2019年3月7日01:03に魚座の新月です
冬の終わりにやってくる、海王星の夜。
夜半に太陽と月と海王星とが、地平線より遥か彼方へ沈んだところで重なります。
海王星は魚座の守護惑星ですから、この影響が色濃く広がる時期となるでしょう。
心が解放されたかのような、どこか深いところから癒しがやってくるような感覚があるかもしれません。
疲れが溜まっている人は、とにかく眠くて仕方がない、いくら眠っても、まだまだ眠れる……ということが起こるでしょう。
ぼんやりとネットやテレビを観ていたら、あっという間に時間が経っていた、ということもありそうです。
内なる世界に入りこんで、うっかりと見過ごしたり、忘れ物したりすることもあるでしょう。
イマジネーションの広がり、たくさんの創造の欠片が降ってくるため、アートや創作の分野では新しい境地が開けるかもしれません。
形而上学的なことに関して、理屈を超えた理解が起こるときなので、難解な本を読み解き、本質をつかむこともできるでしょう。
それらは魚座の守護惑星である、海王星の影響です。
忙しい日々を過ごしている人も、いまの時期は意識して心身を休めたり、自分のための時間を作ったり、アートや創作に勤しんだり、ゆったり瞑想したりするといいかもしれません。
魚座は12星座最後の星座にして、本当にかけがえのない価値を再発見する星座です。
ここでいう価値とは、自分で見つけ出したものの、個人的なものではなく、文化や営みや人間の普遍性にとって、貴重で大切だと思われる価値。
『100年後の日本にも、残っていて欲しいものは何ですか?』
そう問われたら、あなたはなんて答えるでしょうか。
わたしたちは12星座の流れに乗りながら、さまざまな経験をくり返し、その時代と文化とを毎日の営みのなかで作り出しています。
そこではたくさんの価値が生み出されては、瞬く間に消えていくでしょう。
土星がひとめぐり前の山羊座にあった頃の若者たちは、オープンカーを欲しがり、DC ブランドやボディコンシャスなスーツに身を包み、ポケベルでボーイフレンドを呼び出して、お立ち台で踊ったのだとしたら、土星が再び山羊座に回帰した今の時代の若者たちはファストファッションをスマートに着こなし、メッセンジャーで恋人や仲間たちとつながり、体験をSNSでシェアして、車を持たないミニマムな生活を好むかもしれません。
時代と土地に根付いた価値は、常に変遷していきます。
しかし、そのような限定された時代や土地の制約から自由になるのが、水瓶座。
水瓶座は特定の場所や時代にとらわれず、どこへ行っても通用する生き方を確立しようと、誰からも何からも自由な形で独立しようと試みる星座です。
水瓶座の世界において「今ここでしか通用しないもの」はバラバラと剥がれ落ちていき、誰にとっても良いもの、人道的であるもの、みんなが求めているものに取って代わられるでしょう。
この流れを受け継いだ魚座は、世の中にあふれる数多の価値から、感受性のアンテナを使って、本当に人々にとって価値あるもののみを残して、他のものを終わらせていきます。
現在2011年から2026年まで海王星が魚座に滞在していますが、これはひとつの時代が終わるタイミングであることを示しています。
そしていま、わたしたちが何を残し、何を終わらせていくのかを選択する時でもあるでしょう。
前回、海王星が魚座を通過した1847~1861年は江戸末期。
よく大河ドラマの題材となる幕末期で、この頃に黒船がやってきて、一連の騒動がはじまると、海王星が牡羊座に抜けた後に明治新政府が成立しました。
この背後で起こっていたことは大きな時代の境い目にあって『何を残して、何を終わらせるのか』という取捨選択です。
江戸の終わりから明治にかけて、わたしたちが魚座の海に流して終わらせたものは武士を中心とする世の中であり、藩の制度や刀やちょんまげのある生活や太陽太陰暦。
そして、いにしえから脈々と引き継がれてきた天皇制を中心に据え直して、新しい社会のしくみを作り出しました。
何を残して、何を終わらせていくのか。
わたしたちはいま、気づかないうちに日々の生活の中でその選定をしているのでしょう。
立春を過ぎた頃から、土星と冥王星が山羊座方面で重なっています。
これは2019年と2020年を代表する星の配置。
わたしたちの社会の基盤やルールが土台から作り替えられていくことを象徴します。
各地でより合理的な都市計画が立てられていき、インフラと共に街が姿を変えていくでしょう。
それは企業や地方自治体も同じこと。
新しい製品、新しいサービス、新しいテクノロジーが世の中にどんどん現れて、わたしたちの生活をさらに進化させていきます。
その流れに合わせて、個人の生き方や暮らし方、働き方も当然変わっていくでしょう。
この時にわたしたちが意識したいことは
『何を残して、何を終わらせていくのか』
そして
『今回の人生で何を中心に置いて生きたいのか』
この問いかけは『100年後の日本に何を残したいか』に通じるでしょう。
大きな変化の中で本当に大切にしたい【本質】は何なのか。
そことさえ、いつもしっかりとつながっていれば、わたしたちの暮らしはこれまで以上にシンプルで、ずっとやさしくなるでしょう。
移り変わっていく時代のなかで、砂金の一粒を砂丘から見つけ出すように、自分自身の本質と邂逅する。
夢のなかでさえも、直感を研ぎ澄ませておきたい、魚座の新月です。