船屋です
ヤマハ25マイレディEXの納艇エピソードの続き。
前回お話した、スライダーの選択。
そのときに注意してほしいのが、グルーブの形状です。
BAINBRIDGEにせよ、モリブデンにせよ、グルーブの形状に、スライダー側を合わせる必要があります。
Mさんの場合、BAINBRIDGE製のスライダーのうち、特定のタイプしかフィットしませんでした。
そしてこのヤマハ25マイレディEXのマストゲート部にはステン板が当てられていたのですが、
そのステン板の肉厚が当然マストとの段差を生んでおり、そのままではスライダーが干渉する
(つまりスライダーなのにスライドしない)ことが判明。
ホイスト&ドロップの時にちょうどマストゲートのところで引っかかることになってしまうので、マスト側の加工が必要になりました。
具体的には、ちょうどステン板が当たる部分の
マストを削る。ただ、アルミ製マストは、皆さんご存知のとおり中は空洞。
大きく削れる厚み(余地)はそんなに無いので、慎重にグラインダーと、鑢(やすり)で削り取っていきました。
削り取ったあとの写真がこちら。
少し見えにくいかもしれませんが、マスト断面とステン板がほぼフラットになっています。
そしてステン板を止めるビスもまた、グルーブから少し離しています。
beforeの写真があれば分かりやすいのですが悪しからず…。
さて、次にセイルパック。
<完成形>
<前方部分取り外し>
<その他アングル>
セイルパックについては以前、LM30の時にご説明しましたので詳しい説明は割愛させていただきますが、
セイルパック内側の、ちょうどヘッドボード部分が当たるところにやわらかい素材の生地を補強しています。
こういう一手間で、セイルパック自体の消耗を逓減してくれます。
次に
4.ブームキッカー
「ブームキッカー」とは、
簡単に説明するとトッピングリフトを必要とせずに、ブームをサポートしてくれる便利なモノ。
メインが下りてる時もブームを下から支えてくれます。
ヤマハ25マイレディのブームの形状は、少し特殊です。
金太郎飴のようにブームをスライスしてみると(イメージ)、断面は【T字】型になります。
T字型ですと、ブームキッカー(BK750)に付属されている
ブーム金具は取付けることが出来ません。
そこで、弊社では「ブーム金具を取付ける金具」を特注。
T字型ブームを持つ、ヤマハ25マイレディにもブームキッカーを取付けることが可能になりました。
こうして、Mさんのヤマハ25マイレディは、著しくMさん仕様となって嫁入りしました!
シングルハンドの定義は?
この船はシングルハンドで乗れますか?
というお問合わせをよくいただきます。
ただ、実は一人で乗れることはそこまで重要なポイントではなく、
いかに今の自分一人でセーリングの楽しさを感じられるのか、
というところに本来はシングルハンドとしてのポイントを昇華していくことが重要だと考えています。
Mさんは、まさにそこにシングルハンドとしてのポイントを据えていらっしゃいました。
今も楽しく、そして楽にセーリングされていることと思います。
Mさん、お買い上げありがとうございました。