始まりは…何時頃だっただろうか。
淡い宇宙には、30の惑星が存在する。
その一つ一つに生命が存在し、文明があり、歴史が産まれた。
高度な科学技術が発達した世界もあれば、豊かな自然はそのままに、魔法技術が発達した世界もあった。
人類以外の種も多く生まれ、様々な生命が世界を彩っている。
独自の色を纏い、キラキラと輝く星々を神である私は宇宙からのんびりと眺めていた。
変わらない光景だ。変化など殆どない。それが当たり前であり、喜ばしいことなのだ。
だが、分かっていてもやはり私は変化を求めてしまう。
この宇宙は、何時に唐突に生まれ、気づかない内に停止してしまう。
創造主が世界を作り始め、飽きて、また書き始めて…そうしてまた初めからやり直す。
繰り返し、繰り返し、同じところをぐるぐると回り続けるだけの世界を、神の役割を受けた私は見守り続ける。
嫌になったこともある。役目を放棄してしまおうと思った事も沢山あった。
でも、私はやめられなかった。
変わり行く時代によって増え続ける世界は、それはそれは鮮やかで、美しかった。
その美しく輝く世界を見るのが好きだった。
新しく生まれてくる小さな命の尊さを、私は愛おしいと思った。
喜びや幸福だけの世界はない。悲しみや絶望が満ちた世界だって沢山生まれた。
目を覆いたくなるような悲惨な出来事も、こちらが照れてしまう程の幸せな出来事も、全て含めて私は世界を愛している。
だが、いくら役目とは言え、ずっと孤独なままでは、神である私でも流石に参ってしまう。
そう創造主に愚痴れば…いつから居たのか、傍らで半身…魔王が仏頂面で佇んでいた。
「私を巻き込みおって」と文句を言いつつ、彼は私と一緒に惑星の行く末を見守る。
幾千年と変わらず、私達はこうして見守り続けるのだろう。
例え創造主が変化を望まなくても、世界は人知れずに変化し続けている…かもしれない。
まだ未来は分からないが、少なくても我らが創造主様は私達のことを今でも愛して下さっている。
ならば、私達『被造物』は、与えられた役を演じ切るのみだ。
幸い、私にはこのお節介で心配性の堅物魔王がいる。
今も寒がりな私を心配してか、黒く大きな羽根が優しく私を包んでくれる。
(宇宙に気温概念はないはずだから、無用の心配なんだが…あえて指摘せず黙っておこう)
不器用な優しさに包まれて、不安も恐怖も淋しさもない。安心して背中を預けられる。
白く大きな羽根を広げて、30の世界に祝福を贈ろう。
だからどうか、今日も皆、幸せでありますように。
END
