【八王子市】本立寺 | ぼっちあるき

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歩きながら考えてみた

時の鐘から東へ少し歩いた所に、日蓮宗のお寺が二寺並んでいます。

 

 

その内の一つ法連寺には、八王子千人同心の組頭だった並木以寧の墓所があります。源以寧と刻まれていますが、これは徳川家康が源家康と名乗るような感じですね。氏(うじ)と名字って複雑な歴史的背景があって分かりにくいんですけど、氏では「源・平・藤・橘」が有名ですね。

 

臥牛の上に墓石が載るユニークなお墓。良く見ると手水鉢に「並木」と刻まれています。そういえば、回向院(墨田区)には亀に載った墓石がありました。井田長秀という易学者のお墓でしたが、動物の上に墓石が載っているのを見るのはそれ以来です。

 

医業を行い、天保の飢饉の後には養老畑を作って庶民を救済した並木以寧。500人を数えた門弟は、以寧を慕って臥牛に何がしかの意味を込めたのでしょう。180年前のお墓とは思えないくらい綺麗なことからも、ずっと慕われ続けているのが伝わってきます。

 

 

境内にジオラマのような堂宇がありました。流造なので神社のようです。後ろに日蓮上人の像が見えますね。法連寺は池上本門寺の末寺なのです。

 

 

お、ジオラマに托鉢姿のお坊さんがいる!これを見て思い出しましたが、新宿駅の地下コンコースには毎夜鈴を鳴らして立っている人がいます。見た目的には托鉢をしているお坊さんなんですけど、微動だにせず立っているだけなので、厳密に言えば経を唱えて家々を回る托鉢ではありません。

 

新宿という場所柄、「ホントにお坊さん?」という疑いもあります。帰宅時にいつも彼の前を通るんですけど、皆慣れてしまってスルーしてる感じです。時折物乞い(乞食)も出没しますしね。ちなみに乞食行為は軽犯罪法に抵触します。ネットのスパチャも、やり方間違えると罪に問われるかもしれませんよ。

 

 

法連寺に隣接する本立寺にやって来ました。こじんまりとした法連寺に比べて、広い境内が目を引きます。写真は久々に見た板碑です。いわゆる卒塔婆ですが、鎌倉期に集中して建てられており、建てられている場所も鎌倉武士の本貫地(発祥地)や所領に限られています。

 

 

日蓮宗のお寺ならではの浄行菩薩。法華経に出てくる菩薩で、煩悩を洗い流してくれます。自分の体(心)の痛い所を「南無妙法蓮華経」と唱えながら磨くと治してくれるという点では、十六羅漢のおびんづる様と同じような感じですね。ずらりと並ぶ絵馬に、信者の願いの切実さが窺えます。

 

 

広い境内を抜けると、南大通りに出て来ました。信松院の前の道と繋がっているんですね。山門の横にある掲示板に、森林保護のポスターが貼られています。本立寺の卒塔婆は、全て多摩産の杉の木が使われているそうです。

 

卒塔婆を作っていた樅の木は切り尽くされ、戦後に成長が早いという理由で杉が植林された多摩地区。しかし輸入材の影響で価格が暴落し、切り出すだけで赤字になるという状況になってしまいます。これって、花粉症とも無関係じゃないでしょうね。

 

実は僕も数年前から花粉症になってしまい、今年は鼻をかみ過ぎて頭が痛くなるくらい酷い有様です。都市部には土が無いので花粉が土着せず、常に舞っている感じでしょうね。アレルギー症状なので如何ともし難く、時期が過ぎるのを待つしか手立てがないと諦めています。

 

次回は近くの公園の傍にある謎の稲荷社を訪ねます。それではまた!