アーニーです。
以前ブログでご紹介したKさん。
http://ameblo.jp/lifestyle-with-ship/entry-10659141214.html
今回はKさんの「住空間としてのヨット」へのこだわりをご紹介。
旧ニューポート30をご購入いただいてから、色々とオプション作業をしていました。
そのうち、とてもユニークなご注文だったのが
「窓枠の取付け」
船室(キャビン)から外を覗く窓を船窓と言います。
船窓のサイズや形はヨットによって様々ですが、旧ニューポート30のそれは他の30ftヨットに比べて
大きいのが特徴。
当社で「アクリル窓の交換」もしていましたので、紫外線で傷んでおらず、外がクリアに見えます。
だからこそ、Kさんとしては船室(キャビン)から外を覗くときに
FRPが【無機質】だと感じる
それが、気に入らない。
そこでKさんから、
「窓枠を木で作ってほしい」
との注文をいただきました。
アーニー自身、ヨットの船窓に窓枠を取付けたことはありませんでした。
まずは船窓サイズに合わせてチーク合板を切り出し
↓
ルーターを用いて全体に丸みを出します
↓
ニスを塗布するためペーパーをあてて表面をザラつかせます
↓
ニスを塗布する前に○○(いわゆる企業秘密)を塗布
↓
乾燥
↓
ニスを塗布
↓
乾燥
↓
ニスを塗布
↓
乾燥
↓
ニスを塗布
↓
乾燥
・・・幾回か繰り返します
もうひとつ面白い注文。
「窓枠を取付けるためのタッピングも塗装してほしい」
とのこと。
人工的な金属色を目立たないように、木と同調するように。
右側のタッピングは、研磨したために少し濁ったグレーになっています。
住空間への飽くなきこだわりです。
浜寺ボートとしてもスグに塗装が剥離してくるのは許せない。
ということで、タッピング1本1本についてサンドブラスターを用いて研磨し、
塗料がしっかり付くようにしました。
レストア技術への飽くなきこだわりです。
当社ではそこそこ大きなサンドブラスターを配備。
※サンドブラスターとは、コンプレッサーで作りだした圧縮空気を利用して
細かい砂を勢いよく対象物(今回の場合、タッピング)に吹き付ける機械のこと。
他の用途としては錆を落とすためにも使用したりしますね。
いざ取付けですが、これがまた難しい。
ヨットの船型というのは、縦軸に対して直線が無いんですね。
ですので、直線である木を、曲線である船型に合わせないといけない。
浮かないように、浮いてこないように、グッと木を抑えつけながらタッピングで留めるわけです。
やりすぎると木が折れちゃいます。
やわらかい材質の木であれば、時間がたてば自ずとなじんでくれるのですが、
チーク合板は常に真っすぐでありたい(曲がりたくない)と思うのでなかなか手こずりました。
Before
無機質から有機質へ
「ヨットとはこういうもの」
という固定概念が、無意識かつ下意識に形成されています。
Kさんのように、ヨットに対して初心者であるからこそ、
自分たちが気にならないことが気になるポイントがあります。
それがまた、新鮮なご意見であったり、ヒントになったり、こちらの固定概念を刺激的に
変えてくれます。