初めて唐十郎率いる状況劇場🟰紅テントの芝居を見たのは、確か大学の2年生の頃だった。

浜松の公園まで電車を乗り継いで演劇研究会の仲間たちとともに見に行った。

演目は、犬狼都市。

小林薫が初めて主演をした芝居だった。

圧倒された。

鉄砲玉のような台詞回し。舞台から客席まで走り回り叫び飛び回る役者。何をやってるか訳わかんないけどその迫力にすっかり参ってしまった。

それがアングラ演劇の入り口だったのかも知れない。


その後随分といろんな芝居を見てきたが、

時折首を傾げたくなるのもある。


大学に近い隣の街の劇団だったが、

その社会人の劇団が、ウチの演劇研究会のアトリエ兼劇場を公演をしたいので貸してほしいとのことで、断る理由もないので演研で貸すことにした。

彼らの芝居を観てかなりガッカリした。

やたらと、反体制的なことを叫んだり、天皇制を下劣な言葉で批判したり、あんたたち、何がやりたいんだと、疑問だらけだった。こんなんだったらアトリエを貸すべきじゃなかったのでは。アトリエの歴史に傷がつく、ぐらい思った。


先輩にあの人ら普段は何してんですか、と聞いてみた。

大部分は学校の先生らしいぞ、との答え。

それでとても割り切れぬ思いでいっぱいになった。


先生という公務員の安定した立場を利用して、こんなことやってんだ。あんたらワシらの税金で飯食ってこんな活動をしてんだ。それってよくないんじゃないの。政治的な思想を訴えたいのなら、芝居をせずに政治運動をすればいい。

自らは公務員という安全な立場にいて、世の中のあれやこれやを批判するのは、とてもズルいんじゃないの、と思ってしまった。

ましてや、そんな人たちが子供達の前で教育をするのは考えただけでも腹が立つ。

許せない気がした。


大昔の話。

今は何をしているのか、何もしていないのか、知らないが、今も時折思い出す。