映画バービーの公式アカウントが原爆を軽視するように見受けられるネタ画像を投稿した件で騒がれてましたが、この件でいろんなことを思い出していました。

 

日本は被害国で、原爆を落とされた時どんな悲惨なことが起こったか、小学校から授業で教えられます。

だからほとんどの日本人が原爆の悲惨さを知っているし、それが当たり前みたいになっています。

でも、アメリカは違う。

ほとんどの人が多分、歴史の時間にサラッと習ったぐらいで原爆の事をちょっとグレードが高い爆弾の一つぐらいにしか思ってないんじゃないかと思います。

私たちが歴史の時間にサラーっと現代史を習ったのと同じぐらいの感覚なんじゃないかと思います。

 

私がドイツに語学研修に行ってたときのことです。

クラスにはもちろんいろんな国からのいろんな年齢の人がいて、皆当然ドイツ語で会話するわけですけど、国際交流って感じでとても楽しかった。

で、そのときアメリカから来てる女の子としゃべったことがあり、何でそういう話になったのか全く覚えてないんですが、原爆の話になり、その女の子は

「アメリカが原爆を落としたから戦争が終わったんでしょ。戦争が終わったのはアメリカのおかげよ。」

と言いました。

私は、アメリカにはそういう風にいう人、そういう考えの人がいるというのは聞いていたので《うわー、ほんまにこういう考えの人いるんや》と内心思いながら、

「本当にそう思ってるの?」

と聞きました。

するとその女の子は

「うん、だって高校でそう習ったもん。」

と言ったので、それが私には衝撃的でした。

そりゃ学校でそう習うなら、それが正しいと思うわな。

 

これ以上は突っ込んで話しませんでしたが、おそらく習うのはここまでじゃないかと思うんです。

その原爆によって、人がどんな状態になったか、どれだけたくさんの人が亡くなったか、亡くならなくてもどんな後遺症が残ったか、そういうことは一切教えてないでしょう。

だから、アメリカの人は「知らない」んです。

きっとジョークにできるのも、知らないから。

 

私たちは当時のドイツについて少し習ったと思いますが、世界史を選択しなければぼやっとしか習わないと思います。

なので、ものすごくたくさんの人がひどい方法で虐殺されたことはわかっていてもそれだけしか知らない人も多いんじゃないかなと思います。

正直、私もそうでした。

 

私は大学の頃ドイツ文学を専攻したので、ドイツのことばかり教えてもらいました。

そしてその中に、当時の収容所のフィルムを見る授業がありました。

とてもショッキングなフィルムでした。

私が見たフィルムの中では、殺害した人々を、重機で掘った穴にまとめて入れて上から土をかぶせていました。

こんな言い方はよくないのを承知で言いますが、人間として扱われていませんでした。遺体ですら。

 

時々軽い気持ちで当時の軍服を想起させるような恰好をして炎上している人がいます。

正直、そこまで騒がなくてもいいんじゃない?と思う人はいるのではないでしょうか。

でも、当時のフィルムを見た私は、やっぱりダメだと強く思います。

彼らのことをかっこいいと思わせるような、そういう行為は微塵もあってはならないと思っています。

 

日本人の多くはこのフィルムを見ません。

だから「知らない」。

 

もちろん、知らないからしょうがないとか知らないということで軽々に扱うのも認められるものではありません。

むしろ「知らないって罪なことなんやな」と思ったぐらいです。

 

どうしていけばいいのかわからないけれど、もっともっと原爆はこんな恐ろしくてこんなにひどいんだよと、アピールをガンガンにできればいいのかなと思います。

そういうの、日本はまだまだ弱いんじゃないかと思います。

 

ずっとロシアとウクライナが戦争をしていますが、ウクライナのどこそこで〇人の遺体が見つかった、というニュースを聞くたびに、フィルムのことを思い出しています。

この見つかった方たちももしかして、フィルムと同じような状態だったのかなと思うととても胸が痛い。

 

全ての国が本当の過去の歴史を教えるのってこんなにも難しいのか、とずっと思っています。