コロナ渦の最中、[触れること]はなかなか微妙なテーマです。
でも、[触れること]の恵みは人類にとって不変のものであり、こんな時期だからこそ必要なものでもあります。
ご家族の間や、ペットとの間で、どうかこの恵みが受け取られますように!
二度に分けて書くことになったので、これから続きを書きますね。
クラニオセイクラルのタッチについて①
クラニオセイクラルでは、タッチはとても重要な要素です。
重要なので、1回では説明しきれないくらい。
まずは、[タッチ]自身が持つ力について、触れていきますね。
[皮膚と脳とタッチ]
[脳皮同根]という言葉があります。
受精卵はまず、[内胚葉][中胚葉][外胚葉]の3つに分化してから、身体のあらゆる組織・器官を作っていきます。
その過程で皮膚は、脳と脊髄という中枢神経系と同じ[外胚葉]から発生し、形成されます。
脳と皮膚は同じ起源を持つ、ということです。皮膚は、[第二の脳]とも言われます。
優しいタッチは、オキシトシンというホルモンを分泌させ、ノルアドレナリン系、セロトニン系の神経伝達物質を生成します。
オキシトシンは別名愛情ホルモン、他者との親密性を高め、炎症を静め、攻撃性を低下させる働きを持ちます。近年、自律神経にも良い影響を与えることが判ってきました。
ノルアドレナリン系、セロトニン系の神経伝達物質は、生成されると脳に送られ、鎮静と快感を脳に伝え、痛みを和らげます。
[タッチの安全と危険]
タッチの恵みはたくさんありますが、そこには危険もあります。
二者間の信頼関係がないところで生じるタッチは、生物にとっての危険信号なのです。
野良猫は、なかなか触らせてくれませんよね?
野良猫は生まれ落ちた瞬間から、タッチについての安全な記憶を持ちません。ですから、「敵かも知れない」と、自律神経が危険信号を発します。身を守るために、必要ですよね?
もちろん人間も、同じ自律神経反応をします。
[タッチ]の恵みに到達するには、まず
「お互い安全で、安心だね」という自律神経レベルの二者の同意が必要なのです。
これが、クラニオセイクラルの施術で[タッチ]までに確立する技、でもあります。
[安心を確認しながら、少しずつ近づいていく]
印象的なセッションがあります。
和やかにカウンセリングを終えて、ベッドに横たわっていただき、私自身の場所を一緒に決めていくと、ベッドの脚元からかなり遠い位置になりました。
それ以上近づくと、クライアントさんの身体はザワザワしてくるそうです。
私たちはその場所からセッションを始め、リソースを探索し、そのリソースがどんな身体反応を与えてくれるか、試し始めました。なんと1回目のセッションは、それに全時間を費やしました!
終了後クライアントさんは、幼い時に性的虐待を受けたことを、話してくださいました。
私たちは、クライアントさんの信頼できる身体反応を頼りに、3回を掛けて少しずつ距離を縮め、3回目の終了間際、お互いに安心した状態で、私はそっと彼女の踵に触れることができました。
「星の王子さま」の王子とキツネのように、少しずつ近づき、[いま・ここ]でお互いが安心して仲良くなれた時に、[タッチ]の恵みは展開し始め
ます。