合格発表の前日、大学の卒業確定者の発表で、大学に行きました。
そんでそのついでに大学の近所に住む友人とご飯を食べました。
そんで夕方ごろ帰宅。
テレビ観てたりだか、パソコンいじってたんだかした時に、急に受かってるか不安になった。
「や…ヤバい…。なんかすごく受かってない気がする…。」
血の気が引く。
そわそわ、そわそわ。
「あぁ、明日になんかなってくれるな…。」
「明日までずっとこんな落ち着かないなんて、精神崩壊おこすぞ…」
しかし、思い出す。
「あ、そうだ、私は心配したがりなんだった。」
予備校の先生にそう言われた事があった。
そうやって駄目でも傷つかない準備をする癖があるんだった。
なので、改めて冷静に考えてみる。
「完璧とは言い切れないが実力相応の結果は出したはずだ。つまり、後悔しようがない。そして今更あがいても、もう合格者の受験番号は紙に印字されている。」
そして、心を落ち着かせるために、本を読む。
夏目漱石『こころ』。
永遠の名作。
だんだん落ち着きを取り戻し、結局その日は、ぐっすり爆睡。
そして翌朝、遂に合格発表を見に行く。
因みに両親はその事を知らない。
母親はもう昼だというのに爆睡。
私は、げんかつぎに、お母さんが昔伯母さんに作ってもらったという、オレンジの花柄の絹のワンピースを着ていった。
そっと家を出る。
外は快晴。
春を思わせる暖かい日差し。
電車を乗り継ぎ、タマビの駅が近づくにつれ、やはり不安になってくる。
音楽ではどうにもならなくなってくる。
そして、かばんから最終兵器を取り出す。
出ました、夏目漱石『こころ』。
永遠の名作。
そうしている間に駅に到着。
遂に着いてしまった。
ここからバスで8分。
バスを待つ間、また音楽で気をまぎらわせる。
Mr.Children→クロマニヨンズ→ブルーハーツ→そしてまたMr.Children。
気分と不似合いなアップテンポの音楽を聞きながら、絹のワンピースのスカートの裾が風に揺れるのをただ眺めてた。
6番乗り場からバスに乗り込む。
しかし、その時私は知らなかった。
6番乗り場からは2つのバスが出ている事を。
そして、私が乗ったバスが違う方面のバスだった事を。
後から友人に聞いたのですが、その友人は私の後ろに並んでいたそう。
そして、私が違うバスに乗るのも見たそうです。
しかし、私があまりにも深刻そうな顔をしていたので、オーラに押されて遂に声をかけられなかったそうだ。
そんな事とは知らずに、バスに揺られる私。
『多摩美術大学“南”』という停車場を過ぎた。
「…みなみ…?…は、違う。」
だがしかし、それ以降、多摩美術大学という名のつく停車場が一向に表示されない。
だんだん不安になってくる。
すごく不安になってくる。
明らかに多摩美術大学から遠ざかっているとしか思えない。
バスが停車場に止まった時に運転手さんに聞いてみた。
「あの、これ、多摩美術大学行きですよね?」
運転手さんのキョトン顔を見て、私の不安は確信へと変わった。
そして、彼はキョトン顔のまま「いや、違いますよ、○○行きです。」と言う。
ガーンガーンガーンガーン。
「ここから多摩美術大学に行くにはどうしたらいいですか?」
是非『となりのトトロ』のメイが迷子になって「お゛ね゛ーぢゃーん゛」と泣いている時の顔を想像してみてほしい。
それはまさにその時の私の顔でした。
すると優しい運転手さんは道を丁寧に教えてくれました。
「ここずっと戻るしかないですよ。さっきトンネルあったでしょ?そこの左を…」
『うーん、全然わからない。トンネルって何のことや。』
だんだん合格発表とか、ちょっとどうでもよくなってくる。
それより、歩くのが面倒くさくなってくる。
『発表時間に遅れてもいいや。それより楽してタマビに着きたい。』
そして彼は私のキョトン顔に気づいて、きっと思った。
『こいつ…全然理解してねぇ…』
「タマビ歩いて行ったことないんですか?一回も?困ったなぁ…」
私も困った。
この優しい運転手さんを困らせてしまった以上、どうにかいい加減でない解決策を見つけなければ。
すると、バスの前にちょうどタクシー乗り場を発見!
しかもタクシーが一台スタンバってる!
このクソ田舎にタクシー!ナイス!
「あ、タクシーで行くんで大丈夫です!」
「あぁ、ちょうどタクシー乗り場ありますね」
「ありがとうございました!」
そしてタクシーに駆け足。
しかし、目の前をチャラ男が…。
『うぅーん、邪魔だなぁ…。なぜ私と同じ方向にいくのだ…。まさかこいつもタクシーを狙ってるんじゃあるまいな!?』
だがうまい事チャラ男は道をそれていって、私は無事タクシーをゲット。
そして運転手さんに聞いたら、5分でタマビに行けると言う。
案外近い。
そして全然気持ちが落ち着いてない状態で合格発表へ。
現場で友人の顔が一瞬見えたが、気まずいので気づかないふり。
ずらーっと並ぶ番号。
受験票を取り出して、たった1つの自分の番号をその数字の羅列の中から探す。
『…あった…』
『…あぁ…よかった』
後ろを振り返ると、さっきの友人が。
そして彼女も「受かったよ」と一言。
それで安心して、つい涙する。
そして大学の正門の近くの適当な所に座って、他の友人が来るのを少し待つ事に。
そこで空を眺めて、空気をすって、初めて本当に今日が晴れている事を感じたような気持ちになる。
いろんな人に合格の連絡をしていたら、急に合格発表場所から別の友人が駆けてきた。
「受かったーやったよー!!」
3人で飛んだり跳ねたり大喜び。
その友人は鼻をグズグズ。
泣いてるのかと思いきや、花粉症だそうで。
あぁ、晴れてるからね…。
そして「本当に大学って受かるんだね…」と、よくわからない事をぶつぶつ言いながら、駅に向かい、心と体に優しい蕎麦を食らう。
そして予備校へ報告しに向かう。
駅で更に他の友人に遭遇。
「どうだった?」と聞くと、彼女は黙ってダブルピース。
仲間を増やして、電車でガタンゴトン。
駅に着いて予備校に向かう。
とろとろ歩いてると、友人に「もー遅いよ、早くぅ」とせかされる。
彼女はもう先生達と早くハグしたくてたまらないらしい。
予備校の前に着くと、ガラスの自動ドアの前にもう先生2人が待ってた。
ゆっくり開く自動ドアの隙間から、私達4人が予備校になだれこむ。
そして先生達と、飛んで跳ねて抱き合って喜び合う。
それを見た他の先生も混ざって、狂喜乱舞。
「受かったー!」
「おめでとー!」
「やったー!」
予備校の控え室には他の友人がたくさんいた。
そこにいるほとんどみんな合格してた。
落ちてしまった人達は早々に帰ってしまったらしい。
そこで話したり、浪人しようか迷ってる現役生と話したりして、いつの間にか夕方に。
そして先生達に飲みに連れていってもらったのだ。
久しぶりにこんなに美味しいお酒を飲んだ。
とってもご機嫌で酔っぱらった。
またおごってもらってしまった。
家に帰ると、親がケーキを買ってくれていた。
チョコレートケーキに「合格おめでとう」と書いてあった。
翌日ゆっくり味わった。
久しぶりにこんなに美味しいケーキを食べた。