いままで住宅展示場などで家造りのセミナーをやってきましたが、最近はとんとお呼びがかかりません。前々から言われてきましたが、住宅を建てる人が少なくなっているようです。まぁ、さもありなんですね。バブルの崩壊や就職氷河期世代以降に終身雇用制が崩れたことに影響を受けていると思います。まして勤労者の年収は一向に上向いていませんし、年収200万程度の人たちもよく見かけます。自分たちの親の世代は持ち家で、貯蓄もあり、年金も満額もらっている。。。そんな中、いま普通の勤労者が住宅取得についてどのように感じているのでしょうか?

建設業の発展が多くの産業のベースとなって成長を加速させることから、持ち家政策として実行され家を持つことが是とされ、家を持つと一国一城の主とか一人前とかおだてられ、こぞってローンを組んで、家を立て始めました。この結果GDPの右肩上がりの成長、給料と物価の終わりの見えない上昇、土地神話、などなど。

 

当時の金融公庫(今の住宅支援機構)の35年払い固定金利は5%でした。しかし、給与の上昇、物価上昇もあり、10年程度で負担はずいぶん軽く感じるようになったと思います。土地の価格もどんどん上がり続け、ローンを組んで購入した土地と家を途中売却すると借入金よりも高く売却ができ、更に大きな土地建物を買えるというバブル現象も起き、団塊の世代が楽にローンを無事に払い終え、貯蓄も十分できた理由です。

 

 

上記のツイートは現在の若者の声を反映しているのかも知れません。もちろん若者中にも大きな会社に勤め安定した生活を享受している人もいるでしょうし、いわゆる「意識高い系」で上昇志向を持つ人もいます。しかし、それは一部のはずです。まして非正規が40%を越えているのです。

全てが若者という訳ではないと思いますが、その大半が20代~40代ではないでしょうか。また、正社員だからと言って必ずしも高収入で安定した会社に勤めている訳ではありません。

 

東芝の例を見るまでもなく上場企業で大企業の会社でさえ、あっという間にダメになり、3メガバンクが3万人以上のリストラを計画している時代です。AIが進化し多くの現在の仕事がなくなっていく、海外の企業との競争の激化、工場の海外移転、などなど。。。なんとなく不安を感じているのではないでしょうか?

 

いまの若い世代は

「どれだけの人間が30年ローンを安心して組めるのか」

「これから人口が減って土地も安くなるのになぜ買うという発想になる?」

といった反応が増えてきています。

 

「実際、住宅ローン35年組んで大失敗した。払えなくなり、家の価値より支払いが多く大変だった。まだ、ローンだけを払っている。家の価格下落は想像以上だ。家に35年ローンの価値はない。借家が一番正しい。」と考えている人は多いはずです。

 

また、「家を買っても維持費がかかる」「家買ってもお金増えるわけじゃない」といった声もきかれます。「ローン期間中に安定した収入があるというのはフィクション」といった反応もあり、持ち家に関してはかなり冷静な感覚でいるようです。 

 

 

上記の通り、日本の住宅政策の矛盾をついた意見も出始めています。

 

もう政策転換の時期を迎えていますが、今の国会議員の中にどれだけこの若い世代と同じ感覚を持っている人がいるでしょうか?

 

今の政権はGDPを上昇させるさせる為に、ありとあらゆる手段を講じています。その政府がGDP上昇の基本である持ち家政策ができる訳がないのです。

 

そうであれば、国民自ら賢くなるしか方法はありません。

 

今後土地の価格は絶対に下がってきます。その理由は、以下の通りです。

1.人口減

2.2022年生産緑地法が終了

   宅地並の課税となれば生産緑地指定が解除されます。その面積は実に東京ドーム

   2875個分にもなります。この中で2022年以降も農業を続ける農家もあると思い

   ますが、その多くは後継者不足や相続税の支払いのために売却されるはずで、都

   心周辺に散在する生産緑地が住宅地へと供給されることになります。

3.空家の増加

 

いまは賃貸であっても、将来はきっと持ち家もずっと安価になってくるはずです。さらに住宅関連費を抑えたければ、中古住宅のリフォームも選択肢になってきます。

 

すぐにバブルぎみの新築に飛びつかないように、冷静になりましょう。