身勝手な医療従事者・・肺炎編 | ドクターヒロの健康・お悩み相談室

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 先日のことです。中年の太った女性が、39度以上の発熱と咳・痰を訴えて受診しました。市内のある病院が経営する介護施設の介護職員です。仕事の関係もあり、インフルエンザなどの感染症の有無を確認する必要があります。
 インフルエンザの定性反応は陰性でしたが、汚い色の痰がたくさん出るので、念のために胸部レントゲンを撮影すると、左肺に肺炎像が認められました。入院するほどの重症ではありませんが、炎症が完全に治まるまでは安静にして抗生剤などを投与する必要があります。また、肺炎と一口に言ってもいろんな種類がありますので、痰の培養などから原因菌を明らかにしなければいけません。肺炎は人に伝染する可能性が高い病気(菌の種類によってはすごく強い伝染力がある)なので、なるべく自分の部屋にこもって、家族とも接触は最低限に、マスクも着用する必要があります。当然、主治医が許可を出すまでは出勤はできません。


 ところが、この女性。 実に身勝手です。


 最低でも1週間程は仕事を休むように指導しているにもかかわらず、翌々日には電話で「熱が下がったので、介護士の研修会に出席したい」と言ってきたのです。まだ2日間治療しただけ、熱が下がったからといって肺炎が治った訳ではありません。「絶対にダメだ」と答えたら、今日は肺炎の点滴治療にも来なくなりました。きっと自分勝手な行動に出るに違いありません。
 安静を守らずに肺炎が悪化するのは自業自得ですが、大勢の介護士が集まるところに肺炎を持って出かけて、もし他の介護士に伝染したらどうなるでしょう・・。どれほど迷惑な行為であるのか、誰でもわかりますよね!
 ところが介護士という医療従事者でありながら、この人はわからないのです。そう言えば、初診のときもマスクをしないまま、待合室で咳をしまくっていました。クリニックの入り口には大きな字で「発熱者はマスクをして下さい」と告知してあるにも関わらずです。もう医療の世界からは足を洗ってもらいたい・・。


 皆さんには言いにくい事ですが、今や医療従事者といっても、一昔前のように清廉でモラルのある人は少なくなっているのが現状です。他に仕事がないというだけの理由で、十分な知識とモラルを持たないままに医療の現場で従事するケースは後を絶ちません。また、職員の教育に熱心な先生方も少なくなってきたように思います。


 「人様の迷惑になる事は慎む」という美徳を伝承してきた日本人のDNAは、莫大な電波に乗って飛来する、バカげた芸能人的価値観に上書きされ、配列がズタズタに狂ってしまったのだろうか・・


 そう思っていると、目の前の交差点を軽自動車が猛スピードで通り過ぎました。運転していたのはなんと!片手ハンドルで歯磨きをしている髪の毛ボサボサ女でした。・・絶句!