
冥王星が上昇する今回の満月は、内側にあるさまざまな執着と
決別するとき。
いよいよ本格的に魂の個性を発揮して生きる時代がやって来て
いるいま、春分を前に内側にある『深い衝動』に気づくときです。
新しい春がめぐってくる前に、わたしが目醒め、生まれ変わる。
長い冬眠の季節が終わり、新しい旅立ちの季節です。
山羊座の上昇宮にぴたりと冥王星が重なる配置で始まる満月は
わたしたちが社会で活躍するための、もっとも強い力が開いて
いくときです。
それは集団に対する影響力であり、大きな物事を動かし、発展
させていくチカラ。
わたしたちがもっと社会で活躍したいと願うなら、大人になる
ため、うまくやるために切り離してきた「心」の部分をもっと
使っていくことが大事なときです。
心を開いて、個性が再構築されるとき。
そのとき、注意が必要です。
わたしたちの心の無意識の中にある欲求を解放すると、それは
他者を支配し、コントロールするパワーになりかねません。
子供の頃に満たされなかった思い。
あるいは損なわれているところや自信のなさ、不安や不全感が
あると、そこから力の誤用が生じるでしょう。
満たされないなにかを埋めたいという思いが根底にあるとき、
他者との関係や社会の中で自分の思い通りに進めたい、有利に
進めたいという欲求が高まり、それは激しい衝動や感情で人を
巻きこみ、圧倒することになります。
それは関係の歪みを生じさせ、軋轢や感情の摩擦を呼び起こす
原因になりかねません。
ですからわたしたちは、そんな自分自身に気づいている必要が
あります。
わたしの衝動や欲求や嫉妬、不安感や独占欲がどこから生じて
いるのか。
それに気づくきっかけは近しい他者との関係のなかにあるかも
知れません。
満たされていない、寂しくて不安で、自信のない自分が、心の
どこかのレベルに存在している。
それに気づくことが人生を有効なものに変容させるきっかけで
あり、内なる別次元を解放する最初のステップとなるでしょう。
今回の満月はふたつの可能性の道にわかれるときです。
ひとつは、不安から金銭に対する独占欲が高まり、また同時に
他者に対して感情的な執着、あるいは感情的な回避が生じると
いう可能性。
もうひとつは小さな自分の感情に気づき、満たし、その資質を
活かすことによって独占欲や執着から解放されて、他者と共有
する関係へ発展する可能性

冥王星の使い方次第でどちらにも転じることのできるときです。
エゴによるパワー・コントロールとして使うのか。
あるいは心のなかの深い闇に気づき、内なる次元を再構築する
ために使うのか。
冥王星は果てしないエネルギーを持つ星なので、不安があると
いつまでも、エゴの欲求を満たすための、独占と執着をやめる
ことができなくなるでしょう。
しかしそれを愛の側面に向けると、強烈な目醒めがもたらされ
しがみつかなくても深く信頼できて共有しあえる理想の関係を
他者と築いていくことができます

底なしに信頼し、深く愛して、心と心とが溶けあう。
トリガーは関係性、カギは自己受容です。
どうしても不安が拭えない夜は、宇宙を仰いで、星を眺めて。
そこに瞬いているのは、何万光年もの前の光。
わたしを包みこむ大気は、宇宙が創生されたときから漂って
いるものの欠片。
宇宙はいつも完璧で、なにひとつ間違っておらず、わたしの
ちっぽけな感情や執着も簡単に呑みこんでしまう。
わたしの身体を構成している物質は、いつかどこかでなにか
違うものだった過去をもっていて。
やがてわたしが朽ちたあと、分解されていき、また他のなに
かになるかも知れなくて。
その深い輪廻の中に、生まれてくる前の、底なしの安らぎと
信頼を思い出す。
"ONE"
わたしたちは限りなく境い目なく、果てしなく、どこまでも
ひとつでした。
そしてまた、そこに戻る前の束の間のひとときのあいだを
分離した不安から執着をもって過ごすのか、ひとつだった
時代を思い出して信頼と共に過ごすのか。
わたしたちはどちらの体験も選ぶことができるのでしょう。