~その2からの続きです

 

整骨院に通い始めて一ヶ月経っても、足先が垂れてしまう症状は変わりませんでした。

 

その頃の私は、よく妻と二人で夜のウォーキングをしていました。短い時でも30分、長い時には2時間近くも、いろいろな事柄を話しながら近所をテクテクと歩いていました。静かになった街中を抜け、オレンジ色の街灯で照らされた国道沿いの歩道を歩くのは、何とも言えない気持ちの良いものでした。

 

 

怪我をしてから二ヶ月くらいが経ち、ようやく普通に歩けるように感じられたので、妻と久しぶりにウォーキングに出かけました。しばらく歩くと妻が「靴がペタペタ音がするよ」と言いました。

 

歩き始めは入っていた力が、また入らなくなり、踏み出した右足のかかとが地面に着くたびにつま先がすぐに落ちてしまい、靴がペタッペタッと鳴るのです。

 

「この前の怪我のせい? だいぶ長くかかってるけど、きちんと病院に行った方がいいんじゃない?」と妻。確かに二ヶ月近く経ち、回復したと思ったのにこの程度のウォーキングで力が入らなくなるのは明らかに変です。


当時の私は、ある調査プロジェクトのリーダーとなっており、出張や報告業務で、病院に行く時間がなかなか取れませんでした。

 

「仕事がひと段落したら、行ってみるよ」。

 

そう言ったものの、心の中では、「痛みもないし、病院は時間がかかるし、また理学療法と湿布を貼るのがおちだからなぁ」と思い、そのままにしてしまっていました。

 

そして更に二ヶ月ほどが経ち、ようやく役員への報告が終わった時にはもう10月初旬になっていました。

足首の調子は相変わらずで、痛みはないものの強い力が出せません。私の趣味は大型バイクでのツーリングですが、足首に力が入らないのでGWを最後に全く乗っていませんでした。

 

「いい季節だしツーリングにも行きたいけど、病院、面倒だなぁ」

そんなことを考えながら、朝、出張で駅に向かって歩いていた時、突然それが起きました。

 

脚が前に出なくなってしまったのです。

 

今までのような、右足首だけの話ではありません。

 

歩道の真ん中で、両脚が突然動かせなくなり、立ちすくんでしまったのです。

 

一瞬、何が起こったのか分からず、心拍数が上がると同時に汗が噴き出てきました。

「なんだ?  夢か? どうしたんだ?」

 

周りには、駅に向かう大勢の人がいましたが、焦りで声をかけることもできません。

「焦るな、、、そうだ。屈伸ならできるかも、、」

 

そう思って屈みこんでみたところ、屈伸はなんとかできました。 

何度か屈伸をして、恐る恐る脚を前に出したところ、ぎこちないものの、歩けるようになりました。駅の入口は階段でしたが、迷わずエレベーターに乗りました。 

 

その日はそれ以降、脚が出なくなることはありませんでしたが、すぐさまこう思いました。

 

「病院へ行こう、、、」