アーニーです。
過去4回にわたって、エンジンについて書いてきました。
ただ、それも船屋の何気ない一言が始まりです。
「これ、ブログにしよや」
エンジンを掛けるとスグに水温計が上昇し、警報が鳴ってしまう。
そんなエンジンを搭載していたボートを整備していた時です。
搭載エンジンはvolvo41ディーゼルエンジン。
(過去の記事を読まれていた方は、もうお分かりですが)
ヒートの原因としてまず推測できるのが、冷却水(海水)
の引き込み・排出が上手くいっていないこと。
「エンジンを冷やすためのクーラントを冷やせてない」
ということです。
そこで、クーラントの休憩所であるラジエターをエンジンから外し
分解したところ、写真のようになっていました。
ラジエターにびっしりと詰まっているのは
塩の結晶です…。
これでは冷却水である海水の通りが悪いのは当たり前ですね。
せっかく循環して回ってきた健気なクーラントも、ラジエターの中に少量の冷却水(海水)しか
通っていなかったら冷えない。
結果的にクーラント温度が上昇してしまうんですね。
で、水温計が上昇し警報が鳴る訳です。
では、塩の結晶化現象は何故起こるのか。
原因は簡単です。
長時間エンジンをかけていないことに尽きます。
エンジンをかけていないとラジエター内部に残った海水の水分が蒸発します。
それが結晶化してしまった、ということ。
事実を認識したところで、解決策と予防策を知らなければ意味がありません。
まず、こうなった場合の解決策です。
①ラジエターを外し、分解してから
②マイナスドライバーで表面の塩の結晶を掻きだします。
そして
③千枚通しや針金で、海水が通る穴(ハチの巣と呼んでいます)を丁寧に掃除します。
次に、こうならないための予防策です。
①定期的にエンジンを掛ける(海水が蒸発・結晶化するまえに、新しい海水を通します)
②真水洗いをする
エンジンの冷却水は海水ですね。
海水をエンジン内部に送り込んでいる訳です。
ですので
Ⅰ.エンジン内部に送り込んでいる給水バルブを締め、ホースを抜きます。
そして
Ⅱ.陸上から真水のホースを引っ張り、エンジンとジョイントし、エンジンを起動します。
そうすることで、冷却水を真水に切り替え、ラジエター内部から海水(塩分)を取り除くことが出来ます。
帰港してから、疲れた体に少しだけムチを打つ。
そして小さな手間を怠らないことで、エンジントラブルを未然に防ぐことが出来ます。
このブログも、現場仕事が終わって疲れた体に少しだけムチを打ち、作成しました。
多くの方がエンジントラブルに見舞われないことを願って…。