早速たくさんの方が読んでくださり、イイネもくださり、本当にありがとうございます。とても励みになります泣くうさぎ昨日の続きです。前回の内容はこちら↓

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師青玄は木の板に「狂ってる物乞いが語る神官話の時間」なるものを掲げて、街の酒楼(飲食を提供する宿屋)の前で説書を始めます。元々話上手な彼は、時折彼の折れた手脚をネタにみんなを笑わせたり、内容も神官同士の陰謀や愛憎など彼が経験したかのように詳細で、聞く人は興味を掻き立てられ次の話を待ちきれない様子でした。そうして彼の持ち前の明るさでたちまち人気が出ます。

 

収入ができてくると、師青玄は廟の建て直しに着手します。今にも倒れそうな廟には数十人の人が暮らしています。昼間は説書してお金を稼ぎ、夜になると体力がある物乞い達と廟を建て直すために動きました。そのうち仲間のうちの一人が尋ねます。「なぁ老風、初めて阿牛に連れてこられた時、着ていた服は生地が上等だったのに、どうしてこんなに落ちぶれたんだ?」「元々遊びながら暮らしてたけど家が落ちぶれてさ。兄さんを亡くしたあと放浪していた時に悪い奴らに絡まれて手脚を折られてここに辿り着いたんだ。」他の人の話をするように、師青玄は軽い口調で言いました。

 

毎日持ち帰った残飯を全て黒子や他の人にせっせと分ける師青玄を見て、物乞いの「大甘」は我慢できずに言います。「老風自身、痩せ細ってるじゃないか。他の人に分けてる場合じゃないぞ。」「いいんだ、お店からは毎日たくさんの残飯が出るし、1人じゃ食べきれないし、勿体無いだろう?」すぐに師青玄は返します。毎回頬張って食べる黒子を見て、師青玄は度々明儀を思い出していました。どことなく食べっぷりが似ている黒子の姿を明儀に重ねずにはいられなかったのです。

 

師青玄は毎晩粟粥を炊いて廟の中の必要な人達に配って回り、その後薬も炊いて配って回り、廟にいる人みんなを家族のように接していました。黒子は右腕として廟にいる時はいつも、お粥や薬を炊くのを手伝い、手脚が不自由な師青玄の後ろにぴったりくっついて支えたり手助けしていました。

 

ある日、師青玄は「そう言えば数日黒兄を見ていないなぁ、こんなに離れたことなかったのに。何かあったんだろうか。」と心配していました。謝憐が廟にやってきて「誰か手伝って欲しいんだ」と声をかけてきたのは、その晩でした。この時の心境は師青玄にとっては複雑でした。仕掛けられら呪いを他の物乞いとともに力を合わせて阻止し、(この時事情があり黒水沈舟が化けている)''花城''から使い慣れた風師扇を受け取り、霊力を渡され、ひと煽ぎしてついに危機を食い止めました。そんな彼を周りの物乞いや神官は複雑な顔をして見ていました。崇拝や疑惑、歓喜、軽蔑。いろんな視線を受けて、師青玄は無意識に「ははは・・」と声に出して緊張を隠しました。

 

その晩、師青玄は風師扇を胸元から取り出して長い間見つめていました。「まるで俺みたいだな。元々は並外れた法器だったのに、今は霊力もないただの道具じゃないか。」よく見ると修復された風師扇は、使用したことでまた破けてしまったものの、扇の骨は全く痛んでいなかったのです。何か砂のようなものが混ざっているのか?以前の骨は竹で作られていましたが、砂か何かが混ざることで随分頑丈になっていました。「今度血雨探花に会ったら聞いてみよう。・・でももう風師じゃないから、聞く必要もないか・・」そう思い、風師扇を捨てようとしましたが、自分の境遇と似ているこの扇を捨てることは自分自身を諦めることのような気がして「やっぱりお守り代わりに持っておこう。説書する時にも出したら受けるだろうし。」と思い直しました。

 

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皆さん薄々気づかれているかと思いますが、黒子(個人的には''くろこ''ではなく''こくし''と呼んでます笑)はもちろん黒水沈舟の化身ですラブ風師扇の骨に混ぜられた''砂''は・・・・・・お願い照れラブラブあれだけ恨まれていたのに、どうしてこんな甘い展開になったのか・・。もう少ししたら黒水沈舟目線の話も更新するので、それまでしばしお待ちくださいおやすみ

 

どこにいても明るく周りを照らす風師、どんな過酷な状況でも周りの人思いな風師、いつでも笑いを忘れない風師、ほんと好きすぎますおやすみ自分もどんな状況でもこの風師みたいな心持ちでいられたらどんなに素敵だろう...と思ってしまいます。でもそれがなかなかできないことだからこそ、風師のこの姿や行動が尊いんですよねお願い

 

当初多分5回ぐらいに分けて...と言ったのですが、二人の関係性の変化などが細かいエピソードに割と盛り込まれていて、それもいちいち甘いし、削るのが勿体無くて...。このままだだと5回では収まらない気がしてきました...。いや、絶対収まりません...。(誰だ、当初5回前後とか言ったの...汗うさぎ)でも、風師と黒水沈舟ファンで読んでくださる方ならその方がきっと良いかな、とも思ったり照れ頑張ってなるべく短い回数でより濃い内容を更新できたらと思っています。