牡牛座に天王星が入る気配が濃厚になってきた昨今、体感覚を強化することが、心地よく過ごすためのカギになってきたような気がします。
その基盤にあるものは自分自身の「心の声を聴く」「身体の声を聴く」ということだと思うのですが、それらは蟹座の司る領域です。
以前、聴覚は言葉そのものだけではなく、そこに含まれている言葉になる前の素(もと)=感情や思いや、まだ形となっていないものをとらえている、という話を書きました。
触覚からはじまって、聴覚で終わるということ
https://ameblo.jp/light-side/theme5-10105300463.html
聴覚はそこにあるけれど、形としては存在していない「なにか」を感じる力となり、また自分自身の内側で起こっていること、感じているものを、敏感に察する感覚であるともいえるでしょう。
自分がどうしたいのか、わからない。
というのは、自分自身の声に耳を傾けていないときに起こるでしょう。
いつもまわりを気にして、自分を無視していると、どうすればいいかわからなくなったり、病気になったりするかもしれません。
新月や満月の前に調子が悪くなったり、眠くなったり、感情があふれたりするという人がいますが、それも普段から疲れていたり、いろいろ感じていたりするのが、月の影響が強くなる=身体の声が強調される時期に、まとめて表出している可能性があります。
もっと、自分自身の声に耳を傾けるには、どうすれば良いでしょうか?
聴覚は蟹座と関係していますが、蟹座を守護する惑星は月です。
月はわたしたちの命のバイオリズムと関係しているので、もっと月のリズムを感じることで、自然の営みを理解する感性が育まれるかもしれません。
わたしたちは普段、地球が365日かけて太陽の周囲をめぐることから算出されたグレゴリオ暦のカレンダーを軸として暮らしています。
1か月は28日と29日と30日と31日となる月があり、それは本来、月の満ち欠けする周期から導き出されたものであるはずです。
しかし実際に月の満ち欠けを基準とすると、29.5日×12か月=354日となり、太陽周期に対して11日足りなくなります。
そこで月のめぐりは「だいたい30日前後」として、太陽を基準とした365日で、わたしたちの生活は成り立っています。
そうすると、太陽の象徴である、推進すること、進化すること、華やかに活躍すること、証明することなどにスポットがあたるようになるでしょう。
そして、月の象徴である、受け容れること、感じること、合わせること、なじむこと、育むことは副次的な扱いを受けて、その良さが失われていきやすいのではないかと思われます。
日本ではおよそ145年ほど前の1873年(明治5年)から、グレゴリオ暦が採用されています。
それまでのあいだは長らく、太陰太陽暦が使われていました。
これは月の満ち欠けを中心とした暦に、太陽の運行を組み合わせたもので、非合理的なようでいて、自然に沿っているという意味において、とても合理的に感じられます。
1か月は月の朔望周期に合わせた29.5日ですが、それを29日の月と30日の月にわけて組み合わせて、12か月で1年としました。
すると1年は354日となり、1年で11日ほど太陽の動きから少なくなるため、これを埋め合わせるために3年に1度「うるう月」を設けて調整しています。
だいたい19年のあいだに7回ぐらい、1年が13か月となる年がある計算です。
毎月1日が朔日すなわち新月の日であり、15日あたりが満月です。
いつなら夜でも明るくて、いつの夜が暗いのか、暦を見ればたちどころにわかったことでしょう。
もっとも現代は夜でも電気があふれて安全ではありますが、夜の月のありがたみ、その光からは、生き方が遠のいているような気がします。
また当時は時間の区切りも季節に合わせて変動しました。
基本は昼の時間を六等分、夜の時間を六等分。
季節によって昼と夜の長さが変わり、一刻の長さも変動するわけです。
およそ2時間が一刻となりますが、その2時間の長さが夏の昼間は150分、冬の昼間だと100分になる、といったイメージですね。
夏は活動時間も労働時間も長くなり、冬は活動時間も労働時間も短くなります。
これは自然の摂理そのもので、動物たち、植物たちの活動形態とも共鳴するでしょう。
太陽のめぐりと月のめぐり、季節のめぐりと沿った暦や時間を中心に生きていた頃のわたしたちは、おのずとあらゆる生命のサイクルと自分自身の暮らしとが共鳴していたのではないかと推測します。
自然のリズムと大地が息づく鼓動をいつも身近に感じて、心と身体、大地と空と自然とが、共存することが当然だったかもしれません。
現在の季節や月の満ち欠けに関係なく、正確に刻まれた日付や時間は、わたしたちを、命の持つ自然なサイクルとのつながりを弱くさせるように感じます。
本来、太陽と月はおたがいに支え合い、補い合うもの。
月の持っている受容性、感じる力、共鳴する力は、あらゆる生命の営みが互いにつながり、すべてがあるべきところにおさまり、必要なものがすでに備わっていることに気づかせてくれるでしょう。
自分の内側で起こっていること、感じていることに敏感に気づいて、そこに寄り添い、わたしという生き物の基盤である身体をいたわり、大事に育むのも月の働きです。
現在は第四次産業革命ともいわれて、コンピュータから人工知能へと技術が進化して、どんどん便利になっていく世界ですが、だからこそ、もっと月の声に耳を傾けることが必要ではないかなと感じます。
世界の環境を壊すのではなく、自然の営みと共存しながら技術を生かすために、ひとりひとりの月の持つ感受性が際立つことが必要ではないかと思うのです。