唐十郎氏が亡くなって数日過ぎたが、その紅テントが圧倒的に好きだったのが、私の大学自体の恩師、フランス文学の教授で我が演劇研究会の顧問だった浜本正文氏だった。
数年前お亡くなりになったが、生前紅テントの魅力を熱い口調で語っていたことを今も思い出す。
浜本教授は、広島県周防大島の出身。終戦直後、島にやってきた見世物小屋の芝居のおどろおどろしくも実に妖艶で熱量が異常に高い不可思議な世界と紅テントがそっくりだというのだ。
初めて見た紅テントで幼き日の体験が鮮明に甦り、それがきっかけで芝居にすっかりハマってしまったという。もともと破天荒な先生だったが、紅テントのイメージとピッタリ合う。





唐十郎氏も亡くなり、その随分前に紅テントはなくなってしまったし、浜本さんももういないが、あの芝居の魅力は多くの演劇マニアの脳裏には焼き付いている。