8月の第一金曜日のブラ美は、三菱第一号館美術館。
 
MSSのメンバーなので、一応押さえておくというスタンス。
思い入れがない分だけ、前知識もない分だけ、気軽にみれるという。
 
今日は、丸の内のブリックスクエアがあるビルに入居しているテナントの従業員向けの鑑賞会が行われていました。
 
何組かに分かれて写真可能な第三章最新の染色と服飾 輝く絹地と異国の文様までスタッフの解説付きで鑑賞の鑑賞会。

サントリー美術館でもミッドタウンで働く人向けの無料入館があるのは知っていましたが、三菱第一号館は解説付きのサービスになって手厚いサービス。
 
 
フォルチュニが祖国スペインをでてパリ、そしてヴェネチアに落ち着いたころが折しもギリシャの遺跡の発掘ブームに当たったころであったといいます。
 
親から受け継いだ異国趣味、オリエンタリズムとヘレニズム的なものへの回帰がいたるところに見て取れます。
 
そんな時代背景の中、フォルチュニの名前を残すことになる「デルフォス」というシルクのプリーツの美しい体を締め付けないドレスを生み出します。
 
テナント向けの鑑賞会に参加されていた方向けの解説によると、この時代はキュリー夫妻の功績によりレントゲンが発明されたことにより、コルセットで締め付けられた女性の体は、特に内臓に負担をかけていることがわかったという。

そんな科学的な側面からもこの服の流行を後押ししたというはなし。
 
まさかのキュリー夫妻まで飛び出すとは!


社会の変革期にあって科学技術の発達により生活様式、服装も大きく変わっていた時期であることなどが分かって面白くもありました。
 
 
 
シルクの繊細でかるく、夏涼しく、冬暖かいという天然の素材の優れた点。
simpleで優雅なシルエット、はたまた、型紙を利用した草花などの文様をかたどったテキスタイル。
 
母親から譲り受けた文様の型紙などの中には日本にまつわるものなども残されていて、浴衣のテキスタイルなどを巧みに洋装のテキスタイルとして流用していたりと、フォルチュニの独特のセンスの良さが光るものがあります。
 
 
 
先日、横浜美術館で原三渓展を見ましたが、三渓が和の温故知新プロデューサーなら、フォルチュニという人は、意匠デザイン的な側面おいて地中海的な温故知新プロデューサー的な側面があったのではないかと思われます。
 
若かりし頃描いた巨匠たちの模写が何点か展示されていますが、牧歌的であったり、神話的な世界が描かれています。
 
新しい技法を使いながらオリエンタリズムの情趣たっぷりに絵画を描くといえば、モローを思いうかべてしまうのですが、モローが画家一辺倒であの極致的な表現をキャンバスの中で昇華。
 
フォルチュニは絵画ではなく、作画という意味で売れるデザインの見極めのセンスが卓越していたのだと感じます。
その証拠として、今もランプと型紙をつかったテキスタイルデザインをつかった製品は作り続けられています。
どことなく唐草文様ともにた絵柄であったり、浴衣地になりそうな図案を幾何学模様とあわせたり。
1階のミュージアムショップでクッションをみたら、これがそうだったのかと納得してしまいました。
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そうそう、入館する前に中庭で写真を撮りました倫敦一丁と呼ばれた建物群があった、この土地にお似合いなバラの花がまだ咲いていました。
熱帯夜が続く東京でみるバラの花はどこか不思議な感じがいたします。.
 
 
 
ところで、8月に入ると来年の展覧会の情報がぼちぼちと出てきます。
春先は、夢の子供時代 ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン展
7月からは、三菱創業150周年記念 静嘉堂・東洋文庫の至宝展が開かれます。
丸の内の三菱村に、静嘉堂と、東洋文庫がやってくるというのはちょっと驚きです。