、それは12星座のすべて、10の天体のすべてを統べたものの象徴でもあるのでしょう。

 

オリンピックは、古代オリュンピアの地でゼウスに捧げられることで始まった祝祭ですが、たびたび「絶対的王者」が出現します。

 

古代の王者は「神に寵愛されたもの」として、地元で胸像が造られたり、何世紀にも渡って語られ続けたりしたようです。現在でも素晴らしい功績の選手には国民栄誉賞が与えられたりしますよね。彼らは時代の寵児、スーパースターです。

 

でも、そこへの道のりは決して簡単ではないことも、私たちは知っています。

 

優れた指導者のもと、賢く学び、内なる混沌や困惑のすべてを鎮めて、土星の恐れや惨めさを克服し、自身の持てる力のすべてを解き放ち、最高の輝きを世界に示したからこそ、そのような王者を人々は賞賛してやまないのでしょう。

 

私たちの誰もが、内なる木星と土星を解き放つ2022年なのだと思います。絶対的王者になることは難しくても、自分なりに混沌を鎮め、恐れを克服して、輝きを世に放っていくことが、テーマとなる1年なのでしょう。