2019年4月5日17:50に牡羊座の新月です
平成最後の新月は、常に時代の先端を突き進む牡羊座で、まるで次なる「令和」の時代を予告しているかのように感じられました。
わたしが個人的に感じているこれからの時代は「個人のひとりひとりが自分自身の信念を貫き、自分のやり方とタイミングで生きることによって、全体が調和していく時代」
多様性が生き方や暮らし方、働き方にまで多彩なバリエーションで広がっていきながらも、全体が和する時代です。
チャートの始点が天秤座であり、新月となる太陽と月とが7番目の部屋に入る、この時期は「調和」がカギとなるでしょう。
「令和」という、とても美しい響きの万葉集から取られた新しい元号が4月1日に発表となりました。
まもなく5月1日からこの時代が始まりますが、「令」という漢字は『神さまの言葉を聞くために、ひざまずいている人』から成り立っているとのこと。
そこから「上からの言葉を受けるもの」として「命令」や「司令」といった単語にもつながっているのだそうです。
実際に、わたしたちがひざまずくのは、祈るときでしょう。
日本人は祈るときに正座することが多いですが、多くの国で「ひざまずく」のは祈るときで、教会には膝をつくためのニーラー(膝あて)があるところもあります。
日本の神さまは、他国の神さまと概念が異なります。
わたしたちにとって祈りの対象は「神さま、仏さま、ご先祖さま」と、ごった煮状態。
日本人にとって「神」というのは、あらゆる万物に宿っているものであり、個人の力では抗うことのできない自然の摂理。
ですから『神さまの言葉を聞く』といった時に、誰か特別なひとりに従うというよりも、全身の感覚を研ぎ澄ませて、おてんとさまや、風や、木々や、草花や、星や、動物たち、虫たち……そしてもちろん人間も…あらゆるものに対して心をひらき、耳を傾けることで、そこから真意を得ることではないかと思うのです。
そもそも日本の神さまは、天照大御神が高天原の統治者となっているものの、すべての決定権を握っているわけではなく、神在月に出雲に全国の神さまが集合して会議をするような存在です。
決して、誰かひとりが、すべてを圧倒しているわけではないでしょう。
みんなで調和するためには、ひとりひとりが正直で率直な意見を述べることと、他の人が発言している時は決して妨げず、途中で意見や感情を挟まずに最後まで聞くことが求められます。
これは今回の新月図の始点となっている天秤座と、太陽と月の入っている7ハウスのテーマそのもの。
『調和のためのコミュニケーション』
全員が決して誰かに忖度することなく、心から正直に、自分の中で最もしっくりする真実を話すこと。
聞く側は、相手の意見がどんなに自分のものとかけ離れているのだとしても、その真意を尊重して最後まで聞き入れること。
そして、その中で、全体に共通する部分と、みんなが納得できる調和点とを、全員で協力し合って見つけ出していくことが、天秤座と7ハウスのテーマです。
これはいまの日本人にとって、とても難しいテーマだと感じます。
わたしたちは長いあいだ、その場で最も力あるものの意見を空気を読んで忖度することに慣れていて、自由に発言すると「わがまま」だとか「気が強い」とか「変わっている」とか言われてきました。
わたしたちにとって圧倒的に足りていないのは「尊重して相手を聞く力」です。
あなたのまわりに、こちらの話をロクに聞かずに、最初から決めつけてかかる人はいないでしょうか。
これまで、あなたの親や先生や上司や先輩が、どれだけこちらの意見を注意深く、最後まで受け止めて、尊重してくれたでしょうか。
魚座の時代の、権威的な誰かの言うことに全員で従う、名残りなのでしょう。
しかし日本人にとっての「令」は、決して誰かひとりの命令を聞く力ではないはずです。
ひとりひとりの個性を尊重し、自然を敬い、お互いに協力し合って「和」を見つけ出すことが、八百万の神を戴き、他国の神さまも受け入れてきた、わたしたちにとっての「令」ではないかと思うのです。
今回の新月は、これまで世間から与えられてきた「間違ってはいけない」「わがままを言ってはいけない」「空気を読まなくてはいけない」「目上の人に逆らってはいけない」という枠から自分を解き放ち、新しいコミュニケーションへと向かう時がきたのだと言っているようです。
しかしこれは、わたしたちにとって、チャレンジでもあるでしょう。
自由に発言しようと思っても、それが特に公共の場所であるなら、長年のパターンから「本当にそれを言ってもいいの?」という不安が起こりやすく、周りが受容してくれなければ、なかなかし難いものがあるかもしれません。
それはまた逆にいうと、どんなに自分と異なる相手であろうとも、どんな発言であったとしても、受け止めようと、心を開くことのチャレンジでもあるでしょう。
わたしたちの身体に備わっている12の体感覚は、12星座の意識と連動しているといわれていますが、その中で牡羊座が司っているのは「自我感覚」です。
これは色や匂いや味を認識するように、はっきりと他者の自我を認識する感覚。
そしてこれを感じるためには、自分自身の自我がしっかりと確立されている必要があるでしょう。
自分が自分であることを貫き、他者が他者であることを尊重した時に、同時に全体がおのずと調和します。
自我感覚を鍛えるためには、芝居やダンスやオーケストラ等がぴったりですが、そこでは「自信がないから」と引っ込んでも、まわりの動きや音を無視して自分を押し出しても、うまくいきません。
わたしがわたしを生き、あなたがあなたであることを生き、それをお互いに協力し合うことで調和する世界。
全員が嘘をつかずに、正直でいることでしか調和しない世界。
まもなくやってくる、そのような美しい世界にうっとりと思いを馳せる、平成最後の新月です。