(以下は個人のイチ感想です)

 

去年、密やかにものすごい話題になった鬼太郎誕生の謎という映画。

はまってる人はめちゃめちゃはまってます。

それにけっこう「ぜひ見てみて!」と言ってる人が多いので気にはなっていました。

でも、最初の鬼太郎のアニメを知っている身としては、あんな手足の長い鬼太郎たちやかわいい猫娘はもう水木先生の鬼太郎じゃないんですよ。

なのでどうしても映画館まで行って見る気にはなれませんでした。

 

しかしこの度配信になったのでさっそく見てみました。

それで思ったことをつらつらと書いてみようと思います。

ちなみに私は水木先生が描いた鬼太郎誕生の原作を読んでいます。

それを踏まえた上で。

 

↓以下ネタバレの可能性があります。

筋や諸々知りたくない方は読まない方がいいです。

 

どうしてもね、私が子供の頃にずっと見ていたアニメと比べちゃうんですよ。

水木先生の原作もちょっとではありますが読んでます。

でね、やっぱり明るすぎるんです。

自分が子供だったからってこともあると思います。

子供の頃の鬼太郎はめちゃくちゃ怖い回もあって、当時同時刻にやっていた妖怪人間とチャンネルをガチャガチャ回しながら見たりしていました。

どっちの話もめちゃくちゃ怖かったので母親に

「ねえ、鬼太郎と妖怪人間どっちもめちゃくちゃ怖いねんけど、どっち見たらいい?」

と相談したことがあります。

母は、

「そんなに怖いのならどっちも見なさんな。」

としごくまっとうな答えをくれましたが、結局目を隠しながら最後までチャンネル変えまくって見た覚えがあります。

 

今でもすごく頭に残っているのは、大きな大きなミミズのような妖怪(神?)の祟りで、とある人の目とか手とか体のパーツがどんどん少しずつなくなっていくお話。 最後どうなるのか想像するだけで怖いじゃありませんか。

 

なんだかちょっと脱線しましたが、鬼太郎ってそれぐらい暗くてオドロオドロしくて怖かったんです。

でもこの映画の鬼太郎は、なんだろう、呪術廻戦と横溝正史を混ぜた感じ?

けっこうグロかった、グロかった、という感想を見ましたが、うーん、まあ、全然グロくないとは言いませんが、そんな言うほどかなー、とか。

で、なんだか劇場版用に作った筋を無理くり原作につなげちゃった感がどうしても否めませんでした。

 

登場人物も皆しゅっとしてて目がくりっとしてて、水木先生の描くあの独特のキャラじゃない。

まあ顔立ちのはっきりしたキャラが全然ないわけじゃありませんが、水木先生が描いたキャラってたいていメガネかけててあごがなくて口がかっぱみたいになってるザ・日本人だったですよね。

自分が大人になっていったのもありますが、キャラがどんどんスマートになっていくたびに

「うーん、これは鬼太郎じゃない、見ない」になってしまう自分がいました。

どちらかというと、悪い妖怪をやっつけるヒーローとしての鬼太郎がおもしろかったんじゃなくて、妖怪や人間の醜い部分、あのドロドロしたくらーい部分が魅力だったりしたんですね。

今回の劇場版は戦争のひどさ(ここだけ子供に見せたいと思った)や人間の醜さ、怖さはたしかに描かれていましたが、先ほども書いたように呪術廻戦ばりのアクションや怨霊的な塊を見た時は「うーん、里香ちゃんやん。」

と思ってしまいました。

 

いろんな人がはまっているのはどの部分なんだろう。

水木が鬼太郎を育てる部分が”尊い”んだろうか。

原作どおりでいけば、水木は鬼太郎が6歳のときうちから追い出すんですよ?

何が尊いのやら。

 

劇中の言葉がら抜き言葉がなく、当時(昭和30年代)をきちんと再現しているという話もあるらしいのですが、一か所だけ気になったところがありました。

今って、「〇〇しなきゃ、だね」「〇〇しないと、だね」って言い方しますよね。

ちょっとそういう言い方に似たセリフがあって、あー、今の言い方やなーと思ったんですよね。

 

というわけで、昭和生まれの私にはいまいちはまらなかったのでした。

 

でもね、むかーしから水木先生の描く妖怪が大好きなんですよ。