【雑記】摩利支天と海王星のインビジブルな関係 | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

たまに東京の御徒町でお仕事させていただいているのですが、そのときは大抵、アメ横にある徳大寺さんをお参りしています。

 

こちらでお祀りされているのは、聖徳太子の御作とされている摩利支天像

 

数年前から、この摩利支天という神様が気になって、見つけるとお参りしています。

 

 

摩利支天とは、陽炎が神格化した存在で、実体がなく、誰にも捕らえることも、傷つけることもできません。

 

そのため護身の神として、戦国武将たちに絶大な人気を誇り、楠木正成がその兜のなかに摩利支天像を隠し持っていたとか、毛利元就が旗印として掲げていた等、逸話が残っています。

 

ちなみに合戦に参加する際は、摩利支天像を身につけていること、そのものを知られないほうがステルス効果(!?)が高まるらしいです。

 

御身が見えるようでいて実体がなく、いるけれど、いない、という、まさに陽炎の如くの働きを人に授けるかもしれない、この摩利支天は、影働きの神さまといえるかもしれません。

 

 

 

占星術において存在しているもののかたちを曖昧に無形化する働きがあるのは海王星です。

 

海王星はすべてのものが諸行無常であることを知らしめる働きがあり、あらゆるものがいまここにあるようでいて実はなく、定まったものは刹那的に変わりゆき、そんな曖昧模糊とした宇宙の一角に、仮の楼閣を建てることで生きているのがわたしたちだということに気づかせます。

 

個人の意志や個性といったものも、経験によって蓄積された数多の情報から、マッチするひな型にしたがって、それを表現しているに過ぎないのかもしれません。

 

しかし、そんな海王星ですから、あまりにも影響が強くなりすぎると、同一のアイデンティティを保つことがむずかしくなり、自分が何者であり、何をすれば良いのか、わからなくなってしまうでしょう。

 

そのため、わたしたちは土星のストッパー機能によって、仮の楼閣を建築し、そのなかにおけるルールに則って、継続可能な人生を積み上げて暮らしています。

 

 

占星術の惑星にはそれぞれのエゴがあるのですが、海王星は人間がもっとも理解することがむずかしい惑星です。

 

そういった意味でも、つかめるようでつかめない、あるけれどない、摩利支天の如くかもしれません。

 

海王星の持つエゴは「自分のエゴをなくしたい」というエゴのため、どこにいても極力、自分が出ないように抑え込みます。

 

それはあたかもカメレオンのように周囲の背景に溶け込み、状況や相対する相手に合わせて、人格を切り替えるでしょう。

 

 

自分らしさを抑えて、相手の望んでいる姿になりすますことができるので、海王星タイプの人(太陽や月と海王星が強い角度を作っていたり、上昇宮あるいは下降宮に海王星がかかっている等)は、会社と友達グループと別の趣味の集まりと家庭内では、まったく異なるタイプのようにふるまう、ということがあります。

 

誰に対しても本心を見せない…というよりも、みんなから求められているその場の役割が自分の本心のように感じられて、その通りに淡々とこなすことができるでしょう。

 

自分の欲求や思いよりも、他者や環境が求めているものを優先するため、逆に我が強く、しっかりと主張する人の奥にあるエゴを見ると、嫌悪感が高まるかもしれません。

 

 

また海王星タイプの人は「存在を消したい」という、インビジブルの欲求を持つことがあります。

 

自分という存在そのものが、自然の万物と溶け込むように一体化することで、極力エゴを減らそうとする試みですね。

 

海やプールやお風呂でぼーっと浮かぶのが好きだったり、森のなかで静かに過ごすのが好きだったり、風を全身で感じるのが好きだったり、あるいは眠ったり、絵を眺めたり、音や踊りと一体になったり、瞑想したりと、自意識を極力減らして、対象とひとつになることを好むでしょう。

 

そのため人に知られず行動したり、集団のなかで気配を消したりして、全体に紛れこむこともあります。

 

 

目立つ格好をするというのはエゴの顕れですから、地味な格好をして、街ですれ違う人になんの印象も残させないようにする海王星もいます。

 

「まるでスパイみたいですね」と、そんな海王星タイプの人に冗談のつもりで言ったら、興信所で働いている人や、星をつけるガイドブックの調査員だった人もいました。ぴったりの天職だと思われます。

 

 

そこにいなければ狙われず、目立たなければ攻撃されることもありません。

 

擬態化して身を守る植物や昆虫のように、海王星は「スルーされる能力」を高める星。

 

紛れることで本体を守り抜き、ダミーの外郭の背後で、精神はどこまでも自由にふるまう。

 

摩利支天のご利益は、海王星力を高めることに通じるのではないかと、毎度妄想しながら、お参りするのでした。