磔刑の聖女(Märchen)の考察 | これだけで全て分かるSound horizonの考察

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こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

 

ここでは、「磔刑の聖女」の考察をしていきます。

 

といっても、この曲は曲を聴いたとおりのストーリーなので、考察は少なめです。

 

この曲は、「この狭い鳥籠の中で(イドへ至る森へ至るイド)の考察」を読んでいれば内容が分かるはずです。

 

ちなみにこの曲のテーマになったグリム童話は、「憂悶聖女」です。

 

この童話のあらすじなどは、「童話「憂悶聖女」のあらすじと考察~女がひげを生やすとどうなるの?」を読んでみてくださいね。

 

それでは、この曲の歌詞とセリフを、考察と共に見ていきましょう。

 

(歌詞とセリフについては、「Sound horizon歌詞集」(http://75.xmbs.jp/ca-16835-n2.php?guid=on&no=150519&view=1&page=8)より引用しています)

 

 

 

憤怒[Zorn(ゾーンヌ)]

「参詣の途絶えた教会[Kirche(キルヒェ)。

 

旅歩きの[Geige Spieler(ガイゲンシュピァ)]。
 

御像となった磔の聖女。
 

君は何故、この境界を越えてしまったのか。
 

さぁ、唄ってごらん」

 

さて、この曲のテーマとなった罪は憤怒です。

 

これは、エリーザベトの兄(お父様と呼べと言っていた)が、エリーザベトが「結婚しない」と言ったことに対し、怒ったことが罪です。

 

また、教会が舞台なのは、元となった憂悶聖女と同じです。

 

 

 

「さぁ、お父上がお待ちです」

鈍色の足取り 決意で進める


背中に風を感じて 一度だけ振り返る

宵闇の匂いは 不思議と懐かしく

 

背中を押してくれる そう そんな気さえしたわ

 

ここは、エリーザベトの父上というか、エリーザベトの兄のところに、結婚の話を聞きに行くところです。

 

特に考察するところはないですね。

 

 

 

押し寄せる 悲しみに 独り震えて 指でなぞる 遥か遠い約束
 

沸き上がる 憎しみの 脆く歪な 刻の果てに 闇を見つめ接吻(くちづけ)
 

嗚呼 虚ろな儘 移ろう儘 歪な 嗚呼 罪を集め接吻(くちづけ)

今 でも 忘れ  られない
今   尚 憶いだせない

 

ここで、エリーザベトはメルとの思い出を忘れられません。

 

ここにメルのセリフもありますが、メルはこの時点ではエリーザベトのことを忘れてしまっています。

 

 

 

「殿下、お嬢様をお連れいたしました」


「ふむ、エリーザベト。喜べ!はっはっはっ!
 

お前の結婚相手が決まったぞ!
 

求婚してきたのはラインプファルツだ。生き遅れには願ってもない相手だろう?」
 

「お言葉ですがお兄様」
 

「お父様と呼べと何度言ったら分かるんだ」
 

「いいえお兄様、私はどなたのもとにも嫁ぐ気はございません!」

 

ここで、兄がエリーザベトのことを「生き遅れ」と言っているのは、エリーザベトは世間では死んだことになって、

隠されて育ったからです。

 

元になった童話「憂悶聖女」と違うのは、憂悶聖女の娘が結婚を嫌がったのは、単純に結婚したくないと思っていたのに対し、

ここでは死んだメルへの愛を貫いたことです。

 

 

 

愛を偽って生きるくらいなら


真実と共に死すことも厭わないわ

二人で見つけた野ばらが

 

君を包むことを願って墓標の周りに植えたけど

結局 遂の終まで咲く事はなかったね……

 

ここで、エリーザベトはメルの墓標の周りに野ばらを植えたと言っていましたが、

墓標というのはメルの落ちた井戸のことだと考えられます。

 

というのも、村人は、メルは魔女の子だと思っていて、メルには殺されたテレーゼ以外親族もいなく、

誰も墓なんか立てなかっただろうからです。

 

 

 

月光に恋をした鳥籠の白い鳥は、


地に堕ちると知りながら、最期まで羽ばたくよ。
 

だからこそ宵闇に唄うのは、憾みの唄じゃないわ……。

「ヴァルター、お前と母上が身分を偽ってまで守ろうとしたものの結果がこれだ。フハハハ!」
 

「殿下…」
 

「この馬鹿娘を磔にしろ」
 

「殿下!」

 

ここで、エリーザベトは最後まで、憾みを持っていませんでした。

 

また白い鳥の、白のイメージすることは純潔で、エリーザベトにはぴったりです。

 

ヴァルターは、このヴェッティン家の家来です。

 

母親が身分を偽ってエリーザベトを守ったのは、エリーザベトが幼い頃、一度死んだ時のことです。

 

そのことについては、「彼女が魔女になった理由」を読んでください。

 

そしてエリーザベトは磔にされてしまいます。

 

 

 

「成る程 それで君は磔にされた訳だね。


一途な想いを貫くのも結構だ。
 

果たして彼は、君の死と引き換えてまで、本当にそれを望むのかな?
 

