かろうじて見える星たちにわずかな望みを託してエンジンを掛けた。
予報によると、土曜の午前中からポツポツと降り始める雨は、午後には本降りになるという。
金曜の夜と土曜の朝マヅメが勝負だろう。
帰宅ラッシュの余韻が残る16号をダラダラとした流れに乗って富津へ向かった。
運河は下げ潮が効いており、闇の中にボイルやライズの音が響き渡っているではないか。
一投目の着水と同時に巻き上げたワームにセイゴがアタックしてきた。
ちょうど晩さん会の真っ最中だったようで、ワームでもプラグでもジグでもお構いなしに次から次にバイトしてくる。
もう少しマシなサイズもいるのだろうが、食欲旺盛なベイビー達に阻まれてフッコにはたどり着けず。
メバルでも狙おうと移動してきた漁港。
渋い中にも数バイトを感知するもフッキングに至らなかった。
北東の風が体温を奪っていく。
ついこの間までは蒸し暑かったはずなのに、すでに冬が近づいていることをわびしく感じた。
バイトがもう少しあれば集中できたのだが、モチベーションが続かずゲームセットとした。

埠頭へと向かい、車中泊を兼ねた一人飲み会を始める。
台風が近づいていることもあり、もともと今週末もろくに釣りにならないことはわかっていた。
釣りはできなくてもせめてホームの海で一杯やれば十分な息抜きになるというものだ。
自分にとっては車中飲みも大事なイベントになっている。
夜釣り組が出入りするエンジン音が時おり響く埠頭の夜は更けていった。
車のルーフから響くカツカツという音で目が覚めた。
台風で木の枝でも飛ばされていたのかと車外に出てみると・・・
吞兵衛の朝寝坊は海鳥に起こされたようだ。
「あなたは一人で起きられるのね!」
飲んだ翌朝はホットコーヒーに限る。
コンビニに走るのも億劫だったので自分で入れてみる。
強風が豆の香を吹き飛ばしてしまいゆっくり味わう間もない。
せっかく入れたのに、せわしなく飲み干すとポイントへ向かった。
潮は上げに向けて雰囲気は悪くないようだ。
しかしコンディションが最悪だった。
千切れたウィードや枯れ枝の入れ食い状態で釣りにならない。
雨もぱらつき始めたことだし不完全燃焼は否めないものの、魔界経由で退散をすることにした。
今夜は星が見えないだろう。

