占星術における天王星はよく「オクターブ上の水星」と表現されることがありますが、それは水星が点と点を結ぶ直線的なコミュニケーションや情報収集、短期的な一時記憶を象徴するのに対して、天王星は雷に打たれたかのように瞬間的に全貌を把握する知性や、全方位的なコミュニケーション、そして時に世代さえも超えて保持される長期記憶にアクセスする機能を象徴するためでしょう。
情報や知識ではなく「知っている」という感覚。脳の中心からもたらされる、内なる直観……明晰で正確で客観的な知性が、天王星と関係していると思います。
IQの高い人は、この天王星の機能が顕著に働いているのだと予想されます。最年少記録を更新し続けている棋士の藤井竜王は子ども時代に「どうして5分でわかることを45分もかけて教えるんだろう。授業がつまらない」と話したことがあるというエピソードがありますが、これは天王星的な特徴だと思います。
占星術のクラスをやっていても、知識が身についていく速度に個人差があることを感じますが、たまに基礎の講座でもすぐに「あ、この人はほぼ占星術のシステムを理解したな」と思える人がいます。すごく頭がよくて「こういうことですよね」と、まるっと理解してしまうような。
部分ではなく、全体を貫いている法則や哲学をパッとつかんでしまう人を見ると「おお、天王星人!!」と感じます。
天王星が強く働くタイプの人は、基本的に幼少期がむずかしい傾向があるかもしれません。
簡単な内容を反復して遠回りしながら教える授業に興味が持てず、友達の会話も面白みに欠け、大人の話している矛盾も看破してしまうので「可愛くない」「生意気」といわれてしまいます。
藤井少年のように自身の質に合った、夢中になれる難解なチャレンジが得られた天才はしあわせですが、そういうものとめぐり合えないうちは、まるで馴染むことのできない星に生まれてしまったような気がするかもしれません。
それでも現在はコンピュータとインターネットという、さまざまなジャンルで知的好奇心を満たし、同じ目線で語り合える人とも知り合えて、存分にひらめきと好奇心を創作活動に没頭することのできるツールがあることは朗報といえるでしょう。
天王星タイプの子どもの中には、学校が合わない場合もあると思います。同じことの反復やひとつずつ暗記することは何の面白みもなく、規則に押し込められることも、個人の意志が尊重されないことも、苦痛でしかないでしょう。
天王星が強く働くほど、金星のこだわりも強くなるので、感覚やタイミングや好みや人との距離感やバランスも尖ってくると思われます。