お月さましか話し相手がいなかったら | 夜の吐息

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私の心が一番自由だった頃のように、もしくは、それ以上に自由に解放していく過程を、日々の生活を交えながら綴っています。

半影月蝕の満月の夜に

DJむすひが読みたい詩は?



こんばんは。

実は活字中毒のむすひです。




お月さましか話相手がいなかったら


お月さまは一冊の本に似ています。

一晩じゅう読んでいても飽きないからです。



皿洗いの女の子が
七枚の皿を洗い終わって数えてみたら
皿が八枚になっているのです
その夜はまっくらになったので
女の子は安心して恋人に
なにもかも与えることができました

小さな古いレコード店で
かけても鳴らないレコードが一枚ありました。

暗いところに置くと
あたり一面あかるくなるレコードだったので
少年はそれだけは売るまいと思っていました

盗まれた月の話です

 



寺山修司

ぼくの人生処方詩集から






「恐れ」は幻想に過ぎない。