多くの方は、今、忙しいですよね。

朝早くから仕事に出かけ、夜になってやっと帰宅する。

忙しくて、実際にはほとんど家にいない。自分もそうですし、周りの人たちを見ても家に

いる時間は、ほんのわずかです。

 

その「わずかな時間」に何をしているかというと、食べているか、寝ているか。

 

つまり、食事と睡眠が家の中における「暮らし」の中心なのではないかと思います。

 

住む人にとって「本当に必要な場づくり」が求められる部分でもあり、「食べる」と

「寝る」を軸に住宅を考えることは、住宅の設計そのものがよりご自身やご家族のために

必要なことだと思います。

 

住む側が最も大事にしたいことは何か、だと思います。

 

日々忙しく、みんな本当によく働いているけれど、現代社会は常に自分自身を

ブラッシュアップしなければなりません。いつ迄もワンスキルで生涯正社員で

安泰なんていう時代は過ぎ去ろうとしています。

 

働き方改革で自由になる時間が増えても、学びを続けることが必要な時代になるでしょう。

そうなればなるほど、住宅に求めるものはなんでしょうか?

 

最終的に機能として家に必要な物を突き詰めていくと、クローゼットさえあれば

済んでしまいそうです。

他の機能はすべて都市の中にあるからです。

しかし、そのクローゼットでさえ今はレンタルできるところがあるようになってしまいました。私たちにとって、本当に必要な家とは一体なんでしょうか?

 

TVで紹介されていましたが、住む場所を決めず仕事をしている若者がいます。

決して今までのような貧しい感じでも無く、いく場所がなくてネットカフェに泊まってい訳でもありません。

 

仕事はビジネスコンサルタント、翌日の打合せに応じて泊まるホテルを決めていました。

彼にとって家とは一体なんでしょうか?

機能という面から考えれば、家の機能は全て都市の中にあるのです。

 

しかし、私たちの多くは住む家を求め、高齢者になるまで返済が続く借金をしてまで、自分の住宅を持ちたいと考えています。

 

私たちは何を家に求めているのでしょうか?

なぜ、家をほしいと思うのでしょうか?

 

昔からの常識だから

自然にそう思った

 

そうかもしれません。あまり深く考えておらず、周りに流される感じで、そのまま家づくりへ

 

そんな方も多いのかもしれません。

 

都市には様々な機能があり、究極的には、お金さえ払えば家なんかいらないのかも

しれませんが、みなさんが「家」に求めているもの、ご自身が気づいていなくても、

造る側から見ていて絶対にこれだけは必要と思っていると思うもの。

 

それは家に「食べる」と「寝る」ではないかと思っています。

 

なぜにそう感じるのか?

 

食べる

料理と食事という行為が、家族の会話を産み、家族の関係を深めていくからだと思います。

食材がどういった経過をたどって、今自分たちに届いているのか。

その食材をどう料理すれば、どういうものができるのか。

これだけのことの背後には、環境や経済、化学や工学などの様々な問題が隠れていますし、

また個々の1日を楽しく語るなかで家族の絆を深めていけると思います。

「食べる」が楽しくなるような場所をつくってはいかがでしょう。

 

寝る

寝ることついては、「安心感」を感じられる場所が理想。素材も重要ですね。

現代においては「睡眠」は今後ますます重要になります。

安心して体を癒すことができる場所に人は帰りたいと思うのではないでしょうか?

 

暮らしのイメージが明確に描けていて、それがそのままつくれる状況にあるなら、

大工と直接話して建てる方が効率的ですし安く、楽しいです。

 

だからといって、家を求める多くの人は暮らしのイメージを細部まで描ききることは

できません。

 

だから私たちのような設計者が、建築家が必要とされているのです。

 

ハウスメーカーの中には、営業がプランづくりをし、その詳細図面は専門のCADオペがやっているところもあります。

 

設計とは間取りの組み合わせではありません。

 

ご家族のこれからの生活をデザインすることなのです。