前回の続きです!

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そう言い終えると、黒子は傷口から毒を吸い続けました。師青玄はだんだん冷静になってきて「ありがとう、黒兄」と言いましたが、もう黒子の方を見ることはできませんでした。しばらく観察して、黒子は先ほど噛んだ蛇が毒蛇でないことに気が付きます。そのうち日が暮れて城の門が閉まる時刻になってしまい、廟に帰るのを諦めて野宿することになります。

 

「俺のせいでごめんね」申し訳なさそうに言う師青玄に、黒子は淡々と「いいんだ、慣れてるから」と返しながら火起しします。師青玄は魚を焼きながら「いつも俺が話してばかりだから、黒兄の話も聞かせてよ」とせがみます。焼けた魚を口いっぱいに頬張っている黒子は、しばらくしておもむろに口を開きます。「どうして食べることを第一にしてるかわかるか?・・昔用事があって敵陣に潜入した時にご飯が食べられなかった時期があって、お腹が空き過ぎて力が出なくて、強い意志だけでなんとか動いてたから、その苦痛を忘れられなくて。」それを聞いて「魚はいっぱい捕まえたから、食べられる限り焼いてあげるよ。」という師青玄。二人で魚を食べながら、頬張って食べる黒子を見て、顔こそ髭で覆われているものの髭の下はどんな顔だろうかと想像し、こっそり目の辺りを横目で覗き込むと、胸が熱くなり、微かにうなずくのでした。

 

この晩以降、二人は最高の相棒として阿吽の呼吸で仕事するようになります。廟の修復や畑仕事、簡単なトイレを作りそれを畑の肥料にしたり。余った肥料は街で売って収入に。大きな木桶を作って、みんなが入浴で使えるように整備したり。こうして師青玄の凡人としての一年目で廟の修復は無事終わり、みんなで集まって畑で採れた野菜を囲みながらお金を出してくれた人や手伝ってくれた人に感謝を伝えながら楽しく過ごしました。

 

夜が深くなったある日、師青玄がまだ何かしているのを見て、黒子はそっと近づきます。よく見ると紙に何か落書きをしていて、笑いをこらえているようでした。さらに近づいて声をかけると「はははは!新しい服を買う方がいいか、原料と布織きを買って作る方がいいのか計算してたんだ!」「どうだった?」「ん〜、自分で作る方が長い目で見て、良さそうかな。」「さっき体の後ろに隠したのは何?」と尋ねながら、師青玄の手から丸められた紙を奪って広げると、そこには変な顔の落書きがいくつも描いてありました。笑った黒子を見て、師青玄は初めて黒子の笑顔を見たことに気が付きます。黒子の笑った顔は、自分が描いた落書きの顔にどことなく似ていて、しばらくぼうっと黒子の顔を見ていました。「筆ちょうだい」黒子に筆を渡すと、黒子は紙に馬鹿みたいな顔を描き始め、二人で大笑いしました。

 

師青玄が服の計算をしていると言ったのは咄嗟に出たものではなく、住むところと食べるものが満たされた今、着るものが整えれば、みんな仕事を見つけることができると考えたからです。それに去年の冬は寒さで身体の弱い人が何人も亡くなったので、今年は早めに準備しようと考えました。黒水はその考えに賛成し「原料の麻糸を準備してくれたら、布を織るよ」と言います。

 

この時、謝憐がずっと会いたがっていた花城が帰ってきて、謝憐に会いに行っても留守していることが増え、師青玄は謝憐のそばには花城がいるからもう大丈夫だと思います。ある日「黒兄、太子殿下のところにみんなでチキンを食べに行こう!」興奮して師青玄は言います。「行かない」「え?どうして?たくさん食べられるのに」「仕事する」「持って帰ろうか?」「いや、いい」なぜか人前で黒子はいつも師青玄に冷たい態度を取っていました。二人の時とは態度が違うのです。

 

阿甘は道中尋ねました。「どうして黒子にそんなに良くするんだ?いつもあんなに態度悪いのに。いつも気にかけたり助手にするなんて。」「何言ってんだよ。境遇も似てるし、あいつは頭がいいんだ。ほら俺手脚が不自由だし、助手というより俺が助けてもらってるんだ。」後ろにいた阿牛も言います。「黒子はお前にだけ特別だと思うぞ。廟にはあんなにたくさん人がいるのに誰とも話さないし。お前のことしか見てない。」「はははは!!!ほら、俺が賑やか好きなの知ってるし、俺が勝手に馴れ馴れしい態度とってるからじゃないかな!はははは!!」

 

物乞いのうちの一人、皮仔が言います。「・・・君たちにはこの一年とても感謝してるよ、前まで俺ら乞食なんて街ではただの害だったし、運が良ければ食べ残しをもらえて、運が悪ければ殴られたりすることもあったし。君たちのおかげでお腹いっぱい食べられるようになって、身なりも整えることができて、実は今度弟子入りすることが決まったんだ。」「おめでとう!みんなで良い生活するために思いついただけだよ。頑張って仕事が決まったのは君自身が頑張ったからだよ。そうとなればそのうち結婚も夢じゃないね!」他の乞食達もみんなそれぞれの期待を口にして、希望に溢れていました。それを聞きながら、師青玄は黒子もみんなの変化を聞いたら喜ぶだろうなと思うのでした。

 

チキン麺のスープが厨房の妖怪がお湯に浸かって作られていることを発見した師青玄は、それ以上食べることなく庭で座っていました。そしたら、例の三人組が乞食をいじめているのを見て、手助けすることで殴られそうになります。三人組は昼間乞食がぞろぞろと城を出るのを見てこっそり付けてきたのに、来てみたらただの(謝憐の)小さい道観の再建祝いなのを知って落胆し、イライラして乞食のうちの一人に八つ当たりしていたのです。物音を聞きつけて他の乞食も続々と寄ってきたのを見て、人数で敵わないと思い三人組は諦めて去ります。師青玄は、なんとか難を逃れたけど、完全に目をつけられてしまったな・・と思うのでした。

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魚を食べる黒子の目を覗くくだりで完全に疑惑が確信に変わりましたよね!

そしてこれは一体何話まで続くんだ!って思いますよね。わかります...多分私が誰よりも思ってます。でも尊くて、尊くて、なかなか削れないのです。。師青玄が蛇に噛まれた時に黒子が何も考えずに傷口を吸ってあげる場面とか、削りたくない気持ちわかってもらえますかえーんそれにしても蛇さん、goodjobグッド! 次回のあらすじは黒子目線でスタートします!