まあいい。さぁ、復讐劇を始めようか」

 

こうしてエリーザベトは死に、メルが出てきます。

 

ところで、「果たして彼は、君の死と引き換えてまで、本当にそれを望むのかな?」と言っていますが、

この時点では彼=自分のことだということに気づいていないと考えられます。

 

というのも、この時点でエリーザベトのことは忘れてしまっているからです。

 

 

 

「いえ。私は、そんなことを望んでなどいないわ。


人にはそれぞれ、背負うべき立場と、運命がある。
 

貴方が会いに来てくれた。私にはそれだけで十分。
 

ねえ、本当に覚えていないの?今尚眩い、あの日々さえも」

 

ここで、エリーザベトは語りかけてきたメルのことはしっかり分かっています。

 

そして唯一、エリーザベトだけが7人の屍人姫の中で復讐を望んでいませんでした。

 

 

 

「…私、今とてもドキドキしているわ。
 だって森は、世界はこんなに広いんですもの!」

「うん。」


「綺麗なお花。」
 

「わぁ、本当」
 

「つけてあげるよ。」
 

「本当?可愛くしてね。」
 

「似合うよ。」
 

「本当?」

「メル 絶対、絶対迎えにきてね!」

 

「ああ、約束さ」

「メル、そんなになってまで、約束を守ってくれたのね」

 

ここは、二人の回想部分です。

 

メルは死んだあと、イドと融合してまでエリーザベトを迎えに来ました。

(エリーザベトを迎えに来たというより、復讐の手伝いをしに来たのですが)

 

 

 

焔(ひかり)を無くした君を縛る 冷たい鎖は

「おお、聖女様!うっ…」


「おおなんてことを…」
 

「おお、まことであったか。これならば、聖女さまの罪を…」

愛(ひかり)を亡くした 君を想う二人の愛憎

 

ここで、磔にされたエリーザベトが、金の靴を落とします。

 

このシーンは、憂悶聖女にもあったシーンですが、元の童話では、それによって楽人が無罪だということが証明されました。

 

なので、この行為によってエリーザベトの罪はなくなったことを、この部分のセリフと合わせて意味していると考えられます。

 

 

 

鳥は空へ 屍体は土へ 摂理(かみ)を裏切り続けた


夜は明けて 終わりの朝へ 次の別離(わかれ)こそ永遠――

 

でも…

後悔などしていないわ 嗚呼 これが 私の人生

 

《門閥貴族の令嬢》[von Wettin(フォン ヴェッティン)] でも
 

《七選帝侯の息女》[von Sachsen(フォン ザクセン)]
 

でもないわ 私は《一人の女》[Elisabeth(エリーゼベト)]
 

唯 君だけを愛した――

唯の【Elisabeth】

 

鳥と屍体は、エリーザベトのことですね。

 

ここは、特に考察することはないです。

 

 

 

「ナニヨメル、サッキカラオカシイワヨ、ドウシチャッタノ?
 

アンナ女ノ言ウコト、真ニ受ケチャダメヨ!
 

モウ忘レマショ!
 

復讐ヲ続ケナキャイケナイワ。
 

例エ何ガアッタトシテモ。ソレガ私達ノ存在理由デショ!?
 

ネェ、本当ニ分カッテルノ!?メル。
 

アアァ!モウ!ドウシテ分カッテクレナイノ!?メルノ分カラズ屋!
 

今ハモウ、私ダケガ貴方ノエリーゼナノヨ!?
 

コレマデ楽シクヤッテキタジャナイ!
 

二人デ色ンナ復讐、手伝ッテキタジャナイ!!
 

コレカラモキット楽シイワ。ソウヨ、ソウニ決マッテイルワ。
 

貴方ニハ私ガ、私ニハ貴方ガイルモノ!コノママ続ケヨウヨ!
 

ズット二人デ続ケヨウヨ!ネェ!!
 

ズット、ズットズットズット続ケヨウヨ!!
 

コノ世界ガ終ワルマデ、ウウン!コノ世界ガ終ワッテモ、
 

ズットズット一緒ニイヨウヨ!ネェ、イヤ、イヤヨメル、
 

イヤ、イヤイヤイヤアァ!!オ願イ、オ願イヨゥ、メル…イヤアアアアァ!!!…」

「もう、いいんだよ。エリーゼ。」

 

エリーゼは、もともとはテレーゼでしたが、メルと一緒にいたいという願いから、よみがえっていました。

 

そして、そのためには復讐の衝動(イド)と融合する必要があり、

復讐をやめてしまう=存在が消えるということを意味します。

 

なので、エリーゼはこんなに必死になったのですね。

 

そしてメルは、エリーザベトのことを思い出し、復讐劇に終わりを告げます。

 

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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!